せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2005年06月22日(水) 「Four Seasons 四季」稽古

 朝、大寝坊する。あわてて、平田さんに遅くなるとメール。起き出したのだけれど、なんだかふらふらするので熱を計ってみたら7度8分あった。びっくりする。たしかに風邪気味だったけど、おなかこわしてるだけでなんとかやりすごせると思ってたのに……。バファリンを飲んで、しばらくお休みの連絡をしようかどうしようか考えたのだけれど、やはり出かけることにする。大雨なのでバスで北越谷まで。その後の連絡の悪さで、なんでこんな時間に?という時間に到着する。申し訳ない。
 今日の講師は鴻上尚史さん。全員で和になって拍手をまわしたり、ポーズをまわしたり。それから彫刻家と粘土のエチュード、棒をつかってのゲームなどなど。子どもたちはとってもいきいきと取り組んでいた。去年は体育館で2クラス合同、しかもとっても暑い日でなかなか大変だったのだけれど、今日は特活室で1クラスずつ。とても楽しい授業になったと思う。
 お昼休みから5時間目にかけて、来週の授業で使う作文を、子どもたちが校長室までとどけにきてくれる。いろいろなけんかについて書かれたもの。書いた順にどんどんじかに持ってきてくれるのが、とってもうれしかった。授業中に校長室に来るのってどんな気分なんだろうと、小学生だったころのことを思いかえしてみる。作文は、明日、劇作家協会で篠原さんと二人で明日、構成することになった。
 午後から、録音のお仕事。ネットラジオ用のナレーション録り。とても楽しく、勉強させてもらいながら、なんとか録りおえる。どうもありがとうございました!
 その後、ノグが以前録った台詞のリテイクにつきあわせてもらう。そして、帰り道、ノグに感想をいろいろ話しながら渋谷まで。
 夜は稽古。ノグはお休みで、あとはそろった。早瀬くんはけっそりやせて実家から戻ってきた。小林くんの風邪も回復。代役で稽古してもしょうがない台本なので、エチュードやシアターゲーム「だけ」をやると宣言。昼間の鴻上さんの授業も参考に、ひたすら遊びたおす。
 大事なのは、上手な芝居をつくることじゃなくって、舞台の上の僕たちの間にちゃんとしたコミュニケーションが成立することだ。普段ちゃんと話せなかったら舞台の上でちゃんと話せたってしょうがない。ていうか、話せるわけがない。
 100円ショップで買った風船をパスしながらのしりとりがとっても新鮮だった。天辺くんと早瀬くんは元体育会系的に熱くなってしまって、しりとりが時々アバウトになる。それもまた新たな発見。今週はこんなことをいろいろやってみようと思う。
 稽古がえりのみんなの顔が、なんだかとっても和んでいて、それは楽しい遊びをした後の子どもの顔なんじゃないかと思った。昼間の富士見丘小学校の子ども達の顔によく似ていた。
 芝居のしかたやら役作りやらで眉を寄せて悩んでる顔よりも、こういう笑顔と僕は芝居がしたい。この笑顔の向うにこそ、悩んでしまう理由を解決する道もあるに違いないと思うから。

 「Four Seasons 四季」初日まで、あと35日!


2005年06月21日(火)

