| 2006年01月13日(金) |
マタニティクラス第1回目。 |
今日は、午後半休をもらって初めてのマタニティクラスに行ってきました。いわゆる『母親学級』という奴ですね。
会場に着いたら、先に来てた人は1人だけ。あれ、ちょっと早かったかな?参加者も意外と少ないのかもね・・・なんて思ってたんですが、時間が近づくにつれて続々と集まってくる妊婦さん。最終的には20人以上にはなってたんじゃないかしら。病院側にとっても普段よりちょっと多かったらしいです。
最初は、助産師さんによる栄養指導。ちょうど昼食直後の時間帯だったせいもあって最初の30分ぐらい強烈な眠気に襲われましたが(笑)おおむね興味深く聞けました。
それからここの病院で出産した人のビデオ。私が行ってる病院ではソフロロジー法という出産法をとってるんですが、簡単に言えば 「陣痛の合間にうまくリラックスできるように事前にイメージトレーニングをしておいて、できるだけ痛みをうまく逃しながらのお産を目指す」 という事みたいです。
実際、そのビデオで見たお産は、よくテレビやドラマで見るような『妊婦さんが絶叫して先生も助産師さんも妊婦さんを叱咤激励しながらの修羅場』みたいなものではなくて、本人が楽な姿勢で横たわり陣痛の合間には全身の力を抜いてゆったりしてる妊婦さんと、足元で実況中継さながらに妊婦さんに声をかけて励ます助産師さん、そしてなぜかヒマそうに後ろをうろうろしてる先生(笑)という風景でした。
ちょっと休憩を挟んで、今度は先生による母乳育児の重要性の話。これがおもしろかったの。
母乳は赤ちゃんにとってもっともバランスの取れた栄養食です、という話は聞いた事があったんですね。で、先生によると、 「確かに、最近の粉ミルクはたんぱく質・糖分・脂肪分などの栄養バランス的には非常に優れてます。でも、結局は原材料が牛乳なんですね。つまり、粉ミルクメインで育てるという事は、産まれてすぐから異種族のたんぱく質を摂取する事になるんです。大人でも、肉ばっかり毎日食べ続けたら胃がもたれたり荒れたりするでしょう?たんぱく質の分解のために、腎臓も酷使されて弱ります。産まれたばっかりの乳児の胃は大人の胃よりもずっと胃壁も薄いし胃酸も少ない。その胃に、異種たんぱく質ばかりを与えると、赤ちゃんも胃が荒れるんです。腎臓も、完成はしてるけどまだ稼動し始めたばっかりの状況でいきなりフル稼働です。大人以上に弱ります。その点、母乳の原材料はお母さんの血液ですから、お母さんが健康体であればそれだけで栄養バランスの優れた母乳が出てきます」 ・・・・なるほど。
「母乳だと胸を出さないといけないから、必ず授乳の時にはスキンシップが取れます。でも哺乳瓶での粉ミルクだと、服を脱がなくても与えられますね。つまり、お母さんと赤ちゃんが素肌を触れ合わせる時間が減ってしまう。それは、双方にとって勿体ないことです」 ふんふん。
「最初はそんなにたくさん母乳は出ません。でも赤ちゃんが母乳を吸おうとするその刺激によって、お母さんの脳に信号が送られ、徐々に母乳が出やすくなります。やがて、赤ちゃんが泣いて乳首を含ませるだけで反射的に母乳が出るようになって、そうするとその時同時にお母さんの脳内でお母さんをもリラックスさせる物質が出るようになります」 ほほぅ。
「その物質は、お母さんのストレスを和らげる効果があるんですよ。つまり、授乳のたびにお母さんのストレスの軽減・リラックス効果が得られるんです」 へぇ。
