徒然なるままに・・・
翡翠



 さぐりあい・・・

とでも言おうか。
恋人同士 と言えるほど心を許しあってはいない。
いったいこいつは自分と合っているのかどうか・・・
お互い探ってるような気がする。
少なくとも私はそう。
激しく燃え上がる恋愛感情というよりは
少し覚めた目で 彼のことを見ている。
ここは許せるか 許せないか・・・。
一つ一つ ふるいにかけている。

友人と飲むから帰れない という理由にかこつけて また泊まりに行く。
この前合鍵を預かっていたから 彼がまだ帰っていない部屋へ入る。
鍵・・・預かっちゃった。
酔っ払ってるし時間も遅かったし 彼もほどなく帰ってきた。
買ってきたお弁当を一人で 食べてる。
横でじっと観察する。
先にお風呂を借りて 寝る体制に入る。
彼も食事を終え お風呂を済ませ 寝る体制。
一緒に布団に入ると またきつく抱きしめられる。
抱き枕の気持ちがよくわかる。
それでも 彼に抱かれたまま寝るのは ほっとする。
なんだか変な気分になってきて 私の方から して と言い出す。
結局眠りについたのは 何時頃だったんだろう。
彼も元気よくはじけて すっきりして眠れる。
抱きしめていた手が 少しずつ ほどけてゆく・・・。

朝 私の目覚ましの音で半分だけ覚醒すると
また きつく抱かれた。
寝返りを打っても それは変わらない。
する?と聞いてみる。
けど 彼は寝ぼけたままで しない という。
そうね。朝だもんね。
一人起き出して 身支度を済ませ 出かける。
は〜なんという気持ちだろう。
すれ違う人に見透かされているようで 気恥ずかしい。
男の部屋から通勤してる・・・という罪悪感。
うれしはずかし。

夕方置きっぱなしにしていた荷物を取りに行く。
彼はまだ帰っていない。
掃除をしたり TVを見たりして 彼の部屋で過ごす。
日本シリーズが終わったので 部屋を出る。
彼は もうすぐ帰る時間。
でも 顔を見ると きっと帰りたくなくなるから。

帰りながら携帯メールを交わす。
じれったくなって 電話をした。
鍵は 持ってていいって。
いつでも好きなときに来て 自分の部屋みたいにしていいよ って言ってくれた。
は〜なんだか・・・。うれしいんだかなんなんだか。
土曜日にまた泊まりに行く約束を交わした。


2003年10月23日(木)



 おままごと・・・

両親が旅行に行っている間 私は彼のところに入り浸っていた。
2泊3日を彼の部屋で過ごした。
掃除して ご飯作って 洗濯して・・・。
一緒に買い物にも行った。
いい年をして 手を繋いで歩く。
人でごった返した店内なら なおさらはぐれないように 手をつなぐ。
傍から見ればただのバカップルだろう。
仮初の日常生活と くっつきあった日々。
ままごとでも しているみたい。
家庭生活ごっこ。

月曜日の夜 彼の部屋で遅い夕食を済ませ 家へ帰る。
両親に後ろめたい気分。
言ってしまいたいような 言いたくないような・・・。

日曜日の夜 鍋をしたとき 手際が悪くて 彼が不機嫌になる。
それでも 一緒にTVを見て くっついていたら 機嫌はすぐ直ったように思っていたけど
月曜日のお昼に 彼から ”ごめんね”って メールが入る。
昨日のことなんて 忘れていたのに ずーっと気にしていたんだね。
わがままで短気なのは お互い様。
二人とも勝手気ままな生活をしてきたから それをすり合わせる作業を私達はしている。

一人寝がさみしい。
一緒に寝てると 寝返りを打ったりして 目が覚めてしまって
あんまり熟睡できないんだけど それでもやっぱり一緒に寝たいねって
二人とも 同じことを考えていた。
やっぱり 私達は似すぎている。

一日おいて また両親が旅行に出かけるので 私も彼の部屋へ行くことになっている。 

2003年10月28日(火)



 おままごと週間

両親が旅行に行ってる間は 彼の部屋にいりびたりだった。
会社から部屋へ行って お布団を上げて ご飯を作って 彼の帰りを待った。
家庭生活の真似事・・・。

連休だった2日間も ずーっと一緒だった。
土曜日の夜から泊まりに行って
日曜日は一緒に出かけて
月曜日は 一日中部屋から出なかった。
土曜日は カレーを作って 待っててくれた。
日曜日もカレーと 他の残り物で済ませた。
月曜日も彼が料理を作ってくれた。
基本的に二人とも日ごろは朝ごはんを食べないし
お昼まで寝ているので 一日2食で済む。
こんなところまで 一緒だ。

日曜日は ホークスの優勝パレードを見に行った。
彼はあまり乗り気ではなかったけど それなりに楽しんだようだ。
ものすごい人混みなので ずーっと手をつないだまま。
知ってる人に会ったら ちょっと恥ずかしい・・・かも。
お昼にパスタを食べて(こういうこじゃれた店も大丈夫らしい・・)
ビールを飲んだあと 場所を探して移動する。
ずーっと手をつないでる。
待ってる間も 背の高い彼は 私が見えないところの情報をくれる。
後ろから ずっとつかんでてくれて さりげなく守ってくれる。

