GARTERGUNS’雑記帳

TALK-G【MAILHOME

ガルさんデンちゃん千日前そぞろある記
2003年11月21日(金)

しし座流星群に関する小説を三年前から書いているものの、今回もUPする機会を失ったTALK-Gですこんばんは。
今日は寄席の手伝いをする為ワッハ上方(大阪府立上方演芸資料館)まで行って来たのですが。
ワッハ上方というのは千日前にありまして。
その千日前辺りは、夕刻から深夜にかけて、実に魅力的な夢の世界となるのです。

―――――

「センニチマエのアーケード」というのは、ちょっと余所見をしていると、すぐに人にぶつかる。
だからまっすぐ前を向いて歩かないと、と思うのだけれど、ごちゃごちゃ立ち並ぶ店のネオンの眩しさや、その店から吐き出される人と喧騒、流れてくる匂い。そんなもの全てが、やけに神経を刺激して。

「あっ」

もう何度目か、目前に迫った人影にガルデンが思わず声を上げた瞬間。
ごく軽く、けれど衝突を避けるには十分な強さで腕を引かれた。
ぽす、と後ろに倒れそうになったのを受け止める、男の腕。

「そんなに夜の街が珍しいか?」

上から覗き込んでくる顔は、面白がっている様な薄い笑みを浮かべている。

「……こんなごちゃごちゃした街は歩きにくい。それだけだ」

むっとして起き上がり、腕を振り払おうとするのを

「そうか。では、その歩きにくい道を、この私がエスコートしてやろう」

男は微笑んで躱し、強引に自分のコートの中に抱き寄せる。

「こ、こら、止めろ!恥ずかしいだろう!」
「あっちふらふらこっちふらふらで人にぶつかりまくるのと、どちらが恥ずかしい?」

暴れるガルデンをぎゅうと押さえつけ、笑み交じりに問う男。
ガルデンはぴたりと暴れるのを止め、マフラーに埋もれた頬を赤く染めて、その翠の目で男を睨み上げる。

「………せめてもう少し離れろ」

やがて呟かれた言葉に男はまた笑い、ガルデンを放した後、腕を差し出した。
ガルデンはそれに眉間を寄せた後、如何にも不承不承といった感じで、その腕に腕を絡めた。


怪しげな成人向けの映画館や、アダルトグッズ、下着にコスプレ衣装等を取り扱う店、キャバレー、テレクラ、ランパブ、ビデオ試写室、エトセトラエトセトラ。
ガルデンが耳まで赤くなるのを尻目に、男はそんな下品で直接的で歯に衣着せないけばけばしいネオンの海を、実に優雅に泳いでいく。
小憎らしい程に悠然と、赤絨毯で姫君をエスコートする貴族の様に。
どうやら此処が彼の庭だと言うのは、本当らしい。
その証拠に。

「久し振り、社長サン」
「今日は寄ってかへんの?そんな可愛い子連れて」

……こんな風に、店から出てきたりホテル裏で立っている女達に声を掛けられるのも、一度や二度ではない。

「ああ、アルマ。久し振りだな」
「また今度寄らせて貰う。その時はお前を指名するから予定を空けておけ、リリィ」

それだけならまだしも、男は、その声を掛けてきた人々を、一度も間違いなく名前で呼び返していた。


「お前は一体……普段、此処で、何をしているんだ?」
「何って、遊んでいるだけだが」
「嘘だ。……ただ遊んでいるだけであんな店の者が、あそこまで親しく、何の打算も無く声を掛けてくる筈が無い」
「いつも派手に遊ぶからな。お得意様への笑顔という奴だろう」
「百歩譲ってそうだとしても、お前があれだけの数の人の名前を、完璧に呼び返しているのは如何いう事だ。単に遊び回っているだけで、そんな懇意になれるものなのか」