「粉ミルクを使ってる場合ですね、たとえば夜中に赤ちゃんが泣き出したとしましょう。お母さんも眠いのに頑張って起きます。あぁ哺乳瓶は消毒してあったっけ、お湯はポットで60度に保ってるから大丈夫、お湯で粉ミルクを溶いて、でもやっぱりちょっと熱いから水で人肌まで冷まして、よし大丈夫となったところでようやく赤ちゃんをよいしょと抱き上げて、哺乳瓶を咥えさせる。飲み終わったら赤ちゃんを寝かしつけて、使った哺乳瓶を洗って消毒液に漬けてやっとまた寝れる」 そうだねぇ。
「でも母乳だったら、自分も半分寝たままでペロッと服をめくっておっぱいをふくませてあげればいいんです。やがて飲みながら満足したら赤ちゃんは寝ますし、布団をちゃんとかけておけばお母さんもそのまま寝ちゃってもいい。こんなに簡単で済むのに、なんでわざわざ手間のかかる粉ミルクを使う必要があります?」 ・・・・・・確かに。
もちろん、中にはどうやっても母乳があまり出ない人というのもいるそうです。 「その場合は、粉ミルクを使うのは全然構いません。それを恥ずかしく思う必要もありません。出来ない事を代用してもらうのは当然のことですから。でも、せっかく母乳という赤ちゃんに一番いい食料が自然に出てくるのに、それを敢えて使わずに粉ミルクを使うのは、うちの病院では絶対に勧めません」 なるほどなぁ。
母乳の味って、お母さんが前日食べたものに結構左右されるらしいです。助産師さんいわく 「極端な例ですが、前日に激辛カレーを食べたお母さんの母乳はカレー風味になりますよ」 ・・・・・・・・・・・・マジ?(汗)だから出産前から食事内容には気を使いなさいって事らしいです。
そんな感じで、最初の助産師さんの話からトータルで3時間弱。なかなか濃い内容でした。このマタニティクラス、出産までに後2回あるそうです。楽しみですな。
あ、あと、妊婦はできるだけ横座りをするなと言われました。その座り方って、骨盤がゆがむんだって。骨盤がゆがんでると赤ちゃんが出てきにくくて出産に時間がかかるし、母体にも赤ちゃんにも負担が大きくなる。だからできるだけ座る時は胡坐をかくか、足を伸ばして座ってくださいって。胡坐をかくっていう体勢が骨盤を広げるのに一番有効らしいです。
でもこの胡坐って体勢、慣れてないとわりとすぐ疲れますね。家でも気をつけてみたんだけど、油断すると無意識に横座りに戻っちゃうの。難しいなぁ。
| 2006年01月11日(水) |
「赤ちゃんは?」という言葉の威力。 |
突然ですが。
高校からの友達でキリネという子がいます。同じTM好きで気が合って仲良くなって、大学は違いましたが一緒にライブに行ったりしてずっと仲良くしてました。でも、数年前に彼女のちょっとした一言で私の心の中にわだかまりが出来てしまい、それ以来ちょっと疎遠になってる子です。
キリネは4年ぐらい前に結婚して、3回の流産と不妊治療の末無事妊娠、今は1歳半になる男の子のママです。
そのキリネからの年賀状にこんな一文が。 『夏ぐらいにはもう1人家族が増える予定です。今はつわりと戦いながら、なんとか頑張って注射で育ててます』 おや、2人目ですか。長男を産んだ後、まだ治療を続けてるとは知らなかったのでちょっと驚きました。でもまぁ無事妊娠できたんなら良かったじゃないか。
・・・・・・と思いつつ、引っかかったのはその後に小さく書かれてた一言。
『どう?同級生(笑)』
・・・・・・・・・・・・・・・・・深い意味はない・・・と言うか、キリネはそれ程深い考えがあって書いたわけじゃない。それは判ってます。でもね?