 練馬から西武線に乗って座ったら、襟元に虫がとまった気配。びっくりして右手で払いのけようとしたら、少し浮いた襟首から背中に入ってしまった。さらにびっくり!
 かさかさ動くかんじは、ハエなんかのやわらかい虫じゃなくて、蜂や甲虫系の固い虫の感触。僕もびっくりしたけど、向うもびっくりしたようで、一生懸命出口を探して動いている、その足取りがかんじられる。わあ……。
 「ごめん、出ておいで」と襟首を広げたら、すとんと下に落ちてしまって、こんどは右の脇あたりでもぞもぞしている。信じられない! やつは苦し紛れに、噛みついたようで、そいつの足跡をたどって、ちくちくした痛みがある。どうしよう……
 やつをつぶしてしまわないように(つぶしそうになってやつがおそろしい反撃に出ないように)、右手を宙に浮かしてキープしている姿はとっても間抜けだったと思う。車内で上半身裸になるのは、さすがにためらわれたので、池袋まで行ってトイレでシャツを脱ごうと考える。でも、がまんできない。痛みとかゆみとかさかさ歩く「音」とそいつの感触!
 上に着たシャツを脱いで、中のTシャツのすそを外に出してゆすった。お願い、これでどこかに行ってちょうだい!
 どんな虫が出てくるかと思ったのだけれど、何もいない。とんでったの? それともまだいるの、どこかに? このあたりでちょっとパニックになる。ちょうど着いた椎名町の駅に、おぼれる人が岸にたどりつくときのような気分で降りて、大急ぎでトイレへ。シャツを抜いで、Tシャツを脱いで、今度こそ何が出てくるかと思ったら……
 何も出てきませんでした。やっぱりさっきの車内でやつは逃れたもよう。そのかわり、背中には足跡をたどるように直径3センチほどの真っ赤な腫れが、首筋から脇にかけて計6個。
 蜂が刺したら、もっと痛いはずだし、でも、あの感触は、羽のあるそこそこ大きな虫だった。だったら、一体なんだったんだろう?
 その後の帰り道でも、妙に背中がもぞもぞして気持ち悪い。微妙な痛みが残っているだけなのだけれど、そこからやつの感触までも再イメージしてしまう。もう、いないってわかってるのに。
 バスの中で、ふと、やつがセミだったらどうだったろうと考える。背中に入ってしまったセミ。絶対にありえないんだけど、ちょっと許せる気がしてきた。蜂はいやだけど、セミなら許せる、これは差別か? でも、セミだったら「よく鳴かないで我慢したね!」と言ってあげたいような気分にもなってくる。差別じゃなくてひいきか? そのうち、セミだったよかったのに、いや、きっとセミだったんだと思うようになったころ、背中のいやな感触もうすらいできた。
 いつも読んでいるアナウンサーの今泉清保さんのブログで、ホタルについて書かれていて、その中で「じゃんけんで負けて蛍に生まれたの」という俳句が紹介されていたのを夜、読んだ。
 気になってよそのサイトで調べてみたら、特攻隊の若者が、じゃんけんで負けて、志願兵として一歩前に出て、死んでいったという話をふまえて詠まれた池田澄子さんの句なんだとわかった(まちがった情報だったらごめん)。
 今の小学生は、この句を国語の教科書で習ってるんだそうだけど、恥ずかしながら、僕は、初めて知った。そして、とっても心を動かされた。背景以前に、イメージのひろがり方に感動した。こんな句を授業で知る子どもたちがちょっとうらやましかった。芭蕉や一茶もいいけれどね。
 最近、テレビの「世界で一番習いたい授業」という番組を見て30年近く前に僕らの世代が習った知識と今の常識は大きくかけ離れているんだということを知って愕然とした。
 人類の祖先、文明の始まり、それに「鎌倉幕府の始まり」などなど、今では僕らがならった知識は「あのときはそうだったけど今は違う」ということになってしまってる。
 今の子どもたちはどんな教科書で学んでるんだろう? もう一度、知った気でいるいろいろを、それから、僕らが子どものときにはなかったいろいろを、勉強してみたいと思った。富士見丘小学校の子どもたちの教科書もいつか見せてもらいたいなと思った。


2005年06月20日(月) 池袋

 仕事の帰りに池袋を少し歩く。新しく建て直しているというシアターグリーンをちょっと見てみようと思った。
 まだ工事中でコンクリートうちっぱなしの外観は、以前のさびれたアパートを劇場に改造したようなシアターグリーンの面影は全くない。
 それどころか、この一角がきれいになったせいで、通り全体がすっきりして見える。
 手前の路地を右に入ると、いいかんじのどらやき屋が「今日は売り切れです」の札を出して店を閉めていたり、せまい間口の蕎麦屋があったり、「月〜土、生ビールのみ放題1000円」の中華屋があったりする。
 お寺の奥のうっそうとした雰囲気がきれいさっぱりなくなっていることにはびっくりした。それくらい、あの「シアターグリーン」のじめっとしたオーラが強かったってことなんだろうか。
 駅までの道には、サイゼリヤ、ビルディ、大戸屋といった安いご飯どころが並んでいる。けっこう便利な街かもしれないと思いながら、いつものバス停に反対側から近づく。
 それだけなのに、景色が全然違って見える。
 これまで知らなかった池袋をいくつも発見した気分の短い散歩。


