せきねしんいちの観劇&稽古日記
Diary INDEX|past|will
一日ダウンしてしまう。 今週の頭からOLバイトが忙しかったせいか、ひたすら眠ってしまう。 微熱もあって、へろへろだ。 夕方からのフライングステージの稽古を休むことにする。 「エレクトラ」の自習をしておいてちょうだいと連絡をする。 その後、また眠る。 冬眠のように。
| 2001年11月20日(火) |
TPS「遊園地、遊園地」 |
TPS(シアター・プロジェクト・さっぽろ)の「遊園地、遊園地」をシアタートラムに見に行く。 去年、「ゴッホからの最後の手紙」で一緒だった、山野久治さん、宮田圭子さん、それにいろいろ裏の手伝いをしてもらった、木村洋次くん(キム)が出ている。 作・演出は、札幌のHAPPという劇団を主宰している北川徹さん。 札幌で稽古している間、よく聞く人と劇団だったので、かなりわくわく。 開演前にロビーで斎藤歩さんと会う。 久し振りだ。 今、いろいろな映画に出たり、テレビに出たりと忙しいそう。 軽く挨拶をして、客席へ。 「ゴッホ」でお世話になった高田久男さんの装置の大きな階段が圧倒的な迫力で建て込んである。 席について、しばらくすると、隣に、やっぱり「ゴッホ」で一緒だった堂下さんが。 彼ともとっても久し振りだ。 おしゃべりしているうちに開演。 お話は、つぶれてしまった遊園地の跡地(埋められてしまっているから)に集まってくる様々な人達の物語。 遊園地の技師と彼の先輩。その妹である口をきかない女。 デートしているような若い男女。 そして、ここに住み着いているらしい、不思議な風体の三人の男女。 芝居づくりのためのエチュードでよくやるごっこ遊びがずっと繰り広げられる。 北川さんは、海外でパントマイムの勉強をしていたそうで、動きをとてもていねいに作っている。 今回のキャストは、彼の劇団のメンバーは一人だけ、他は札幌の役者たちの中から「演劇が好き」そうな人を選んだとのこと。 たしかに、みんな楽しそうにやってる。 でも、だから何?という気もしてくる。 一番芝居をしてたのは、高田さんの装置かもしれない。 終演後、ポスト・パフォーマンス・トークがある。 松本修さん、斎藤歩さん、北川徹さんが観客と語る30分。 初日だけあって、濃ゆい客席。 流山児さんが来ていて、イカすコメントをはいていた。あえて憎まれ口だって言っていく、芝居に対する体温の高さにちょっと感動する。 その後、ロビーで初日の乾杯のご相伴。 宮田圭子ちゃんや、スタッフの黒丸さん、舞監の熊倉さん、カメラマンの高橋さんたちと、あれこれ、おしゃべり。 山野さんは、お客さんと飲みに出てってしまったらしく会えなくて残念。 去年の今頃は、パブリックで「ゴッホ」をやってたんだなと感慨深い。
今日も自転車で稽古場へ。 鷺宮まで、約30分。 このあいだ初台まで行ってしまってから、ずいぶんとラクにあちこち行ってしまえるようになった。 中杉通りというのは、中野と杉並をつないでるからそういう名前なんだと、はじめて気付く。今更ってかんじだけども。 稽古は、昨日の続きをさくさくと。 オープニングと違って、ちゃんとしたやりとりが続くので、どんどん出来ていく。 テニスやバレーボールの芝居がおもしろいように、二人の役者のやりとり自体がおもしろい、そんな芝居にしてほしいと話す。 これは、こないだの「コペンハーゲン」を見て、考えるようになったことだ。 桜澤さんには、今日もたくさん動いてもらう。 昨日の稽古では、頭ではわかってるんだけど出来なくて、ずいぶん悩んでたみたいだけど、今日はしっかりしたもん。 セリフが先にあるんじゃなくて、まずカラダがあって、その後で言葉がついてくるような芝居をしてほしいとお願いする。 これはなかなか難しいことだ。 自分にはできないことをやってもらう。 そして、それがどんどんできてくるのを見ているのは、とっても嬉しく、そして感動的だ。 今日もたくさん感動させてもらった。 帰り道、上村くんと二人で阿佐谷の駅まで、自転車で一緒に帰る。 こんな風に自転車で連れ立って(?)走るのは、高校の時以来だと思う。 僕の折り畳み自転車はやっぱりスピードの点では、かなりトロいもんだと気が付く。 そりゃそうだよね。 エレベーターに人が乗ってしまったので、今日は、畳んだ自転車を階段で部屋まで上げる。 前ほど、重くない気がするのは、重さに慣れたからだと思う。 決して、鍛わったわけじゃない(たぶん)。 体重もほとんど変わってないし。 ただ、指輪がずいぶんゆるくなった。 くるくる回るようになって、時々邪魔な気がするように。 指から痩せるっていうのも、どうなんだろうか……?