キリネにはまだ言ってなかったけど、私も妊娠してますよ。幸い、今のところ順調です。でも、妊娠してすぐの頃は大変だったわけですよ。一度は 「胎児が見えない。育ってないのかも」 なんて言われましたし、(年末の日記には書きませんでしたが)その時実は 「もしかしたら、胞状奇胎とか子宮外妊娠とかの異常妊娠を起こしてる可能性もあります。その時はちょっと大変な事になりますから」 とも言われてたんです。無事胎児が確認できてからも、原因不明の出血が続いて『切迫流産』の診断を下され自宅療養を余儀なくされ、つわりもひどかった。
もし、ですよ。
縁起でもない話だけど、もし、その時流産してしまってたら。
このキリネの一言はとんでもなく辛い一言だったはずです。
悪気はないとわかっていても、正直 「随分不躾な事を書くんだなぁ」 と思いました。
これを、別の友達が書いてたらまた印象は違ったと思います。結婚したと言ったらかなりの確率で 「じゃぁ次は赤ちゃんだね」 とか 「早くできるといいね」 なんて事を、世間話のような軽さで言われるものですから。
でも私は、そういう事って本当はそんなに軽々しく言っていい事じゃないと思うんです。
この日記にも時々出てきますが、私にはカツミという親友がいます。彼女はもう結婚して・・・・6年、7年目になるのかな?でも子供はまだです。結婚も出産も早くしたいと昔から言っていた彼女ですが、結婚前から非常に妊娠が難しい体である事がわかっていました。個人でできる治療はすでにやってましたし、結婚してからは旦那であるキュウさんと2人で頑張っています。もちろん、キュウさんはその事を承知で結婚しましたから、キュウさんの実家や親戚から何か言われても徹底的にカツミの味方になってくれてます。
カツミの大変さを見ていて、私は 「赤ちゃんは?」 と人に気軽に言えなくなりました。ただ単に本人がまだ望んでなくて、まだ妊娠してないのだったらいいんです。でも、もしかしたら本人はすごく望んでて、でもできなくて辛い思いをしてるのかもしれない。不妊治療だって頑張ってるのかもしれない。もっと悪ければ、妊娠できても流産しちゃった事があったりするかもしれない。そう思ったら、相手にひどく辛い思いをさせてしまうかもしれないそんな質問を、軽々しく、まるで天気の話でもするように口にしちゃいけないと思ったんです。
考え過ぎだという人もいるかもしれません。でも実際に、カツミはそれで辛かった。できにくい体なんです、なんて自分から言いたくはありませんから、カツミだって最初の頃は義両親や先方の親戚には黙ってました。でも、キュウさんは本家の長男で。義両親や、盆正月に集まる親戚に無造作に 「赤ちゃんはまだなの?」 と言われる事が辛くて辛くて、ついに彼女は体を壊し、精神までも壊れかけました。見かねたキュウさんが彼女の代わりに周囲に話し、 「今後一切、自分達にその話題は振らないでください。カツミは充分頑張ってるし、誰よりも自分達が一番、子供を望んでるんです。これ以上カツミを追い詰めないで下さい」 と宣言した事で、カツミは本当に救われたんです。
そして、カツミとキリネは友達です。元々接点がなかった2人が私をはさんで知り合い、偶然にも不妊治療という共通項でもって交流を深めました。どんな治療をしたとか、今回はうまくいくかもとか、やっぱりダメだったとか、一時期は私なんかよりよっぽど2人の方が密に連絡を取ってたぐらい。
そういう辛さを知ってるはずのキリネが、なんでこんなに無造作に 『どう?同級生(笑)』 なんて書いちゃうのかなぁ、と思ったんです。言わないだけで、私も同じ辛さを味わってるかもしれないとか、そういう可能性は少しも考えなかったんだろうか。まったくの健康体で、何の苦労もなく当たり前のように妊娠して出産した友達ならともかく、自分もそれですごく辛い経験をしたはずのキリネが、なんでハガキなんていう誰の目にも触れる場所でそういう事を話題にできるのかなぁ、って。
お正月にカツミも含めて友達と集まった時、私はキリネの年賀状の件はカツミに言いませんでした。キリネ自身が知らせてるかどうかわからない事を私から言う必要はないと思ったので。
でも先日、別件でミヅキとメールのやり取りをしてた時に、ミヅキが送ってきました。 『そういえば、キリネちゃんの妊娠の話し、聞いた?おめでたいね。でもキリネちゃん、カツミにも知らせたみたいで。正直、私としては“余計な事言ってくれたな”って感じだったよ。カツミがかなりショック受けててさ』
・・・・・・・・知らせてたのか。
