講演会ではアドリブが過ぎて予定した内容を話しきれないことがある。そんなときは自己嫌悪に陥りながら家路に着く。先日もそうだったが自宅近くの駅で見知らぬ紳士から「あ、先日はありがとうございました」と笑顔で声をかけられた。「?」と思っていると「先日、講演を聞かせていただきました」という。その紳士はそのまま立ち去ったが、神様が「それでいいんだよ」と言ってくれたようで救われた。
「洗剤のいらない洗濯機」は、すべての汚れが落ちるわけではない。ひどい汚れのときは洗剤を使い、そうでない場合は使わずに済ます。その判断は顧客に委ねられているのだが、それこそこの商品の魅力だろう。なぜならば顧客が考えることにより環境問題に対する参加意識を持つことができるからだ。環境関連商品は、顧客に運用を委ねると愛される。全自動が必ずしもベストではないのだ。
三洋電機の「洗剤のいらない洗濯機」を作った設計者と話す。この商品のキャッチフレーズは「日本の洗濯を変える」。それを見て本当に羨ましいと思った。彼は「どんな仕事をしているの?」と聞かれれば「日本の洗濯を変えるのが仕事です」と応えることができる。シェア競争に疲弊し、巨大化への憧れがなくなった昨今、「誰かの××を変える」と応えられる仕事は、ビジネスマンの憧れだ。
某大手ハウスメーカーの講演会に招かれる。講演前、社長とホテルで二人きりになった。が、うまい話題が見つからない。やっとこさ頭に浮かんだのは、カバンの中にある地元の合資会社の販促物。それを取り出し、社長が知らない超零細企業ならではの素晴らしい作品を見せた。結果は予想通り社長の関心を引き、間を持たせることに成功。ハイクラスにはロークラスの想いを具体的に示すと効果的だ。
昨日の統率力の話で中日の新監督・落合の場合は、技術25%は申し分ない。問題は「部下と想いを共有するの感性50%」があるかだ。その点、部下の潜在能力を10%アップさせれば外人もトレードもいらないという姿勢は評価できる。部下に「お前を信じた。お前ならやれる」と言っているのと同じだからだ。部下を「できる・できない」で判断せず「育てる」上司を、部下は期待し信頼するだろう。
研修をただ受けただけで終わらせないようにするには、どうしたらよいか。某社の支店長の質問に、「上司も研修を受けること」と答えた。部下にやらせて自分は知らんぷり…では部下は「上司は本気でない」とアッサリ見破ってしまうからだ。すると支店長、忙しい合間を縫って合宿研修に参加した。研修中に出た会社への意見も、正面から受け止めて回答。この行動力が信望を集める源泉だ。
この秋も講演会が目白押し。どのテーマでも最後はいつも同じ話で終わる。その話が他のどんなネタよりも喜ばれるからだが、本音を言えば変えたい。自分の進歩が止まった気がするするからだ。が、それに優る話が作れない。サザンの桑田も『勝手にシンドバッド』以上に盛り上がる曲が作れない、と嘆いていた。25周年の今年も彼はそのパターンを繰り返した。ライブとはそういうものなのだ。
住宅産業は自動車産業より10年遅れている、が私の持論。10年前にカー・オブ・ザ・イヤーを受賞したアコードのキャッチコピーに『スタイリッシュ』だ。自動車には当たり前のように使われるこの言葉。果たして住宅には…どうか。近頃ようやく使われ始めたようだ。『渡辺篤史の建もの探訪』には「スタイリッシュ」編がある。「スタイリッシュ」な暮らしが演出できる家は、今、人気だ。
某社常務に煙草をやめた秘訣を聞く。「煙草はやめようと思うから辛い。煙草を忘れたんだ」。忘れるとはどういうことか。「山手線の中では、ちっとも煙草を吸いたくなかった。煙草を忘れているからだ。ところが降りた途端に吸いたくなる。思い出すからだ。そのとき気を紛らわして、煙草を忘れるようにした。そうしたら苦もなくやめられた」。「やめる」と「忘れる」。小さくて大きな発想の転換だ。
息子が「仮面ライダー555と武蔵とどっちが強い?」と聞く。私「う〜ん…仮面ライダーかな」息子「仮面ライダー555は刀と鉄砲を持っているもんね」私「武蔵だって刀は持っているよ」息子「武蔵は刀を持っていないよ。武蔵が持っているのは『棒』だよ」。これにはまいった。確かにTVの武蔵は木刀で戦うことの方が多い。先入観でものを見て、いかに観察をしていないか思い知らされた。