2005年06月19日(日) 人形焼き

 昼間、母親が買ってきた人形焼き。近くのホームセンターの前で、よく営業している、車で来て、その場で売っていく店の一つ。他には焼きたてメロンパンや焼き鳥などなど。
 で、その人形焼きは、キューピー人形の形そのままだ。背の高さ10センチ弱のまるごとのキューピーさんが、こんがり焼かれている。
 これは、なかなか食べにくかった。鯛焼きの頭をかじるどころではない抵抗感。普通の人形焼きは、頭だけだから、胴体がいけないんだろうか?
 それでも、結局、両手を上げてバンザイをしているポーズから、手足を一本ずつむしりとって食べてしまう。魚の活き作りや海老の躍り食いのような気持ちにちょっと近い。
 このアイデアを思いついた人は微妙に後悔してるんじゃないだろうか。
 母親は「この間食べたのとは生地が全然違う。この間の方がおいしかった」と言っている。


2005年06月18日(土) 小松川高校演劇部新人公演 「Four Seasons 四季」稽古

 午後から小松川高校演劇部の新人公演を見に行く。
 最寄り駅の平井から、開演ぎりぎり&このところの膝の痛みのせいで、タクシーでワンメーター。とっても愛想のわるい運転手。「小松川高校まで」と言っても、ノーリアクション。途中、携帯に電話が。それまでの無愛想ぶりとはうってかわって、とっても「スマイル」な声で応対。腹が立つ前におかしくなった。運転しながら電話してるし、スポーツ新聞をハンドルに重ねて、運転士ながらメモしてるし、つっこみどころまんさいだったのだけれど、何も言わずに降りる。いつもは「どうも」ぐらいの一言かけて降りるのだけれど、あえて無言。ドアが閉まったあと、やっぱりいやみの一つも言ってやればよかったと思う。
 開演前、OB、OGのみんなとごあいさつ。こないだまで三年生だったなっちゃんやマサくん、マドカちゃんが大学生だ。感慨深い。彼らが一年生の新人公演がついこのあいだのようだ。わりとよく会ってるコバヤシくんにゴッちゃん、シモジくん、ミズノくんたちに、ほんとにひさしぶりのサトシくん。そんなふうで客席は関係者でいっぱい。明日は地区の新人戦。一日かけて十数校の演劇部の新人が30分の芝居を次々上演するコンクール。よその学校の舞台を見に行ってる場合じゃないよね。
 芝居は、サトウヒロミ作「ラジカル同窓会」。3年生のサトチくんから、「男5人女2人の台本ないですか?」とメールをもらって、ネットで調べて見つけた台本。公開されてた前半だけ読んで、「これはどう?」と返事をした。その後、後半を取り寄せて読んだら、前半のおもしろさにくらべて、後半はややいまいちなかんじ。だいじょぶかしらと、正直心配だった。
 で、舞台は、のっけからとってもいいのりだった。たしかに滑舌が悪いところがあったりはするけど、このゲイやらニューハーフやらSMの女王さまが登場する芝居を、彼らはとっても素直に楽しんで演じているのがわかった。
 中でも電ボくんという一年生が演じたトランスセクシャルの役が思い切った演技で素敵だった。初舞台がそれってどうよと思いながら、それを言ったら、どの役もそうかと思い、どれも同じ用にフラットに演じてる彼らがとっても素敵に見えた。
 客席のOB、OGたちは、「演劇部の同窓会」という設定からして、かなりはまってしまい、ゲラゲラ笑いながら観劇。とっても楽しい20数分だった。
 終演後、恒例のOBOGの自己紹介&ダメだしタイムのあと、みんなでカラオケに流れる。僕は稽古があるので、お先に失礼する。駅までつきあってくれたコバヤシくんと、歩きながら、今日の芝居の感想、この頃の高校演劇事情などなどおしゃべりする。
 屈託のない高校一年生が演じる姿は、倍できかないトシの大人にも十分元気をくれた。ありがとうね、みんな。明日の新人戦、見に行けないけど、がんばってね!!
 夜は、稽古。
 コバヤシくんとハヤセくんがお休み。ストレッチ、シアターゲームのあと、エチュード稽古。久しぶりの「お話聞かせて」。「舌きり雀」「親指姫」「さるかに合戦」を、三人でリレーしながら語っていく。
 舌がなかなか切られなかったり(舌切雀)、かぐや姫のような登場のしかただったり(親指姫)、みんなで力を合わせて復讐の筈が一人でサルをやっつけたり(さるかに合戦)と、不思議な話が語られる。天辺くんとなんだそりゃなやりとりをしながら、語っていく言葉の距離をさぐっていく。
 台本の稽古は、今日も冒頭の流れを。言葉がどう届くのか、相手の反応をどう受け止めるか、などなど、演出というよりも、いろいろやってみる稽古。初演では、ちゃんと見れていなかったところを、ていねいにつくっていきたい今回の再演。台本どおりの稽古でも、一回ごとに違うことをやってもらう。
 みんなそれぞれ、いい反応。なぞらないということのおもしろさ。そして、引き算ではなく、まずは足し算で芝居をしていくことのおもしろさが見えてくる。


