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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
問題解決には2種類の発想法があると言われる。ひとつは「原因指向」。「なぜ、そうなのか?」を徹底的に追及して、それを消滅させる答えを求めるパターン。もうひとつは「結果指向」。「どうしたらいいのか?」を考えて打ち手を考えるパターン。コーチングでは後者を中心にするが、今日、クライアントの問題解決策の発表を聞きながらそれだけでは弱いと感じた。中長期的な課題、及び広範囲に影響が及ぶような課題は原因指向で考えないと、どうしてもその場しのぎ的な答えになる。長期的な問題は「なぜ」を繰り返し。真因を探り当て、抜本的な改革をしないと良い答えに辿り着くことはできない。
昨日の製造業では、「なぜ、Sばかり高いのか」の問いから、「Sオンリーなのは先代のトップダウンの名残り。現社長は強烈なトップダウン型ではない。それならば皆でビジョンを掲げて進む会社になるべきだが、そのビジョンが曖昧。それゆえに自分のSばかりを磨く人ばかりになってしまった」と分析した。ではどこから変えるべきなのか?根本はビジョンがないこと。それを描くのはトップの仕事だがトップがそれをしない…と嘆いてばかりでは始まらない。トップがしないのなら、幹部がそこを描き、トップに承認をもらうことからはじめなければいけない。
クライアントの製造業の幹部と、若手社員を管理職に育てていくプロセスについて話し合う。育成上大切なのは、それぞれの役職に応じた「リーダーシップ(L):専門性(S)」のスキルバランスをどう見るかだ。仮に理想のL:Sのウエイトが、25歳だと「1:9」、35歳だと「3:7」、45歳だと「7:3」と仮定した場合、わが社のウエイトはどうなのかを話し合った。すると「なぜ、Sばかり高いのか」と「これをどう是正していくか」という問題が浮き彫りになった。
昨日のトヨタ出身の幹部は、電子メールとパワーポイントは日本のビジネスマンのコミュニケーションを骨抜きにした刺客だっと嘆いた。電子メールもパワポも「制限」がない。そのため「ダラダラ」と言いたいことを伝えることに終始し、「まとめる」「要点を整理する」スキルが下がってしまったのだという。トヨタは昔からA3一枚でまとめることを重要なコミュニケ−ションとしてきた。情報過多の時代だからこそ、一枚にまとめる技術は必要なのだ。
トヨタ出身の某社幹部と話す。幹部は同社の人「キャリアプランシート」を見ながら問題点を指摘していた。その指摘に『建ぺい率』という言葉があったので驚いて、何を指すのか聞いてみた。すると、『建ぺい率』はその名の通り、面積のことだった。「A3一枚のキャリアプランシートなら、その重要な部分=未来構想が一番広くないといけない。それによって何が大切なのかが伝わる」。重要度を面積で表す。いかにもコミュニケーションを重視するトヨタらしいと思った。
川崎で痛まし過ぎる事件が起きた。犯人がしたことは絶対に許せないが、彼らがモンスターだとしたら、誰が彼らをモンスターにしたかが重要で、そこを変えないとこの事件は解決しないと思う。ゴジラは原水爆実験の結果生まれた設定だが、ゴジラというモンスターの登場は、原水爆実験というモンスターに対する批判だった。川崎のモンスターは、報道から知る限りでは、たばこや飲酒を咎めず少年を放置した親が生んだのではないか。親や学校、警察などが子を放置するから、子にどこまでやっていいのかという際限がなくなったのだと思う。彼らが夜回り先生と出会っていたら変わっていたかも知れない。「弱いものを守る。それが一番カッコいいことなのだ」と誰かが教えていれば、こんなことにはならなかった。そのことがとても残念だ。
営業の仕事は、お客様の話を聞くことだ。そして、その話からお客様の問題や課題をつかめば、仕事はできたも同然。なぜなら、問題を見つけることの方が問題を探すことよりも何倍も難しいからだ。そのために営業マンはお客様に行くときは、売りではなくインタビューに行く感覚を持つべきで、私は、「インタビュー営業」と言っている。また、自然にインタビューができるのは、こちらから売り込みに行くのではなく、向こうから来ていただくとき。こちらから出かけていけば頭を下げなければいけないし、値段も下げなければいけない。それよりも展示会や勉強会を開催し、来ていただいた客を見込み客にすること。それこそが「売り込まない営業」を実現する秘訣である。
窪田貞三先生のセミナーの中では営業の極意がしばしば登場する。そのひとつが商品の「活かし方」を伝えることだ。営業マンは商品を売ったら終わり。だから商品の特徴をあれこれ伝える。しかし、お客様は買ってからがスタートだ。だから、その商品を活かすとお客様の生活や暮らしぶりがどう変わるのかを伝え、そこにワクワクしていただくことが営業の仕事となる。営業マンは、この活かし方のプロにならねばならない。
窪田貞三先生のセミナーの中で、崇高な理念を掲げながら、それがなかなか浸透しない会社についてどうしたらよいか質問した。すると先生は理念を伝えるときは「何を言うか」ではなくて「誰が言うか」が大切だと答えられた。理念は社長の熱い思いであることが社員の皆に伝わってはじめて、共有すべきものとなる。その会社の場合は、理念も掲示が中心である。社長は掲示して終わりかもしれないが、社員はそれを聞いてからが始まりである。そこにメラビアンの法則を当てはめれば、社長の姿・肉声がなくて心に火を点けるはずがない。言われてみれば確かにその通りだった。ありがとうございます。
理念経営の専門家である窪田貞三先生のセミナーに参加した。その中で、先生はものづくりの会社は、ものを創っているのではなく「もの」→「ものごと」→「ものがたり」を創るべきで、使う立場からすれば「使い方」→「使われ方」→「活かし方」を考えて創りましょうという。この表現にとても感心した。昨日の資産運用の分配金も、分配金という「もの」を「豪華クルーズ」に使い、「人生の想い出づくり」に生かす。そこまでしてようやく顧客の欲望づくりに貢献できる。「ものづくり」と「ものづかい」の三段活用は今後多くの場所で使えそうだ。
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