TOHGA嬢の生活



妹と2DKと、十歳年上の「弟」とティ・スプーンと

2003年04月09日(水)

 今年度最初の授業。

 2限の、「タダで受動的に有名オペラを鑑賞する為」に取った『オペラ史』の授業を寝坊のために自主休講。

 三限の授業は比較的真面目に受講。

 四限は授業を取らなかったので、五限の授業までの空き時間を図書館でぶらりと楽しく過ごしていた。

 するとそこへ、電話が鳴った。

 母からだ。

母 「あんた今、何処?」
私 「学校の図書館だね」(← 一応小声)

母 「一時間後は何処にいる?」
私 「学校の教室だろうね」(← 小声のまま出口に向かう)

母 「今から次女のトコに行くんだけど、一緒に来ない?」
私 「一時間後には五限は授業だっつーの」

母 「えっ、何だって?」
私 「まぁいいや、そっち行くよ」(← 出口には出たがもう用は済んでしまった)

 かくして五限も自主休講する羽目になった。

 ちぇ、ちょっぴり楽しみにしてた授業だったのに。

 天秤にかけたら、ほんの少しだけ授業が軽かった。


 さて、一時間後。

 遥々静岡からやって来た母の車(正確にはA氏の車なのだが)に乗り込んで、妹の新居へ向かう。

 そう、妹は引っ越したのだ。

 2DKのマンションへ、彼氏と一緒に。

 これが見に行かずにいれようか。


 少々道に迷い、私の大学の学生寮なんかも偶然見つけてしまった後、妹達と落ち合う。

 早速マンションを見せてもらう事にする。

 エレベーターに乗って、三階へ。

 想像以上にこざっぱりして綺麗な部屋だった。

 しかも洗面台がある。(私の住んでいる1Kのアパートには無い。台所の水場を併用するしかないのだ)

 ……羨ましい。


 部屋を見た後は、近所のパスタ屋で食事をした。

「お姉さん、何を飲みます?」

 妹の彼氏が私に尋ねる。
 彼は三十代だが見た目はどう見ても二十代前半だし、「次女のお姉さん」と言う意味で「お姉さん」と呼んでいるのだろうが、やはり違和感がある。

 まぁ、もし「TOHGAさん」なんて呼ばれても何か厭なんだろうけどね。

 とりあえずその店はフリードリンクだったので、私は
「ドリンクコーナーで見てから決めたいので」
 と、辞退する。

 妹は当前のごとく「コーヒー持ってきて」と命令? ……甘えていた。

 サービスコーナーに行って、紅茶を物色する。

 茶葉の入ったプラスティックケースの一つに『レディ・グレイ』の文字が書かれたラベルを見つけたのでそれに決定する。
 前にTVCMで見てから、トワイニング社の『レディ・グレイ』は飲んでみたいと思ってたんだよね。

 茶葉を入れようとポットを探したが、見つからなかった。

 よく見ると、ティ・スプーンに仕掛けがあってこれがティ・バッグの役目を果たすらしい。

 始めて見る珍しさに、単純な私は機嫌が良くなった。

 席に帰って見ると、妹と彼氏がメニューを見て何やら楽しそうにしている。

 私が席に着くやいなや、妹がメニューを私に向けて問いかけてきた。

「お姉ちゃん、デザートは何にする?」

 その妹の表情に覚えがあったので、何かを企んでいる事がすぐに分かった。

 大方、私が何を選ぶか二人で賭けでもしているのだろう。

 私は先ほど既にチェックしておいたドルチェの名前を指差した。

「うわぁ、そうきたか!」

 二人とも写真つきのメニューの中から選んだ為、私が選んだ名前と説明文しか載っていないマイナーなカスタードのお菓子(←つまり、名前を忘れたのだ)には気づきもしなかったようだ。

 ちなみに、彼氏がフランボワーズ・ソースのパンナコッタで、妹はティラミスを予想していたらしい。

 実はティラミスは第二候補だったので、流石は我が妹とでも言うべきか。


一抹の淋しさ について考えてみる

2003年04月08日(火)

 明日から新学期が始まる。

「大学生活も今年一年で終わってしまうと思うと、なかなかに淋しいものですね」

 そんな一文を綴る自分に驚愕する。

 今まで私は、こういったシチュエーションには無執着だったはずだ。

 幼稚園も小学校も、中学も高校も。

 入学・進級・卒業・門出。

 すべてに私は受動的で、何の感慨も覚えずに通り過ぎてきた。

 珍しい。大いに珍しい。

 この心境の変化は一体どうしたものだろう?

 と、暫し推察してみる。




 あぁ、そうか。

 私はこの大学生活が好きだったのか。

 取りたい授業を選択して。休みたい時は自主休講して。サークルに参加して。バイトでお金を稼いで。好きな時間に寝て、起きて。

 バイトに不満があった時もあったし、結局なんの資格も取得出来なかったし、第二外国語の授業や一・二年生時の宗教学はまったく面白くなかったりもしたけど。

 今の生活が大いに気に入っているからこそ、それを失う可能性を存分に秘めた卒業が怖いのだ。


 就職活動が芳しくないのも起因しているかも知れない。

 大学受験時は、「三流だろうがなんだろうが、とにかく何処かの大学には入っているはずだ」と思っていたから、余裕があった。

 しかし就活に関してはそれなりに自分も危機感を抱いている為、当然余裕はない。

 先行きが不安定に感じるからこそ、ある程度安定している現在がより良く感じる。

 まぁ、それはともかく。

 今まで殆んど無感動に捉えていた学生生活なるものに、今頃になって意義性を見出した事実については、筆するに値する変化だと思われるのだ。




 さて、そんな自分の現状を認識した事であるし、ここは何かに活かすべきだと思ってみた。

 考えて見ること数分。

 結局、日記のネタにする位しか活用法を見出せなかった。

 こんなんで、来春の私は大丈夫だろうか?


 答えは「神のみぞ知る」である。

 < あの時、ああしていれば…  …見る?  この時は知る術もなかった… >


TOHGA [はい、もしもし?] ここで逢ったが
人目!!