2005年06月17日(金) 大根

 仕事帰りによく立ち寄る酒屋さんでは、エスニック食材や有機栽培の野菜も売られてる。
 チヂミの素と冷麺を買ってレジに立ったら、店のおばちゃんと東南アジア系の女性のお客さんがおしゃべりしてた。
 「どのくらい有機?無農薬なのか?」など。その話のついでに「その大根がねえ、おいしいのよ」という話に。30センチほどの長さのとんでもなく太い大根。180円。おいしそうな葉っぱも元気よくついたまま、ごろんとしてる。「じゃあ、僕ももらいます」と言ってしまい、大根を抱えたまま、はるばる電車とバスに乗って帰ってきた。
 「大根あるのに……」と母親に言われたので、今晩料理するのは断念。明日以降に持ち越し。
  
 「タイガー&ドラゴン」は「品川心中」の回。この番組、今クールのTVドラマの満足度調査で一位になったそうだ(ちなみに2位は「離婚弁護士2」。なんだかうれしい)。
 今日見ていて思ったのは、クドカンの脚本もいいけど、何より、長瀬智也の魅力がこのドラマを支えてるんだっていうこと。ほんとにいい顔して芝居してる。熱演だけとは言い切れない、すごさがある。なにか賞をあげたい気分。あ、こないだの「ヘドウィグ」の三上博史にもね。なにかこう「ドカン」とした賞。


2005年06月16日(木) 女のすごさ

 来週収録予定のネットラジオの原稿を読んでいる。18歳の役。イメージ画と自分のギャップにも、ハラハラするような気分。ともあれ、来週の収録が楽しみ。
 録画しておいた教育テレビの「私のこだわり人物伝 向田邦子〜女と男の情景」を見る。向田邦子について爆笑問題の太田光が語ってる。なかなか見応えがあり、独自の視点と語り口があざやか。今回は「男は女にかなわない」と題して、「女のすごさ」を物語る。
 「阿修羅のごとく」の名場面が取り上げられてる。加藤治子のところに乗り込んできた本妻、三条美紀がピストル実は水鉄砲を向けるシーン。八千草薫と加藤治子の鰻重のやりとりなどなど。ほんとにすごいなあとあらためて思った。
 太田光は、役名でなく、女優さんの名前で語ってるのが、なんともいえず親近感。「八千草薫が訪ねてきて……」みたいに。
 「一つの場面で同時にいくつものことが起こる。そんなことが書けるのは向田邦子だけだ」というコメントに納得。
 劇中に登場する女たちの思いの種を秘めていた向田邦子という女性のすごさ、飄々としたたたずまいからは想像できないところが、なんともいえず、すごいなあと思えてくる。
 バックに流れるのが大好きな日向敏文の曲なのもうれしい(それも、昔のやつばかり)。でも、それよりもずっと強烈に、テーマ曲になってるトルコの軍楽隊が奏でる「メフテル」は、今なお新鮮な迫力だ。しばらく頭の中に鳴り響く。


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