『うん、私にも年賀状に書いてあった。だから私の妊娠も一応知らせたけど・・・・カツミにも言ってたのか。キリネとしては“隠すのも白々しいかな”って思った結果なんだろうけど、そうしょっちゅう会うような感じでもないんだから律儀に知らせてくれなくてもよかったのにね』
『私もそう思った。辛さを知ってるからこそ、もっとよく考えて欲しかったよ。そういうつもりはないんだろうけど、第三者として見てると“ただの自慢?”とまで思えちゃって』
今、キリネとカツミがちょっと疎遠になってるのは、やはりキリネが先に妊娠・出産した事が原因です。でもそれはカツミが心が狭くてそれを受け入れられなかったわけではないんです。むしろカツミは、キリネの成功を心から喜ぼうとしてました。
でもやっぱり、自分より後に治療を始めたはずのキリネが先に妊娠した事は辛かった。しかもそれに追い討ちをかけるように、キリネは検診の度に胎児の様子を知らせたり、産まれてからも他の用事のついでに意味もなく子供の写メールを送ったりして、それがカツミを疲れさせてしまったのです。
多分キリネにしてみれば、 「妊娠した事で変に遠慮したり、わざとらしくその話題に触れないのも却って傷つけるだろう」 と思っての事だったんだと思います。でも、不運な事に、それが完全に裏目に出てしまったのです。カツミは 「悪気がないのはわかってるんだけど、なんかやっぱり自慢されてるような気分になって辛い」 と言って、自分からキリネに連絡するのを控えるようになりました。
カツミは今県外に住んでるので、キリネと会う機会はほとんどないはずです。私達だって年に2〜3回しか会えないのに。最近のあの2人がどれぐらいの頻度で連絡を取ってるのかは判りませんが、正直、わざわざ言わなくても良かったんじゃないかな〜と思わずにはいられません。
じゃぁ自分はどうなんだ?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・・
私の妊娠は、比較的早い段階でカツミにも知らせました。まだ出血が止まらなくて自宅療養してた頃、ミヅキから 「今度遊びに行っていい?」 という連絡が来ました。でも元気なフリをして会える状態ではなかったので、正直に 「実は妊娠したんだけど、切迫流産の状態で自宅療養中なの」 と話しました。
そしてその時に、ミヅキに話すのならカツミとマキにも一緒に話そうと思い、メールをしたのです。カツミの返事は 『おめでとう!!早く出血が止まって、無事に赤ちゃんが育ってくれるといいね。北九州から祈ってるよ!』 というものでした。それは中学時代からの、実に人生の半分以上に渡る付き合いという土台があったからこそ信じて話せたし、本当に喜んでくれたのだと思います。
そしてまた、(こういう言い方は良くないかもしれないけど)私とカツミでは状況が違うという事もあったでしょう。
結婚前から治療に励んでいたカツミと違って、私は婦人科系の病気になった事もなければ流産した事もありませんでした。カツミにしてみれば、 『咲良は健康体だから、いつ妊娠してもおかしくない』 という対象だったはずなのです。その私の妊娠と、同じように不妊治療に励んでいたキリネの妊娠とでは、カツミの受けた衝撃の度合いも違ったのだと思います。
私は、知らせた後も、自分から必要以上に妊娠に付いては話題にしないようにしています。カツミがメールや電話で 「赤ちゃんの調子はどう?」 と聞いてくれた時だけ、 「もう○週になったよ。こないだ検診行ったら胎児が▲▲cmになっててビックリした」 と話す。知りたがってくれた時だけ知らせればいいと思うのです。知りたがってくれるという事は、今のカツミなら聞いても心穏やかでいられるからこそなのだろうなと思うので。
以前読んだエッセイの中にそういう話がありました。女性の作家で、結婚してもうずいぶんになるんだけど子供はまだいない。でも妊娠は神様の領域だと思うので不妊治療とかはしたくない、という人です。
その方が飼ってる猫が、ちょっと前に妊娠して、でもダメになってしまったんだそうです。しかも子宮の中で胎児が死んでしまったので、胎児ともども子宮を摘出するという大手術をしました。
それからしばらく経った頃に来客があり、雑談をしている所にその猫が来ました。お客さまは 「かわいいですね」 とか言いながら猫を抱き上げ、その時に言われました。 「赤ちゃんはまだですか?」
それまで全然そんな話しはしてなかったし、猫を抱き上げながら言われたので、当然その作家さんは猫の話しだと思いました。そこで正直にこう答えます。 「あ、こないだ妊娠したんですけどねー。ダメになっちゃったんですよ〜」 お客さまはうろたえ、 「そ、そうですか・・・・でも1回出来たんならまた次も期待できますしね」 と言われたので、また作家さんは軽ーく答えます。 「いやーそれがですねぇ。なんか子宮の中で胎児が死んじゃって腐り出しちゃったんで、子宮ごと摘出したんです。だからもう子供はダメなんですって」