朝から「ファッションチャンネルニュース」のMA@乃木坂。 久し振りにお世話になるスタジオは内装がすっかりかわってて、とっても綺麗になってた。 そのかわりに、塗装の溶剤の臭いがぷんぷんして、目がしぱしぱする。 「2002春夏ミラノコレクションレポート」の後半2本を、中出順子さんの解説でおしゃべり。 「グッチ」のトム・フォードが、きりっとしたいい男になっててびっくり。 彼はNYのテロを間近に見てたそうで、事件の後、今回のコレクションの構成をもう一度やりなおしたのだそう。 いつものパワフルでセクシーなデザインが影をひそめて、今回はリラックスしたゆとりのあるものが多い。 同じことを変わらずやり続けることも大事だけど、こういう素直な反応を自分の創作活動に反映できるというのも素敵だなと思った。 いつもは、苦手なトム・フォードなんだけどね。
夕方からは、「夜曲」の稽古。 自転車で上高田の稽古場まで。 ここは、どの駅からもとっても遠い不便な場所。 と思いきや、山縣くんの家の近所でした。 丁田くんが仕事でおそくなってる間、桜澤さんと、この芝居の話をいっぱいする。 演出の方針とか、そういうものをあれこれと。 丁田くんが来てからは、オープニングの場面をていねいに作り直してみる。 上手と下手を逆にするプランは、却下。今のまんまでいくことに。 缶ビールを使っての芝居を細かく作ってみる。 桜澤さんにいっぱい動いてもらって、緊張と弛緩がうまく連続するおもしろい場面になってきた。 もう少し先まで行きたかったんだけど、今日はここまで。 続きは明日。
帰り道、自転車で帰る途中、中野通りと早稲田通りの交差点にある閉店間際の花やさんで、小さな花束を買う。玄関に咲いてた百合が終わってしまったので。 衝動的に買ってしまってから、どうやって自転車に乗ろうかと考える。 片手に持つのはあぶなっかしいので、ショルダーバッグのポケットにさしたんだけど、結局、ずっと、落ちやしないかとハラハラしながら、こぐことに。 白いトルコ桔梗は、暑い時期だとすぐにしおれてしまうけれど、この季節なら、わりと持つかもしれない。 久し振りに青いガラスの小さな花瓶を出してきて、活けてみた。
今日は、フライングステージと「夜曲」組の合同稽古。 二つの稽古のスケジュールがブッキングしてしまったので、一緒にさせてもらった。 フライングステージは「エレクトラ」の稽古を一休み。 「夜曲」組は、いつもと違う大人数のトレーニングをしてみようと思って。 といっても、今日はフライングステージはお休みが多い。 高市氏とマミーは風邪でダウン。 結局、僕とノグと荒くん、それにフッチーと細川くん。以上がフライングステージチーム。 「夜曲組」は、桜澤さんと丁田くん、それに上村くんと優希ちゃんの4人。 計9人でいろいろ遊んでみる。 ストレッチから、いつもの拍手を回すのをやって、しりとり。 それから、椅子とり鬼ごっこ。 サカナのエチュードもやってみる。 後半は、外郎売りをみんなで。 さすがに丁田くんと桜澤さんは立派なもんだ。 最後に、2チームに分かれて、「お話聞かせて」をひさしぶりに。 細川くん、荒くん、上村くん、ノグチームは、「一寸法師」を。 優希ちゃん、フッチー、桜澤さん、丁田くんチームは「カチカチ山」を。 それぞれ10分くらいを、順番にしゃべってもらったんだけど、なかなかおもしろかった。 「一寸法師」はオリジナルの話にほぼ沿いながら、みんなちゃんと語ってるかんじ。 荒くんのお話し慣れしたかんじと、上村くんの「芸能」っぽいかんじがなかなかおもしろかった。 対する「カチカチ山」は、なかなか大変そうだった。 出だしから、優希ちゃんが「キツネとタヌキが……」って始めてしまって、どうなることやらってかんじ。 次から、キツネはどこかに行ってしまって、ウサギとタヌキになったんだけど、かなりむちゃくちゃな進み方だった。 おもしろかったけど、チーム感はイマイチだったかな。 時間が来たので今日はここまで。 