IT系の某社で近い将来予想される「顧客からのコストダウン要請」にどう応えるのかを議論してもらった。トップ層は「生産性の向上で乗り切る=作業の標準化、仕事のモジュール化を進める」と答えた。しかし現場の監督者クラスは「社員数を減らす」「給料を下げる」との回答。トップの考えが末端まで伝わっていないことが明らかになった。回転率を上げていくことが、皆で生きることができるのだ。
修整業界No.1の某社が、技能者を増やすための社内の技能検定資格制度をはじめた。初級の受講者は工場から推薦された人が5名。その中のひとりで入社2年目の青年が、技術課長から見て「実にセンスがいい人」であることが発覚。早速、彼を講師レベルに引き上げ他工場の技能指導に派遣することになった。受講者が先生になるのは理想の流れ。第二第三の彼が出て、先生になってくれればこの検定制度は盛り上がる。
機械メーカーの若い設計者が、機械をより良い物に改良しようと機械を使っている現場の社員に不満がないかを聞いた。ところが、何もないという。普段、そればかり使っているので当たり前の感覚なのだ。そこで設計者は、作業員を観察することにした。すると、立ったりしゃがんだりの動作や、移動時の歩数など様々なムダを見つけた。次はそれらを生かした設計をするという。今後、現場で発見するのが好きになって欲しいと思う。
シェアードサービスに取り組む某社は改善提案をたくさん出すように言われている。その中でも200以上出しているチームと、20も出せないチームに分かれる。そこで数多く出すチームに秘訣を尋ねたら、「改善ミーティングをすることだ」と言う。毎月たった1時間だけだが、自分が工夫していること、気がついた不便、便利法をミーティングで出し合い、どんどん「それいいね、やろう」と決めていく。複数で考えるから改善案はたくさん出るのだ。
WBCのマスコミ報道で「不調の田中投手が先発から中継ぎに降格」という表現に、田中投手が激怒したという報道があった。「降格」という表現が、中継ぎを専任としている他の投手に失礼に当たるからだ。マスコミから見れば、先発できないから中継ぎ、というように見えたのだろう。マスコミは時々このような先入観で人を評価することがある。田中投手の反論に、改めて中継ぎの存在価値や分業(チームワーク)の貴さを知った。
人に指示をしてもなかなか伝わらない。その要因のひとつは指示が具体的でないからだ。「汚いから綺麗にしろ!」という。しかし「どこがどう汚いから綺麗にしろ!」でないと実行する方はよくわからない。が、そんな指示でも見事に応える人もいる。指示する方が改めるべきか、指示される方の思考力を高めるべきか。大事なのは『双方向』にするということ。そのために「何のために綺麗にするか」を共有することが必要だ。
オムロンの画像センシングの権威・川出参与に話を聞いた。これまで「人が機械に合わせてきた」がセンシング技術を用いれば、「機械が人に近づける」という。これをビジネスに当てはめれば、「これまで顧客が企業に合わせてきた」が、もっと「企業が顧客に近づける」になる。その鍵はセンシング技術。センシング技術とは「センサーを利用して物理量や音・光・圧力・温度などを計測・判別すること」。画像センシングとは捉えた画を計測、判定し、人間に近づく価値あるものに変換する技術だという。同じように売り手には顧客の依頼を己のセンスで計測し、判別し、価値あるものに変換し提供するスキルが必要なのだ。
吉本興業の次の戦略は海外進出だが、それだけでなく「売る・買うよりも笑うことの方が大事だ」という。例えば職場でも、守るべき標語をただ伝えるだけでなく『あ・い・う・え・お』の頭文字で考えることで伝わりやすくなるという。例えば職場の標語として「あいさつしよう/意見を言おう/上手くなろう/笑顔でいよう/大きな返事をしよう」など。ちょっとのネタが仕事を楽しく変える。
吉本興業の竹内専務に芸人が育つ秘訣を聞いた。ずばり、それは3割バッターになることだ。ただし10打数3安打の3割バッターではなく、1000打数300安打の3割。芸人は数多く打席に立てることが重要なのだ。三振王だった衣笠選手は「こんなに三振しても使ってもらえたことが誇り」と言っていたが、人はリアクションで育つという。どの仕事でもリアクションを実感できる場数を踏める場所にいることが価値を生む出発点なのだ。
吉本興業の竹内専務と話す。同社には3000人の芸人を抱えているが、このことを専務は「3000人の才能と付き合っている」と言ったのには感動した。そこにいる芸人たちを商品としてリスペクトしている証だろいう。この3000人との契約は完全歩合制だが、雇用契約書はない。が、過去に一度もトラブルは発生していないという。育てていただいた恩義=お客様と出会う場があるからこそ、芸人も礼儀正しくなるのだろう。