問い詰めると、男は苦笑した。
その蒼い目には普段の飄々としたシニカルさではなく、出来の良い目の前の少年を慈しむ様な光があった。

―――――

一応「ガルデン→TV版ガルデン」「男→漫画版ガルデン」のつもりで。
TVガルデンは受験生で、大学受験の為に大阪に来るのですが、泊まる予定だったホテルは手違いで部屋が取れず、その他のホテルも満室で。
困り果てたその時、随分昔に会った事があるだけの従兄(漫画ガルデン)が大阪に住んでいる事を思い出し、押しかける事にしたのですが、電話でその旨を使用人(TVシュテル)に伝えたら何故か物凄い勢いで反対されて、それでカチンと来て電話を叩き切って(シュテル号泣)、意地でも従兄の家に行ってやろうと朧気な記憶を頼りに大荷物抱えて大阪の街を行くのですが、案の定と言うか何と言うか道に迷ってですね。と言うかTV版のガルデンってOVAや特典CD3巻を見る限り方向音痴っぽいのですが如何なんでしょうかその辺。
……ええと、何処まで話したでしょうか。そうそう、ガルデンが従兄の家を求めて彷徨うところですね。……で、彷徨う内に変な歓楽街に踏み込んでしまってですね。
派手だし煩いし人は多いし歩き回って足は痛いしで、すっかりくたびれて道の端にへたり込んでしまいます。
やっぱり実家のシュテルに電話して、何とかして貰おうかとションボリ考え始めた時。
バンホーテンの缶ココアがすっと目の前に差し出されるのです。
驚いて顔を上げると、其処には、面白がっているような笑みを浮かべている男。
「探しているのは私か」
囁きと共に、冷たくなったガルデンの頬に温かい缶ココアをくっ付ける男。
彼は紛れも無く、探していた従兄で、ガルデンは喜んで(シュテルに電話を掛けようとしていたのも忘れて)立ち上がるのですが―――――

その従兄が実は物凄い「遊び人」で。
ガルデンを迎えに来た時も派手な身なりの美女(イドロ)を連れていて、あまつさえガルデンの目の前で恥ずかしげも無くその美女と熱烈なキスを交わしたりして。
千日前も梅田も道頓堀も彼の庭で。
愛人達の家やホテル(ファッションホテル含)を漂泊していて。
そりゃあもう、真面目な優等生で温室育ちのガルデンは呆れるしかない程の放蕩ぶりで。
ガルデンは漸く、シュテルが彼に会うのに猛反対した理由を知るのですが、結局頼れるのはこの人しか居らず。
何時も薄く笑っていて何を考えているか判らない、はっきり言って大変苦手なタイプのこの従兄と、暫くの間一緒に暮らす事になる……

みたいな話を書きたいと思ったのですが(いきなり何を言っているのか)

いえ、漫画版のガルデンって、千日前の様な歓楽街(漫画で言うならモンゴックとか?)にも縄張りをもってそうだなあと思いまして。
で、TV版のガルデンは、そういうネオン輝く街に対する免疫ゼロ。
そんな二人が一緒に大阪の街を彷徨ったら楽しそうだなあ、と。

で、最初は従兄の放蕩ぶりに呆れていたガルデンも、その「放蕩」に理由がある事を知ったり、彼自身ただの遊び人ではない事を知ったり、ふとした拍子に彼の素顔を垣間見てしまったりする内に、段々彼の事を好きになってしまうという……。


それは漫画版ガルデン×TV版ガルデンという事じゃろうか。


誰か止めてください。


コロコロコロッケ
2003年11月20日(木)

雨が夜更け過ぎに雪へと変わろうと槍へと変わろうと一人でカップ麺を啜っているのには違いないクリスマスのスケジュールに沈鬱な面持ちで独り佇むTALK−Gですこんばんは。銀髪の美人半エルフか銀髪の痩身中年親父がズタボロの服で意識を失ってついでに記憶も失ってその辺に落ちていないかなあ。(コートのポッケに手を突っ込んで道端の石を蹴りながら)

さて、今晩の食事はコロッケだったのですが。
コロッケという食べ物には、何となく不思議な懐かしさが付きまとっていてですね。
私個人の思い込みなのですが、何と言うか……「古き良き思い出」を連想させるものがあるのですよ。
学校の帰り道、友達と一緒に商店街で買って食べながら帰った思い出。
小さい頃、手作りのコロッケのタネに粉を打ち卵を潜らせ、パン粉をまぶした思い出。
素朴で飾り気の無い「コロッケ」という食べ物に、そんな「よくある思い出」は、不思議なくらい……それこそ山盛り千切りキャベツの様に似合う気がするのです。