はじめて一緒にやったんだけど、思いのほか、楽しく気持ちよく遊んでしまえることができて嬉しかった。 「夜曲」組のみんなも楽しんでくれたみたいでほっとする。 三軒茶屋の駅で、昨日、新国立劇場で会ったフライングステージのお客さんのヒメノさんと遭遇。 彼とは、新国立劇場に行くたびに、何故かばったり会ってしまう不思議な間柄。 今日は、コクーンで「地下鉄1号線」を見てきたのだそう。 僕はこういう偶然が大好きだ。それにしても、2日連続っていうのはスゴイよね。 と思ってたら、JR渋谷駅のホームでいっこうちゃんにも遭遇! 「タックスノットに行こうかどうしようか迷ってる」ということだったので、「これは運命よ」とばかりに一緒に行くことにする。 パチパチやエイジさんとしゃべり、きちんと終電で帰る。 今度は自転車で新宿までっていうのをやってみようかと思う。
| 2001年11月14日(水) |
新国立劇場「コペンハーゲン」 |
朝10時発売の新国立劇場のZ席をゲットするため、出かける。 ほんの出来心で、自転車で行くことにする。 高円寺から初台までは、青梅街道→山手通りというのが一番簡単そうなのだけれど、途中でふと「近道」がしたくなり、何の根拠もないのに、右折してしまう。 思い切り坂を上り下りし、中野新橋の駅前を通り、延々とくねくね曲がり、幡ヶ谷の駅前で甲州街道に出る。 道は細いし、人は多いし、かなり後悔。 それでも、無事にチケットはゲット。 自転車を、初台駅前の地下駐輪場に100円でとめて、OLバイトに向かう。
夕方、電車で初台まで行き、ずっと見たかった「コペンハーゲン」を見る。
内容についてはこちらを→ コペンハーゲン
この席には何度座っただろうってかんじの、2階下手側ギャラリーの舞台寄りの席。 今回も舞台を張りだしているのでとっても見やすい。第一とっても近いしね。 15分の休憩をはさんで2幕、2時間50分の芝居。 これは、とってもすごい芝居だった。 もう、すごいとしか言えない。 セリフの芝居が好きな人にはたまらないだろうな。 登場人物は3人だけ。この3人がとにかくしゃべりまくる。 原子物理学のお話だから、きっと「勉強させられてしまう」だろうと思ってたんだけど、全然そんなことはなかった。 死んでしまった3人が、過去の一日を再現検証するというお話は、それだけで複雑そうなんだけど、この芝居では、その過程がほぼ3回繰り返される。 なのに、全然、わかってしまえる。 たくさん出てくる、日付や人名も、ちっとも気にならない。 一番すごいのは、「不確定性原理」だとか「相補性原理」とかっていう、物理学の理論が、芝居が終わった後では、理解できてしまっていることだ。 ハイゼルベルク(今井朋彦)と彼の師であるボーア(江守徹)とその妻のマルガレーテ(新井純)。 1941年の秋、ハイゼルベルクは何故コペンハーゲンのボーアの家を訪ねたのか? この芝居はその謎を解くための物語。 ハイゼルベルクはドイツ人、ボーアはユダヤの血が半分混ざってる。 ナチスがヨーロッパ侵略を進めていく中、二人は、それぞれ、原子物理学の研究をし、結果、原子爆弾の開発に関わることになる。 ハイゼルベルクは、ナチスのもとで原子炉の開発をし、ボーアはロスアラモスでアメリカの加原子爆弾の開発に携わることになる。 死んでしまった現在から過去の一日を照らし出すという構成は、ある一日を、それ以後彼らがどうしたかということも含めて検証する。 人の一生の中のたった一日というものが、ほんとにかけがえのないものとして浮かび上がっている。 そのたった一日を、大事に大事に見つめ直す三人の人物のいとおしさ。 第二次大戦の最中、戦争を憎み、原子爆弾の開発を何とか食い止めようとする二人の科学者の葛藤の切なさ。 そして、この膨大なセリフ劇を、見事に立ち上げている、役者達のすばらしさ。 僕は、1幕の途中から、泣けて泣けてしょうがなかった。 まさか、こんなに感動するとは思わなかった。立ち上がったら、足が震えてるのにびっくりした。 2幕はわりとほのぼのしたやりとりで始まるんだけど、戦争の悲惨さはどんどん浮かび上がってくる。 