某メーカーの専務はあと2年で社長に就任する予定。この2年で設備と品質がわかるようになりたいという。現社長は設備・品質に強く、品質に問題があれば取引先の人は社長に相談をするし、同社が今成り立っているのは、思い切った設備投資をした結果なのだ。そこだけは社長に適わないので身につけたいという。専務は生産性が後20%は上げられるのではと考えている。その課題を解決しながら製造にも強い人になっていくのだろう。
D社の専務は、専務就任時に先代の番頭であった経理担当者から仕事を引き継いだ。経理の経験は全くなし。それなのに、いきなり書類と印鑑を渡されただけで、何の説明も引継ぎもなかったという。先代も番頭も「自分でやらないと覚えられない。教える必要はない」と考えたからだ。彼はその後2年経理を担当し、今は全体を統括する専務へと成長した。
某社の社長には先代が残した番頭がいた。その番頭は公私混同が目立ち、社長が専務だった頃はいつも当時の社長であったお母さんに愚痴をこぼしていた。しかし、社長に赴任するとそれを言わなくなった。そんな困った番頭を使いこなしてこそ経営者である…と腹を括ったのである。すると見方が変わって接し方が変わり、衝突そのものがなくなったのだ。
老舗のA社長に部下を褒めて使う秘訣を聞いた。それは「3S+1S」だという。「3S=すごい!、さすが!、すばらしい」。そして「+1S」は、部下が「どうせ私なんか」とか「私、別にできなくてもいいのです」とか思わぬネガティブワードを言われ、どうにも褒めようがないときに使うという。それは、「そう来るか!」。それを聞いて思わず噴出してしまったが、一度使ってみようと思う。
社員が生き生き働いている店の加工場に案内していただいた。そこには従業員が書いた色紙が掲げてあった。「外注さんへ 一人一人、一つ一つがお店の宝です。ありがとう。(署名)」。この色紙を見ると、また、これを書いた人とその周りの人たちの優しい心根が伝わってくる。そしてそこにはいない外注さんたちがこの店のために熱心に働いている姿が目に浮かんできた。まとまりのある仲間なんだ。
リサイクルショップY店には店員たちによる大きな寄せ書きが掲げてあった。真ん中には1億円達成の文字。その右隅にひときわ大きな文字でこう書いてあった。「みんなとってもありがとう!!○○市でみんなと出逢えたことは生涯の宝物になりました!ずっと忘れない!わあの最高の宝物です!」。同店の店長の言葉だ。この言葉に泣けるのは業績の大小じゃない。他者と一緒にやり切ることを大切にしてくれるリーダーだからこそ泣けるのだ。
Y店の店長とは、竹内日祥上人のセミナーで出会った。その中で習った概念のひとつに「全体と部分の関係」がある。自分は全体の中の一人である。よって、その役割を果たす。しかし、それだけでは歯車に過ぎない。そんな一部を担う自分でも、全体に大きな影響を与えられる場面がある。これが「全体の部分の関係」で、自分が全体に好影響を与える存在だと信じられる根拠を与えることが主体性を引き出すのだ。
リサイクルショップY店の店員は正社員もアルバイトも今から3年先までのシートを書く。今後何が起こるのか、自分がどうなりたいのか、どうなっていくのかを書くのだ。大企業でも自分のキャリア設計を会社に望む声は大きい。会社の未来と自分の未来をリンクさせて夢を描き、それを店長と部下が共有し、店長がその実現を後押しする。ゴールに向かうためのサポートは、人の自主性を引き出す。
売上げを客数で割れば客単価が出る。GWのような人手の多い期間は、客数が増えるのでどうしても客単価が落ちる。問題はこれを「当たり前」と思わず、「ついで買い」を増やす仕組みをどう作るかだ。例えば、サッカー選手のカード、日本代表のDVD、サッカーのユニホーム、コミック『キャプテン翼』などを一箇所に集めてサッカーコーナーを作る。こうしたクロスセルを工夫するのも店員の仕事である。
リサイクルショップY店に専務がやってきた。店内を見渡した店長はひと言「この売り場、ドキドキしない」と言って帰っていった。専務の言う「ドキドキしない」は「お客様が望むものになっていない」ということ。そのひと言に店長は燃えた「ならば、すんごい売り場を作ってやる!」。このエピソードに専務の人使いも流石だと感じた。本当はあれこれ指示したいのだろうが口出さない。主体性を伸ばすには信じて見守ることが大事なのだ。