―――――

*漫画版シュガルです*

「ガルデン様」
「シュテルか……」
「どうされたのですか、こんな冷える厨房で……」
「いや、腹が減ってな……」
「それでしたら何か軽い夜食……リゾットでもお作り致しましょうか」
「その申し出は有り難いが、もう飯は作ってしまった」
「ガルデン様が、手ずから料理を……?」
「ああ」

ことん、と何かが盛られた皿を、備え付けのテーブルに置くガルデン。
それは白い湯気を立てる、狐色で小判型の……

「……こ、コロッケ?」
「そうだ。マッシュポテトが余っていたのに、塩胡椒と衣をつけて揚げただけだがな……」
「し、しかし何故コロッケを?」
「まあ、座れ」
「は、はい」

先に席に着いたガルデンが鷹揚に言うのに、シュテルは慌てて頷き、その向かいに座った。
深夜の厨房、皿に盛られた揚げたてのコロッケを挟んで向かい合う、主人と下僕。
奇妙極まりない構図。

「……シュテルよ、昔を覚えているか。
 まだ『一族』を統べる者が無く、その任を負うべき私は未熟なガキで、力欲しさに必死で足掻いていた時代の話だ」
「…………」
「私の元にはイドロとお前と、若干の『一族』の者だけ。
 国も無く、縁(よすが)は我々のその身のみ。
 正に身を寄せ合い、古く狭い打ち捨てられた家に、息を潜めて暮らしていたな」
「……はい」
「あの頃は何しろ金が無かったから、今の様な栄耀豪華な食事は出来なかった。
 それでもお前やイドロは、私や『一族』の者を飢えさせまいと、自分の身を削ってでも三食を作って卓に出した。
 ……今の様な派手な金の稼ぎ方は、やはり当時のお前達には出来なかったろうから……食費の面だけでも、相当な苦労をかけたと思う」
「……それは」
「私が気付かないとでも思っていたか?」
「……………」
「……コロッケも、そんな時に良く出た料理の一つだったな」
「ガルデン様、フォークを……」
「要らん」

―――――サクッ、と、小気味良い音を立てて、白い歯がコロッケを噛む。

「……熱い」
「ガルデン様は、猫舌だった筈では……」
「今もそうだ。が、冷めたコロッケが美味いと思うか」
「……いえ」
「それに、フォークとナイフで食うコロッケと、手で摘んで食うそれと、どちらが美味いと思う?」
「…………」
「そんな事を言われても、という顔をしているな。
 ……シュテル、もう一度訊こう。昔を覚えているか?」
「は、はい」
「それでは、私がこうしてコロッケを手で摘んで食っていた事は、覚えているか」
「……いえ、ガルデン様はいつも、どんな料理でもきちんとテーブルマナーを……」
「そう、イドロが煩かったからな。
 しかし、だ。私はこうして、お前の前で、行儀悪くも手掴みで、コロッケを頬張った事があるのだぞ」


「あ」


「思い出したか?」
「思い出しました……」

頭を抱えるシュテルを、面白そうに見つめるガルデン。
その細めた猫の様な瞳が、昔の彼の幼い笑顔と重なる。

「その頃の私は育ち盛りであったから、三食だけでは足りなくてな。
 よく腹を空かせていた。
 が、イドロや部下の手前上、そんな事は言えなかった」

指についたパン粉を舐めるその仕草まで、昔と全く同じで。

「言えなかったのだが、お前には見抜かれていた様だな。
 ある時お前は、紙に包んだ揚げたてのコロッケを私に差し出した。
 全く唐突に、無言で、少し困った様な顔をして」
「あ、あの頃は、この姿を取って間も無い頃で、作法が判らず、……
 ……大変無礼を致しました」
「無礼だなどとは思っておらん。
 ……それに私は、元々ヒトでは無い癖にヒトに似た姿を取り、慣れぬ『声』と『言葉』で訥々と話す変わり者の事が、当時から気に入っていた」

シュテルは、テーブルの下でぎゅっと拳を握った。
そうでもしなければ、顔がしまり無く緩んでしまいそうだった。
しかしそうして顔を引き締めても、頬が熱くなってくるのは隠し様が無かった。
原因の一つは、顔が緩むのと同じ、嬉しさ。
もう一つは―――――

「……その、己は、無調法者で……
 今でさえ、己に出来る事の少なさに喘いでいる様な有様なのです。
 なので、どうかこの下僕を哀れんで下さるなら、ヒトの姿を得たばかりの頃を話されるのは……」
「……恥ずかしいか?」
「……はい」

