いかりやさんが逝った。告別式や追悼番組ではドリフターズのメンバーが出て、またなつかしいVTRも流れた。確かに今の40歳以上には長介=ドリフターズだったのだろう。しかし30代以下にとっては俳優・あるいは声優の方が馴染みがあるのではないか。それだけ年齢と業歴に応じて自分を変化させ、その都度一流であり続けたからだ。世代別に別の知られ方をすること一番格好良い生き方だ。
最近お会いした経営者たちが口々に「『ラストサムライ』はいいですよ、お勧めです」というものだから、観に行った。素晴らしかった。米国人の映画が正確に武士道を描いている。米国人はなぜ今、日本の精神を取り上げ、それを描こうとしたのだろう。完璧を目指して働き続け、敗者に礼を尽くし、刀に魂を捧げる日本人。武力制圧に頼るだけの米国人は「日本には見習うべき点が多い」と思っているか。
TVの仕事で万博会場の建設を視察した。現地に行くまで「万博なんて」と思っていたが、百聞は一見に如かずだ。見たら本当にワクワクしてきた。目玉は冷凍土漬けになったマンモス。父は「新幹線に乗せてやる。そして月の石を見せてやる」と言って私を大阪万博に連れて行ってくれたが、どうやら私は「リニアモーターカーに乗せてやる。そしてマンモスを見せてやる」と子供に言うことになりそうだ。
親会社のリストラ余波で、上場寸前の会社を解体させられた元常務。転進先は小さな会社の社長。当時仕事でお世話になっていた私は御礼を込めて15年前に自分が考案した商品を贈った。先日、しばらくぶりにその社長にお会いした。するとその商品に「初心に帰れ」というメッセージを読み取り励まされたという。そんなつもりはなかったが、新たな門出に少しでも役に立てたことを素直に喜びたい。
『実はこうやって皆さんの前で話をすることは、私にとっても初めての挑戦なんです。どこまでやれるか自分を試してみたいという思いもあり今回の機会をお引き受けしました』。ある中小企業の社長に、某一流企業の若手社員研修での講師をお願いした。その登壇の第一声がこれ。頼まれ事に対する腹の括り方、そして固め歳を重ねても、なお瑞々しさを保つ一挑戦者としての気概に圧倒された。
バブル当時売上が75億あったA社。その頃は「当社は開発機能を持った問屋です」と言っていた。自社開発商品も多数あるが、取り売り商品も多数あるという意味だ。ところが現在は「当社はメーカーです」とハッキリ言う。取り売り商品を一切やめ付加価値の高い事業のみに絞ったのだ。現在の売上は25億。売上を1/3にしても利益を出し続ける構造へ変化させた社長の大胆さに敬意を抱いた。
あるコンビニの若手幹部の話。創業当初、添加物だらけの弁当を大量に作り、大量に廃棄する舞台裏を見て「なんと情けない。これは男子が一生賭けて取り組む仕事じゃないな」と直感したという。そこで添加物を一切使わない冷凍弁当を開発。今では幼稚園の給食に多数採用されるようになった。一生取り組む価値がないから辞めるではなく、自らの手で価値あるものに変える。その姿勢に習いたい。
東京三菱銀行がアコムに出資し、経営傘下に置くという。急成長する消費者金融市場だが、それが原因で自己破産する人も多い。3年以上の取引歴があり、かつある程度の預金がない限り金を貸さなかったバンカーのモラルはどこへ行ったのか。貸し手が借り手の信用力に応じて与信限度額を設けることは、結局は借り手を守ることになる。利益よりもまず生活者を守ることの方が大切ではないか。
トヨタがトランペットを吹くロボットを発表した。介護に使うために指先の微妙な動きや、会話用に唇の動きを追求したものだ。需要に応じて創るところがいかにもトヨタらしい。一方ホンダのASIMOは目的は不明でも「とにかく鉄腕アトムを作りたかった」ことはよくわかる。ニーズがあるから対応したトヨタと、ニーズは不明だがやりたいことをやったホンダ。ロボットに企業体質の違いがよく出ている。
高橋尚子の記者会見を見て驚いた。事実を正面から受け止めて恨み言ひとつ言わない。TVのゲストで出ていた松野が今だに恨み節だったのとは対照的だ。「専門家が決めたこと」と正面から受け止める。この素直さが彼女を世界一にしたのだろう。その人の価値は苦境に立たされたときに決まるというが、あれ程までに明るく前向きでいられるとは。高橋尚子は国民栄誉賞に値する偉大な人だ。