その会話の後、あきらかにお客さまは居心地が悪そうな感じになって、話も早々に逃げるように帰っていって・・・・はて、なんであの人あんなにオドオドしちゃったんだろう?と考えた作家さんは、しばらくしてから気付くわけです。
・・・・・もしかして、最初の『赤ちゃんはまだですか?』は私の事だったのかな?その後の一連のやりとりも、猫じゃなくて私の事だと思われたのかも。
・・・・・・・・・・・それは居心地悪くなるよなぁ。彼女にしてみたら、とんでもない事を聞いてしまったと思ったんだろうなぁ。
その章の結びで、その作家さんはこんな事を書いてました。 『世間話のように軽く口にされる事だけど、本当はそんなふうに話題にしてはいけないのではないだろうか。今回はたまたま猫の話しだったからよかったようなもので、もし実際に私が“妊娠したけど流産して、しかも子宮を摘出しなきゃいかなかった”なんて経験をしてたら、最初の“赤ちゃんはまだ?”という質問だけでひどく傷ついていただろう。
良く考えてみたら、とてもデリケートでプライベートな話題だよね』
私がそう考えるようになったのは、カツミの事だけじゃなくてこの人の影響も大きいです。
考え過ぎだと思う人もいるかもしれません。でも、よかったらほんの少しでもいいから、考えてみて欲しいのです。女性にとって、『赤ちゃんはまだ?』の一言が、恐ろしい威力を持ってその人を傷つけるかもしれないという事を。
口にする方は、大抵の場合そこまで深く考えずに言ってる事です。でも、だからこそ、言われた方はより深く傷ついてしまう事があるのです。
もちろん、そこまで考えてない女性もたくさんいると思います。 「赤ちゃんはまだ?」 と言われて、明るく 「まだなのー。早く欲しいんだ〜」 と笑って答えられる人もたくさんいます。
でも、たとえわずかでも、その言葉で辛い思いをする人がいるかもしれないという事を、心の隅っこに置いておいて欲しいのです。
というわけで、さらっとタイトルが変わってます。
昨日1月9日、無事30代の幕開けを迎えました、咲良です。
と言っても、すんごい地味な誕生日でしたがね(苦笑)だって数日前からの風邪がまだまだ治ってなくて、のどは痛いし咳は出て辛いし外出できる状況でもないし、どうせいっちゅーねん!ていう状態ですよ。
しかも次郎君には忘れられてたし。
その前日の1月8日、次郎君は朝から出かけてました。所属する地元消防団の一員として出初式に参加してたのです。終わったらちょっと昼ご飯がてら飲んで、一旦帰ってきてから夕方から改めて新年会・・・というスケジュール。
夕方の出掛けに何気なく 「お帰りは何時ごろで?」 と聞いたら 「ん〜・・・まだわかんない。すごく早いかすごく遅いかのどっちか」 ・・・・・二次会に行くメンバー次第って事ね。 「早ければ10時ぐらいには帰ってくるよ」 「遅かったら?」 「・・・・・・・・3時か4時、かな」 「それ、いつも通りじゃん(笑)」 というやり取りを経て送り出したのが夕方5時過ぎ。
1人だし、まだのども痛くてあんまり食べたいものも思い浮かばないから、簡単なものでいいや〜と冷凍のうどんを茹でて冷凍食品のから揚げをチン。テレビ見ながらのんびり食べて、見るものなくなったのでちょっとネットして・・・・ふと気付いたらもう2時回ってるじゃないですか。
2次会以降のメンバーも楽しかったらしいな。
っつーかさー、もう日付変わってるから私一応誕生日なのに。しかも妊婦だし風邪も引いてるのに。心配してちょっと早めに帰ってやろうとかそういう発想は・・・・・・・・・・・ないんだろうなぁ。まぁ確かにプレゼントは『妊婦でも履けるかかとの低いおしゃれな靴』を買ってもらう事になってて、それは後日一緒に買いに行こうね、と話はまとまってるんですけどね。
もういいや、とベッドに入ったのが確か午前3時頃。そしたら、しばらくして次郎君が帰ってきた気配。ある意味予告通りの帰宅時間だ(笑)
明けて9日、朝から次郎君が出て行く気配がしました。あ、そういえばこの人、今日も仕事だって言ってたっけ。 「行ってくるね」 と声を掛けられたので半分寝たまま 「いってらっしゃい」 とチュウだけして私は二度寝。ちゃんと起きたら10時半。
また1人で朝昼ご飯食べて、テレビ見てたら・・・・・あれ、2時ぐらいには次郎君帰宅。仕事が早く終わったらしいです。 「もうちょっと寝る」 とコタツにもぐりこんだのでそのまま寝せてたんですが、なんか無性に腹が立ってきました。
・・・・・・・・・・・・・・コイツ、忘れてないか?