でかい図体を縮めて俯くシュテル。ヒトの身というのはどうしてこんなにも感情が表に出易いのだろうと、そんな事を考えているに違いない。
ガルデンは二つ目のコロッケを摘みながら、笑みの滲んだ目で、昔と変わらぬ下僕を見つめた。

「では、ヒトの言葉に不慣れだったお前が『オカエリナサイ』や『オヤスミナサイ』と咄嗟に言えず、冷や汗を流した挙句いつも、抱擁やら口付けやらで誤魔化していた事も……何故ヒトの姿を取るのか尋ねた時に、二時間以上掛かってやっと一言『いつも貴方の傍に居たいからです』と答えた事も、今回は言わない事にしよう」
「……あああああ」
「それよりも、コロッケの話だ。
 ……あの頃はいつもイドロが食事を作っていたな。
 本来なら炊事などが似合う女ではないのに、……あのコロッケも、イドロが作ったものだったのだろう」

子供の無邪気さか大人の慈悲か、本当にさらりと話を変えて、ガルデンは首を傾げた。
それにシュテルは慌てて頷き、まだ熱い頬を大きく無骨な手で隠しながら答える。

「はい、そうです。……夕飯の支度をしている所から、一つ失敬しました」
「やはりか。……普段、皿に盛られてナイフとフォークで食べるそれと同じ物の筈なのに、やけに美味く感じられてな。夢中で食べた。
 ……が、同時に無性に悲しくなってな」

薄い唇が、少し苦い笑みを刻む。

「どうして自分は、こんなコロッケ一つで満足しているのだろう、と。
 どうして自分は、部下に……お前に、そんな気を遣わせてしまったのだろう、と。
 ……自分の不甲斐なさが染みた。悔しかった。惨めだった。このままではいけないと思った。
 いつか『一族』を纏め上げ、コロッケなど目では無い程の豪勢な料理を、飽きるまで皆に食わせてやろうと、そう思った」
「……………」

シュテルは、……あの日あの時、嬉しそうにコロッケに齧りついていた幼い子供が、その安い油で汚れた口元を笑ませながら考えていた事を初めて知り、……敵わない、という思いを一層強めた。
自分は、この男には敵わない。
敵う筈も無い。
下僕とか主人とかそういうのを抜きにして、心から感服した。圧倒された。打ちひしがれた、と言っても良い。

「……そしてガルデン様は、ガルデン様が願った通りの夢を実現させたのですね……」
「食事の面に限定すれば、だがな」

ガルデンは首を巡らし、広い厨房を見渡した。
この厨房と、隣接する食料貯蔵庫は、ガルデンの下で働く者達の胃袋を一時に満たすだけの設備と物を、常に備えていた。
また、特定の職や家を持つ事が難しい環境で生きざるを得ない「一族」の常として、庶事に器用な者が多かった為、調理者はそこ等のお抱えシェフより豊かな技術と知識をもっていた。
肉、魚、野菜、果物、パン、牛乳、酒、蜂蜜……
整った設備、優秀な調理者……
何でもあったし、何でも作れた。
階級や能力に関わらず、ガルデンの下で働く者達に出される食事は、常に豊かだった。

「……しかし、な」

再び目の前の皿に視線を落としたガルデンは、少し悪戯っぽい笑い声を漏らした。

「これだけ豊かな食材があって、望めばどんな美味い物でも食えて、調理者にも事欠かず、不器用だったお前でさえリゾットなどというものを軽く作れる様になったというのに……
 ……どうしてか、急にこれを食べたくなる事があるのだ」

飾り気の無いコロッケ。
肉も、玉葱も、グレービーソースさえ無い、何とも素朴で無粋な食べもの。

「手で掴んで、熱い揚げたてのコロッケを食べると、あの時と同じ……
 悔しさと惨めさが混じった味がする。
 もう二度と味わいたくないと強く強く思った味なのに、
 ……どうしてか、私はこれを求めてしまう」

また一つコロッケを咀嚼する。
二度と味わいたくない筈のそれを食べる彼。
その表情に滲んでいるのは奇妙な程の穏やかさで、……それはシュテルが未だ理解し得ぬ「懐かしさ」に似ていた。

