二世経営者には常に先代と比較される運命にある。最初は一生懸命真似ようとする。まねできる部分もあるしできない部分もある。真似のできない部分に苦しんだ二世は、やがてあんな人にはなれない。なりたくもない」と悟り、「先代と自分は違って当然」だと割り切る。そして、「自分流のやり方」に目覚める。多くの二世がこの過程を歩むが、二世に限らず守・破・離こそは人が育ち、強くなるプロセスだと思う。
二世経営者には共に会社を支えていく仲間が必要だ。仮にその仲間を先代が選び「○○さんと○○さんとでこの会社を支えていくように…」と遺言したとしても、先代にとって都合のいい部下が、二世のブレーンになるとは限らないのだ。よって先代はできるだけ早く後継者譲り、後継者自身がマイ・ブレーンを見つける時間を作る。そしてそれができるまで見守る。そういう禅譲がもっとも上手くいく。
創業180年の老舗の酒蔵が倒産した。世間の人はそれを「あの会社は努力が足りんのだ」で片付けた。それを聞いた老舗のA社長は「そんなに簡単に片付けていいのか?」と疑問に思った。180年続いた蔵は地域のシンボル。そのブランドは地域の資産のはず。それすら消滅してしまうのである。もっと地域の人がそれを守ってやれなかったのか。経営は麻雀のゲームではない。地域の文化や誇りの一部なのだ。
老舗のB社長が地方銀行の若手の銀行員に尋ねた。「100年続いて潰れそうな会社と、これから伸びる会社。あなたはどちらの会社を支援しますか?」。これに対し銀行員は「これから伸びる会社」と答えた。ビジネスマンとして正解だが、社長は違った。曰く「100年続いた価値を知ってほしい。この会社はつぶしてはいかん!そう考えて動くバンカーになって欲しい」。こんな簡単な質問で、社長は「無くしてはいけない大事なもの」をバンカーに教えた。横で聞いていて、私も心底老舗を救う人物になりたいと思った。
老舗の問屋を継いだA社長。なかなか儲からないビジネスだが、事業を継ぐことの醍醐味は、そこに日本人らしい人と人との繋がりがあることだという。新撰組のように古いものをそのまま復活させても面白くないが、竜馬のように意外なものを繋げていけば夢のある儲かる仕事ができる可能性がある。それをパフォーマンス性高くイベント的にやれば、助けてくれる人が出てくる。そこからまた新しいことが生まれる。
新人が辞めない動機をどう作るか?ある経営者は「給料で釣れないのならば、やりがいで釣るしかない」という。ではどうやって「やりがい」を作るか。その第一は「どんな貢献ができるか」に焦点を当てること。第二に「縁に触れること」。お客様が「あんたいい会社に入ったねえ」と言ってくれたら、動機付けになるという。直接顧客と接するサービス業に限らず、「縁」の多い職場作りはモチベーション維持のためにも必要なのだ。
徹底すべきを徹底する方法を、中小企業の社長たちと話す。社長たちは皆チェックの必要性を訴えながら、チェックの仕方について悩んでいた。チェックの仕方には監査的な仕方と、メンター的な仕方がある。前者はダメ出しをするのが目的。後者はできていない部分を確認し、一緒に考え、アドバイスする方法。前者の場合、チェックする側とされる側の間に距離があり、後者にはそれがない。一緒に考えるための現状確認。PDCAのチェックとはそういうものでありたい。
一昨日の講義「決めたことをやり切る組織風土のつくり方」の中で部下のモチベーションの話が出た。計画がやりきれないと部下は計画を作るのが嫌になる。一方、計画をやり切ると計画を作るのが楽しくなる。だから、やりきることが大切。そのためには箸の上げ下げまでタスク・ブレイクすることが大事だと言う。アバウトな計画では、部下から見れば「上司が何を言っているのかよくわからない。ただ、もう、がんばれって、ことだな」と漠然と受け止めるだけ。これでは成功体験も達成感もない。箸の上げ下げを言うものは小うるさいと嫌われるが嫌われるくらいの細かさが丁度いいのだ。
昨日の講義「決めたことをやり切る組織風土のつくり方」の中で、社長は徹底できない一番の原因は「自分の甘さ」だと言った。「社長が『ま、いっか』と思う分だけ、徹底できない」「一番約束を破るのは社長だ」。これにはドキッとした。私が率いる部門で一番約束を破っているのは自分だ。「ま、いっか」は伝染する。やると言ってやらない部下に強く叱れなくなる。そんな流れを変えるためにも、上司は自分に厳しくないといけない。
住宅メーカー社長の講演会「決めたことをやり切る組織風土のつくり方」を聞いた。その秘訣は、計画を作った部下に対し「これ、全部やれば達成できるのか?」と尋ねること。綿密な計画を練り上げた部下は自信を持って「ハイ」と応える。が、そうでない部下は即答できない。どこかがひっかかっているからだ。そこでアドバイスし、再考させる。そうして、部下は自分の力で自信のある計画にたどり着く。「これ、全部やれば達成できるのか?」は素朴だが、主体性を引き出す上司には不可欠な言葉と感心した。