のんきにいびきまでかいて寝てる次郎君を見てたらなんか妙に悲しくなってきちゃって。だって誕生日なのに。前日に午前さまで、朝もちゃんと顔合わせてないのに、何のんきにぐーぐー寝てるのよ。そう思ったらなんか悔しくて涙が出てきてしまって、こそっと部屋を抜け出して洗面所で1人号泣。
泣いてるうちにどんどん考えはいろんな方向に広がって行きました。
結婚したらもう私の事なんかどうでもよくなっちゃったのかな。だから誕生日も忘れちゃったのかな。風邪もひいてるのに。妊娠だってしてるのに。全然心配してくれる感じじゃないし。私なんて、最近お腹も少し膨らんできたし、これから自分の体がどんどん見た事もない状態に変わっていって、男の人が経験したら死ぬって言うぐらい痛いらしい陣痛を乗り越えて子供産まなきゃいけないのに、出産に立ち会うのはイヤだとか言うし。仕事次第ではその時病院に来れないかもしれないとか言うし。次郎君が子供欲しい欲しいって言うから私も覚悟を決めたのに、結局大変なのは私だけじゃん。仕事だって、産休や育休を取るために、私近々異動させられるかもしれないんだよ?今まで私なりに頑張ってきたものとか全部無視して、そりゃ表向きは「業務量が少ない方が精神的にもラクだろうから」っていう理由でも、実際は『年度末の忙しい時期にまた急に長期休まれたら困るから』って、パートさんでもこなせるような仕事にまわされちゃうんだよ?休暇中の収入だってなくなるし、産んでからも今と同じ条件で働けるかどうかわからないのに、でも私は子供を産むためにそれだけの事を無条件に飲むしかないんだよ?自分にとって不利になる事がいっぱいあるのに、それでも私は頑張ってこの子を産むのに、次郎君はまだ実感がないとか言うし。出産に立ち会うのは怖いからイヤだとか言うし。怖いのなんか私だって一緒だよ。っつーか私の方がより怖いに決まってんじゃん。不安だから一緒にいて欲しいのに、お前の方が怖いとか言うな。あ、次郎君が起きた気配がする。あ、咳き込んでる。大丈夫かな。でも私だってきつい。ダメだ、次郎君だってきついのに、自分ばっかり心配して欲しいなんて言ってちゃダメだ。でもきついよぅ。もっと気にかけて欲しいんだもん。
そんな事をぐるぐる考えていたら益々涙が止まらなくなって、居間に聞こえないように声を殺してしゃがみこんで泣く。涙が止まらないのも困ったし、気付かれないようにしてるのに気付かれない事が悔しくてまた泣けてくるし。
しばらくそうやってたら、いい加減体が冷えてきた。いかん、妊婦に冷えは大敵だ。でもこんな泣き顔で次郎君がいる所に戻れない。でも寒い。
結局、水で顔を洗って気持ちを少しスッキリさせて、居間に戻ったら顔を合わせないようにしてコタツに潜り込む。 「大丈夫?」 と言われたけど返事をする気力も無くて横になったら、それっきり次郎君が何も言わないので“もうちょっと心配しろよ!”とさらに腹が立ってきて、むくっと起き上がってポコッとグーで殴ってやった。 「・・・・何?」 無言でもう1回ポコッ。 「頭を叩くなって、痛いんだから。・・・・・・どうしたの?」 「・・・・・・・・忘れてるでしょ」 「何を?」 「今日は何の日?」 「・・・・あ」
言いながら悔しくてまた涙が出てきた。ちくしょう、こいつ本当に忘れてたな?自分から催促して祝ってもらうなんてなんか悔しいじゃないのよ、ちょっと。
「ごめん、あ〜昨日の昼までは覚えてたのに!」 (無言でぼろぼろ泣く私) 「ごめん。本当にごめんなさい。本当は花ぐらい買ってこようと思ってたんだよ?」 (・・・・でも本当は今泣いてるのは、誕生日を忘れられてた事が悲しいだけじゃないんだよ?) 「ごめんなさい・・・・・本当にごめん」 (でも次郎君だって風邪ひいててきついのに。ほとんど寝てないまま今日も仕事に行って、疲れてるのは判ってるのになんで優しくできないんだろう) 「やっぱ昨日なんかお土産ぐらい買ってくれば良かったな。本当にごめん。元気だったら今から外食でも行くんだけどなぁ」