「忘れてはいけないのかも知れない。
 この味を、私は忘れてはいけないのかも知れない。
 だからこうして、真夜中に、突然……忘れたくとも忘れられやしないのに、わざわざ記憶を掘り返すような真似をしているのかも知れない」
「ガルデン様」

思わず名を呼ぶシュテルの声に、彼は顔を上げた。
普段通りの、薄い笑みを浮かべる彼だった。

「詰まらん話をしたな」
「いえ、そんな」
「ああ、全く馬鹿らしい。わざわざ好き好んで嫌な思いをするなど、お前じゃあるまいし」
「そっ、それはどういう……」

今度こそ真っ赤になって席を立ち、思わず食って掛かるシュテルの、その口元に人差し指を押し当て、ガルデンは囁いた。

「余り大きな声を出すな。闇に生きる我等では有るが、此処では当直制で職務が進む為、今眠っている者も居るのだ」
「………も、申し訳御座いません」
「それとな、シュテル。良ければ、リゾットを作ってくれ」

赤い目を瞬かせる下僕に、主人はやはり幼い頃と同じ、悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「幾ら昔の事を思い出したとて、やはり昔は昔。
 今の私は、余り油っ気の多いものは好かん。翌日の胃にもたれるのでな。
 だから夜食は、さっぱりとしたもので締めたいと思う。
 ……出来るか?」

シュテルは、……この夜初めての自信に満ち溢れた表情を浮かべた。

「お任せ下さい、ガルデン様。
 舌と胃に優しいリゾット、すぐに作ってお持ちします」
「出来れば、野菜を入れて欲しい。色のついた野菜と、ついていない野菜。
 それと茸。スープは鶏か魚介、パセリを散らしてくれ」
「チーズは如何致しますか」
「パルミジャーノを少しだけ」

其処まで言って、ガルデンは席を立った。
立ち去り際、「出来上がったら寝室に持って来てくれ」と言い置いて。

「イエス、マスター。何時もの侭に、仰せの通りに」

優雅なブーツの足音が遠ざかり、厨房の扉が閉ざされるまで、シュテルはその場で頭を垂れ……
それからゆっくりと身を起こし、首元のタイを締め直した。

冷めかけたコロッケは、夜勤の若い衆が喜んで平らげるだろう。
それを作ったのが誰かなど、思いも馳せず。
恐れ多い事では有るが、勿体無いとは思わなかった。
何せそれは「過去」の味で……
……「今」の彼が求めているのは、不器用な下僕が主人の好みに合わせて腕を磨いた、優しく何の気負いも感じさせない味のリゾットなのだ。

「……己は、好き好んで嫌な事をしているのではありませんよ」

上着を脱ぎ、シャツの袖を肘まで捲り上げる。
普段は武器を持つ手で厚手の鍋を取り、雷を呼ぶ力でチーズおろし器を引き寄せる。

「己は、好き好んで、好きな事をしているのです」

そう、こうやって、戦以外の事も、貴方の為なら。

昔から何も変わらない思いを胸に、一人きびきびと働く下僕。
その様子を閉ざしたドア越しに見取り、溜息混じりに微笑んで、主人は厨房を後にした。


―――――

「闇の君主」というキャラクターから遠く掛け離れた、豆腐屋のラッパが聞こえてきそうな話になってしまいました。
最初はボジョレー・ヌーヴォー解禁の話題から入って、何かハイカラな話を書こうと思っていたんですが。

漫画版のガルデンは子供の頃から凄い苦労をしてきた人、という雰囲気がありまして。
それ故、私個人のイメージの中では、彼は料理も洗濯も出来るし、金銭感覚はカッツェ並みに発達しているし、中間管理職としての業務を果たしながらも「一族」の事を大切にしているし、高級な物より庶民的な物、フレンチディナーよりコロッケやカレー、ドンペリより焼酎、ハーゲンダッツよりガリガリ君を好みそうな気がしてしまうのです。

でも本当に私が一番気になっているのは、シュガルの筈のこの話がガルシュにしか見えないっぽい事です。
ウワー(慄然)



ラーメン屋の屋台をつけ回す
2003年11月19日(水)

まずは本日の更新。

「LINK」に素敵サイト様一見お目見え。
hige*chu!」様です。

これからリューナイトも更新されるそうで、しかも管理人様はガルデンがお好き……!!
ここここちらは赤丸チェックですよ奥さん!!

それでは、また後程!

