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V字経営研究所・酒井英之の4行日記 DiaryINDEX|past|will
2週間に一度、某社の若手社員が目標実現に向けて取り組んでいる状況を報告していただき、それにコメントを付けてフィードバックする指導を半年間行っている。対象者は14人。数時間を必要とする作業で容易ではないが、2週間に一度なのですぐに返してあげないとアドバイスがアドバイスにならない。そのため、メールで届いたら即返すことを心掛けている。その指導もそろそろ最終盤。そこで今までの振り返ってみると、半年間、一人当たり10回、私とキャッチボールをしていたことになる。成果が出ている人もいれば、ようやくエンジンがかかった人もいる。その中でひとつ言えることは、コツコツやった人がきちんと成果を出しているという事実だ。彼らは最終盤の現在、ほとんど課題はやり終えて、発表資料作成段階で小さな点を修正する余裕がある。その状況を見た彼らの管理者は「コツコツやると後が楽なんだ」と言っていた。まさに、至言。楽するためにもコツコツ積み上げたいものだ。
女性4人の事務担当者がいる某社の販売部門。この部門の悩みは4人がそれぞれ違う業務を担当しているため、休みを取りたくても取れない状況にあることだった。この状態は子供がいる女性には働きにくいため、皆で相談し職場の中で多能工化を図ることにした。Aさんの仕事をBさんもCさんもできるように、最初に教えあい、次に交代する期間を作って交代し作業を覚えるのである。そして、はじめてすぐにわかったことがある。それは、Aさんの仕事の説明を聞いたBさんが「なぜこの作業があるのですか?いらないのでは?」と質問をしたときに、Aさんが答えられない仕事が多数あるということだった。それまでその仕事はAさんにしかできなかったから、Aさんには無駄かどうかもわからなかった。そこで皆で話し合い、無駄だと判明した作業はすべてやめることにした。ムダ取りが進み、ひとつひとつの作業が楽になる。そして皆がカバーしあえる状況ができる。これらは、多能工化の効果だ。
某社で中堅社員が若い社員を育成するプロジェクトを指導している。現在は3月末の成果発表会に向けてプレゼンテーション資料を作成中。私はその資料がもっとビビッドなものになるようにフィードバックしているが、これが実に楽しい。なぜなら、発表する若い社員が、それぞれの仕事の中から、それまで見えていなかった暗黙知の部分を、「あ、こうすれば良かったんだ」と気づいて、それを「○○が上手くいく法則」というような形式知にし、まとめている点だ。「新規開拓で全然会えないお客様に合う方法」「お客様と話がなかなか進まない場合の、関連する他部門を引き出す方法」「多能工化を進めるための6STEP」、お客様と共に悩み、共に考え、満足できる結果に導く「M式サイクル」、駆け出し社員が3年目までにマスターすべき当社の心・技・体とは…誰の取り組みにもそのような発見がある。売れたかどうかの成果も重要だが、こうした暗黙のノウハウの共有が同社の成長を加速する。
講演会の日が近付くにつれて、二つの思いに駆られる。最初は、だんだん気が重くなる。「ああ、面倒くさい」。特にタイトルを客側から指定されているときはそう。「何を話せば喜んでもらえるのか…」。考えるのも嫌だ…となって、しばし考えることを放棄する。そのうち期限が迫り、依頼者から督促の連絡が来る。「○○日までにレジメください」。さあ、もう逃げられない。そこから真剣に考える。まずは粗筋を考える。このとき、イメージだけで考える。すると、なんかシックリこない。あかん…と、ネタを探しだす。打ち合わせの時のメモ、テーマに近い特集の雑誌の記事、関連書籍のページ…すると、キーワードが見つかる。「あ、これだ」。これが見えていなかったのがシックリこなかった原因だ…空白埋めるピースが見つかった途端、私の粗筋は力強いストーリーに変わる。レジメを一気に書き上げて送信。そこからはワクワク。講演の日が楽しみで仕方なくなる。ありがたいことだ。
息子が通う中学校のPTA会報誌の特集は「3年間の思い出を、川柳で一句」だった。野球をやっていた息子とその友人の作品。
V字回復作戦を立案したお客様の幹部から、喜びのメールが届いた。「おかげさまで、予想以上にメンバーで議論できる場となりました。現在の業務プロセスを棚卸することで普段、自然と気付いている問題点をを改めて認識することができ、それをメンバーで共有できたことは、本当に価値あるものだと思います。今までは、一方的な施策(トップダウン)が多く、やらされ感の中で、みんなが取り組んできたんだろうと今回、改めて社員の意見を聞き出す大切さに気付きました。今までは、そういう場を作ることに対し、こちらで考えた方が早いと思っておりました。 急がばまわれですね。これからのアクションプラン策定、実行をしていかなければなりません。管理者という立場として、社員の意見を時間がかかってもしっかりと受け止め、自身も積極的に行動することで施策を盛り上げていきたいと思います」。幹部がこれだけ前向きならばすでにV字回復は成ったも同然。私もお客様と一緒に気を抜かず、この勢いで一気意に駆け上がりたい。 |