月曜日彼に抱かれたままTVを見ていたら 泣けてきた。
幸せすぎて 怖くて いろんなことを思って 涙が出てきた。
彼はびっくりしたけど 深入りせずにじっと抱いててくれた。
理由を聞かれても なんて答えていいか わからない。
自分でも わからない感情。説明はできない。
うれしくて泣いてるのか 悲しくて泣いているのかわからない。

こんな人と出会えて よかったな・・・。


2003年11月05日(水)



 連休。

最初の日。
私はお昼ごはんを食べて 仕事をしに会社へ出かけた。
彼は 前々からPCの調子を見てあげる約束だった友人のところへ行って
用事を済ませてくる。
晩御飯は 彼が作ってくれていた。

二日目。
約束していたから ドライブへ。
彼はずっと機嫌が悪い。
話しかけても返事もしない。
結局 目的は達成されず 適当に走って どうでもいいお昼を食べて あちこち寄り道をして帰ってきた。
彼は ずっと不機嫌のまま。
夕方部屋に帰って TVを見ていると 彼がちょっかいを出してきて抱かれる。
夕日の残る薄明るい中で脱がされる。
いつもとはちょっと違うシチュエーションに 彼もいつもとは違う。

三日目。
朝から小さな喧嘩をする。
ほんの些細なこと。
お昼ごはんのときにも 喧嘩をする。
彼は 無言で部屋を出ていく。
タバコを買いに行ったみたい。
しばらく待っても帰ってこないから ”帰らないの?”ってメールをしたら
返事はなかったけど 帰ってきた。
そうこうするうちに 仲直り・・・?
一緒に出かける。
晩御飯の支度をして 一緒に食べて くつろいでると
彼に抱かれたまま 涙が出る。
彼は何も聞かない。


2003年11月25日(火)



 居候

11月の終わりに些細なことで親と言い争いになり家を出た。
彼に今から行ってもいいかと問うたら いいよと言われたので彼の家へ行く。
もう帰らないと言うと驚いてたけど 理由も聞かずにいいよと言ってくれた。
彼の部屋で一緒に暮らし始めた。

2003年12月01日(月)



 喧嘩

ささいなことがきっかけで 喧嘩をした。
私にとっては些細なことでも 彼にはそうでもなかったようだ。
それに 今まで本人さえも気がつかなかったであろう
小さな不満が つもり積もっていたみたいだった。

理論立てて 計画を立てて実行に移す彼。
それにくらべ 思いつきで行動して いきあたりばったり
結果オーライの私。
私のすることは 中途半端に見えるらしい。
でも 急に予定が変わることもある。
やらなければならないことの 優先順位が変わることもある。

彼は一人暮らし暦 約10年。
彼なりの生活のペースがあって やり方があって
自分の城を確立してきたことは 理解している。
そこへ 私が入り込んで 引っ掻き回して・・・。
私の好きなようにさせてくれてたから ちょっと甘えが出ていたのか。
私も実家にいるとはいえ 私なりのスタイルがある。
でも 彼の部屋なんだし 譲れるところは譲ってるつもり。

結局私の粘り勝ち。
夕食を作って待っているところへ 帰ってきた彼は
喧嘩をする前の彼に 戻っていた。
そうして すぐにおこってごめんね って言ってくれた。
それだけで 充分だよ。

2003年12月03日(水)



 旅行

もうすぐ 彼の誕生日。
今度の誕生日を迎えると 彼はゾロ目になる。
ひとつだけ 私と年齢が離れる。
そんなことは別にどうでもいいんだけど。
一月ほど前に雑誌で見つけた温泉に一泊してきた。
誕生日のプレゼントのつもりで。
毎年一月の第二土曜日に花火を打ち上げるイベントがあるそうだ。
冬の花火なんて 見たことないし なかなかロマンチックかもしれないと思って
彼には内緒で すぐ旅館に予約をしていた。
ただ 年末から年明けに掛けて忙しくなるかもしれないと彼が言っていたので
12月の中ごろには 温泉を予約したことを伝えてあった。
他の予定を入れられてもこまるし・・・。

彼も結構楽しみにしてくれてたみたいで 行く日が近づくと
色々計画を立ててくれた。

ある程度の予定を立てて 私たちは出発した。
心配していたお天気も上々で 楽しく過ごす。
温泉の家族風呂にも 一緒に入る。
食事もまあまあ。
打ち上げ花火も思いのほかよかった。
ほぼ真上に上がる花火を見ながら 彼は何を考えていたんだろう。
私はただなんとなく 来年も一緒に見にこられるかな〜などと
ぼんやり思っていた。
できれば 毎年の恒例にしたい・・・。

このごろは よく”彼は私のことをどう思っているのだろうか・・・”などと考えてしまうことがある。
一緒に暮らして ときどき喧嘩して 日常のサイクルができつつある。
もしこのまま彼と結婚しても この生活は 変わらないような気がする。
私はそうしても いいと思っている。
彼はどう思っているんだろう。
まだ 私を観察しているのか。
それとも もう自分とは会わないと思いながら なんとなく私と一緒に暮らしているのだろうか・・・。
時々 不安になりながら。
でも まだ居場所を作ってくれてるし 二人で居ることに 特に問題もないみたいだけど。

口には出せなかったけど 花火を見ながら 私は思っていた。
来年も一緒に見られると いいね・・・。

2004年01月12日(月)
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