―――――

シュテル(擬人化)のダークリューロードバージョンの服装を考えようと思って色々描いていたら
黒のタンクトップに金アクセ、レザーの半ズボンにナイロン黒靴下とかになって
頭痛いのでもう寝ます。


アースティアTV始末記
2003年11月18日(火)

日テレの視聴率操作問題の会見などを見ておりましたが。
あれがアースティアTV(by特典CD1・2巻)で起きたらどうなるんだろうと考えました。
多分ガルデン製作部長は減俸の上、左遷。
パッフィープロデューサーとグラチェスプロデューサーは懲戒免職。

しかしそれは実は、ライバル局「カオスティアTV」が仕掛けた罠で、自らの仕事に誇りをもつガルデン、パッフィー、グラチェスの三人は、己の潔白を証明し、カオスティアTVの者達に真のエンターテイメントを見せるべく、弱肉強食のTV業界を暗躍する事になるのです。


もしくは「事故に巻き込まれて、被害者であったにも拘らず興味本位の取材の所為で加害者扱いをされ、その後のカオスティアTVとアースティアTVの過熱した報道合戦の為に、己ばかりか婚約者や一族の人生まで目茶目茶にされた男の復讐劇」とか。

―――――

会議室に置かれたTVに映される、自局の記者会見の様子。
暗い室内で冷たい瞳を眇め、それを眺めているガルデン製作部長。
傍らには私設秘書のシュテルとイドロ(美女バージョン)。
「下らんな。アースティアTVの質も落ちた、という事だ」
嘲るように言い捨てる彼の脳裏には、これまで己が踏み台にしてきた会社や人々の姿が一瞬よぎり、また消えていった。

―――――

で、この後ライバル社のカオスティアTVのヘッドハンティングに応じ、辣腕振りを発揮して見せるのですが、最終的にはカオスティアTVも(内部告発などを使って)裏切り、破滅への道を突き進んでいくという。


特典CDのあのライトでコミカルな雰囲気ぶち壊しですが。


下僕の本分
2003年11月17日(月)

ミルキーのCMで、子供が帽子を探してて、途方に暮れたりべそをかいたり、最後には公園で見つかって、良かったね、という感じのものがありますよね。
あれ、帽子を見つけて駆け寄ってくる子供の目の前で謎の男がそれを取り上げ、「返して欲しかったらミルキーをママに貰って持って来い」とか脅迫して子供をおろおろさせた方が、クールなCMになると思うのですが。
ミルキーのCMにクールさは御法度ですね済みません。こんばんは、TALK-Gです。

この日は夜篠輪嬢と共に、1月11日のイベントで(もしスペースが取れていたら)発行する本について色々考えておりました。
おりましたが、結局纏まった意見は
「パティ可愛い・強い」
「シュテルは粘着質」
というくらいのものでした。

多分出すなら、イチャイチャラヴラヴパティガルか、M下僕攻にS女王受のシュガル(シュテル×ガル)、漫画版ガルデンハーレム状態(ガルデン×美女バージョンイドロ含)のうちどれかかと。その頃には通販も何とかしていたいです。

パティは可愛いですね。
勝気で男勝りだけど、何処か夢見る乙女のようなキュートな面も持ち合わせているというのがグッときます。
あと、ガルデンが色々と悩んでいても、そんな悩みごと彼を受け入れてしまう強さも持っていそうで。
恋する乙女には誰もかなわないというか。
パティガル視点の話ですが。

シュテルが粘着質というのは、話せば長くなるのですが。
聞けば短い物語で。
あんな主人に長年仕えているからには、其処には単なる忠義心以外の感情もあるのではないかと。
独占欲とか、御主人様の事を深く知らない他者への優越感とか、そんな下らない人間が放つ(御主人様の目を眩ませる程の)強い輝きへの嫉妬心とか。そんなものが長い年月の間に、シュテルの胸の内には凝り固まっているんだろうと、夜篠嬢は述べておりました。
シュテガル視点の話ですが。

あとシュテガルで「ピューと吹くジャガー」パロとか。
ジャガーさんはアデュー、ピヨ彦はサルトビ。ハマーがシュテルで高菜ちゃんがガルデン。

シュテルってブルーハーツの曲が似合いそうだよねとか。


シュテルに一番似合うのは「恋の奴隷」だと思いますが。
似合いすぎて洒落にならないほどに。



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