不確定性原理っていうのは、「粒子の位置と速度を同時に正確に測定することはできない」というハイゼンベルクが提唱した原理なんだけど、この「正確に測定できない」っていうことが、ある一日を再現しようとするときにいつも浮かび上がってくる。 人物の記憶が曖昧になってくるとかそういうことじゃなくて、一日を、そしてある人物を、物事を把握しようとするとき、物事とは、どんどんわからなくなってくる。 一つの事柄が見えたと思うと、もう一つの別の事柄はわからなくなってくる。 このお芝居は、そんなふうな、大きな謎、ほとんど哲学的といってもいいような、大きな謎の存在をぼくらの前に提出してみせる。 それもとってもスリリングでおもしろく。 難しい用語や、人名が、すんなりどころかとってもワクワクして見れたのは、彼らのやりとり自体がおもしろいからなんだと思った。 舞台には椅子が三脚だけ、大きなアクションもない、とってもシンプルな芝居なのに、とってもドキドキさせられた。 そして、芝居ってやっぱりすごいんだと思わされた。 この大変な戯曲に挑戦した三人の役者さんは、すばらしかった。 同じ役者として、ただ頭が下がる思いだ。 今度、出版されてる戯曲を買って、読んでみようと思う。 きっとすごい大変な戯曲なんだと思う。 読んでわかるよりも、たくさんのことを、舞台は僕に伝えてくれたんだろうと思う。
帰りは、自転車置き場から自転車を出して、山手通り、青梅街道という、素直な道順で高円寺まで。 きっと上り坂ばかりで大変……と思ってたのに、それほどでもない。 ともあれ、自転車は、ほんの少しの坂のありなしが如実にわかる不思議なのりものだ。 ていうか、ただ歩いてるときには、ちっとも気にしない、自分の鈍感さが見えてくるかんじ。
| 2001年11月12日(月) |
「2002春夏ミラノコレクションレポート」 |
朝から、ファッションチャンネルニュースのMA(録音)。「2002春夏ミラノコレクションレポート」。 久し振りの中出順子さんとのかけあいの番組。 ニューヨークのテロは、やっぱりいろんなところに影を落としてる。 9月11日は、ニューヨークコレクションの2日目にあたってて、初日にショーがあったブランド以外は、ほとんどが中止になってしまった。 ロンドンコレクションも、半分くらいが開催をとりやめ。 それでも、ミラノコレクションは、スケジュール通りにきっちり開催された。 それもまた、テロに屈しない、ある種の抗議だと思う。 ドルチェ&ガッバーナのように、平和へのメッセージをあらわしたメゾンもいくつもあった(彼らのショーでは、一番最後に、モデル全員が「I LOVE NY」のロゴの入ったTシャツで登場した)。 ファッションはテロに負けない。もっと言えば、テロにうち勝っていく。 僕は、そういう闘い方が好きだ。
夕方から、タカユキくんと会って、話す。 2丁目のココロカフェにて。芝居の話をもりだくさん。 その後、タックスノットに行く。 大学のゼミで「異文化交流」の研究のため「ゲイバー」に来ている、男女3人と遭遇。 「異文化」ってすごいよね。まあ、がんばってね。 今、ヨシオが出てる映画を撮ってる今泉くんがやってきて、ロケハンをしていく。 キタヤマさん、ハヤブチくん、そしてマサキさんと、おしゃべり。 しばらく、顔を見せないうちに、僕は「引きこもってる」と思われたらしい。 「台本が書けてないんじゃない」と言う、タックさんに、ケイちゃんは「書けてなければ、出てくるはず」と言ったらしい。……そのとおりです。 タカユキくんの終電に合わせて帰ってくる。 と、新宿の駅で、昼間買ったばかりの傘を店に忘れてきたことに気が付く。 またかってかんじ。
部屋に戻ると、ニューヨークで飛行機が墜落してる。 外から帰って、こうしてテレビの前に座り込んでしまうことが、この頃なんて多いんだろう。 この手のニュースが僕は苦手だ。ドキドキして眠れなくなってしまう。 でも、今日は早く眠るよう頑張ろう。できるだけね。
|