ひたすら謝ってくれるんだけど、私はもう自分でも何が悲しいのかわからなくなってて何も言えない。心の中にいろんな気持ちが渦巻いてて、一番言いたいのがどれなのかすらわからない。自分でもどうしたらいいのか判らなくて、さらに泣きそうになったその時。
・・・・・・・・・・・・信じられないタイミングで鳴る携帯電話。
出たらリナ。
リナが帰省中に友達で集まって新年会をやろうと企画してるんだけど、その話。とっさに我に返りなんとか普通に話したものの、切ったらまた涙が戻ってくるし。
そしたら、なんとまたそのタイミングで電話が。
今度は妹。 「MDに入れたいCDがあるんだけど、行ってもいい?」(←妹のコンポはMD部分が壊れてるらしい) と言うのでいいよ、と返事。人が来るのにいつまでも泣いてるわけにはいかないな〜・・・・ととりあえず部屋を片付ける。
30分程してやってきた妹が、なんとケーキを買ってきてくれたので危うくまた泣きそうに。頑張って妹がいる間はケンカ(と言うか、私が一方的に泣いてただけなんだけど)も中断して、一緒にケーキを食べる。結局、妹が帰った頃には気持ちも多少落ち着いてきてたので、なしくずしに仲直りしてしまいました。
でも夕ご飯を作ってあげる気分にはならなかったので、作りませんでしたが。だって私はついさっきケーキを食べたばっかりで全然お腹空いてなかったし、キッチンに立つのもキツイぐらい体がだるかったのに、何が楽しくて自分の誕生日に人のご飯だけ作ってあげなきゃいけないのさ。そう思って 「作りたくない」 と主張したら、次郎君もまだ申し訳ない気分だったのか、素直に自分で用意してくれました。(チンするだけの冷凍ピラフとカップ麺だったのはこの際何も言うまい)
そんな感じで何だか地味っつーか、なんか最悪の誕生日だったな〜・・・・とか思いながら寝て、今朝起きたら次郎君の風邪が悪化してるし(苦笑)
幸い、今日は次郎君は仕事を休めるというので、 「ちゃんと病院行くんだよ。きつかったら電話してね?」 と言い残して出勤。昼休みに電話したらちょうど病院を出た所だったらしく、帰ったらすぐ寝るんだよ?と言って午後の仕事。夕方帰る前に電話したらちょっとはマシになったみたいで起きてました。
夕飯はうどんとかお粥とかがいいかなぁ。うどんは冷凍があるし、お粥がいいって言われたらまずご飯炊かなきゃね。あ、年末に鍋した時の多少具が残った出し汁を冷凍してたんだっけ。あれで雑炊にしてあげてもいいな。
そんな事を考えながら急いで帰って・・・・・玄関先で固まりました。
下駄箱の上にでっかい花束。
居間に顔を出したら、次郎君は何やら図面を広げて仕事中。 「ただいま・・・・・・ねぇ、あれ、何?」 「おかえり。あれは・・・・・・あれは、ごめんなさいの気持ち」
・・・・・・・・・・・また泣いてしまいましたよ。
だって、付き合って3年、結婚して8ヶ月。花を買ってくれたのなんて初めてだったんだもん。
バラとかユリとか、赤やピンクをメインにした大きな花束。嬉しくて嬉しくて、ぎゅーーーっと抱き着いていっぱいキスしました。夕ご飯のうどん(次郎君の希望)には卵と鶏団子ととろろ昆布もサービスだ!(笑)
「元気になったら『梅の花』にご飯食べに行こうよ。2月一杯やってるっていう季節の懐石がおいしそうだったの」 「うん、いいよ」 「でね、約束の靴なんだけど、3月に高校の友達の結婚式なの。だからその前に買いに行こうね?」 「うん、わかった」
ちょっと元気になりました(笑)今こうしてあらためて思い返してみると、あの感情の高ぶりはなんだったんだ?という気もちょっとします。妊娠中は情緒不安定になる・・・というのはこういう事だったのかな〜と。こないだ病院で泣いてしまった件と言い、いつもならこれぐらいでこんなに涙が出る事ないのに・・・・やっぱり、風邪のせいもあって精神的にも弱ってたのかもしれないな。
こんな感じで始まった30代。どうなるんですかね(^^;
|