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2005年09月30日(金)

 ざわめきのむこう、遠くに怒号が聞こえる。
 私は見ないふりをして、耳だけをすませる。ひどく罵る声と小さな謝罪の言葉。

 大人になるということは妥協することだと知っていた。個人の小さなプライドや、こだわりなんて、捨て去らなければならないときがあることも。

 うつむく姿に私を重ねた。
 いつまでも子供のままでいたかったのに。




2005年09月29日(木)

 背中に刺さる視線。
 私は居場所を失って、小さくなっている。もともとこの場所にあるとは思わないけれど。

 懸命にやることと結果を出すことは違う。
 手を抜いても、懸命にやっても、結果が同じならば評価は同じ。

 どうしたらもっと結果を出せるんだろう。
 さっきから同じことばかり考えてしまう。




2005年09月28日(水)

 久しぶりに一人で眠った。
 恋人は仕事で遅くなると言う。
 一人だと家が広く感じる。音が響き、風だけが通り過ぎる。
 することもなく(本当はあるのだけれど)時間をもてあましてしまう。




2005年09月27日(火)

 人肌が恋しいのはいつだってそうだ。
 うだるように暑い夏も、凍えそうな寒さの冬も。
 けれどもいつだって素直にはなれない。欲しいものはいらないとつっぱねてしまう。
 自分でもどうしたらいいのかわからない。




2005年09月26日(月)

 恋人は生きるのが楽しいと言う。将来が楽しみで生きていると。
 私は驚く。生きることを楽しんでいる人がいるなんて思ったこともなかったから。それもこんなに近くに。

 私は死んでいないから生きている。ただそれだけ。
 自分で手を下す勇気はないけれど、もし死んでしまっても私は後悔なんてしない。
 いつだって私は消えたいと思ってきた。ソーダの泡のようにしゅわしゅわと空気に溶けていきたいと。

 恋人は私に「自分を大切にしなさい」と言う。もっときちんと食べて、と。でも私はもちろん自分を大切にしているつもりだ。自分の食べたいものを食べたいときにだけ食べているし、死んだように眠っている。
 それの何が間違っているのか私にはわからない。




2005年09月25日(日)

 めっきり風が冷たくなった。日差しは暖かいけれど。
 うとうととまどろむ。
 時が止まればいいのに、と思う。




2005年09月24日(土)

 みんなに会いに行くときは気合が入る。
 丹念にまぶたに色を重ね、細くほそく線を書き、まつげをすぅっと伸ばしていく。
 私の顔はキャンバスのようで、化粧が映えるとよく言われる。それが褒め言葉なのかはわからないけれど、私はそのことがけっこう好きだ。素顔はなんてひどいんだろう、と思うけれども、化粧をした私はなかなかいい感じだ。

 オレンジのぼやけた明かりだけで照らされたバーで、甘い甘いカクテルを飲みながら、仕事と男の話ばかりをする。私たちの会話はいつもそれと多少のジョークで構成されていて、恋人からはいつも呆れられているけれど、人生なんてそれ以外に何が必要なのだろう。

 帰り際。迎えの車を待つロータリーで声をかけられた。
 




2005年09月23日(金)

 一人暮らしを始めてから全然本を買っていなかったのだけれど、久しぶりに本を買った。5冊も。中古のものだから1冊105円。
 大好きな江國香織と山本文緒。山田詠美は気になったけれど、止めておいた。




2005年09月22日(木)

 午後3時は魔。
 どんなに一生懸命仕事をしていても、不意に脳裏に垂れ込める暗雲。
 自分の無力さを呪ってしまう。こんなにできないなんて。いつか見放されるような気がしてくる。「必要ない」と宣告されるような。
 あたりにはかたかたとテンキーをたたく音が響き、不意に鈍い電話の着信音と甲高く装った声がする。
 不意に涙があふれそうになるのを堪えて、邪念を振り払う。
 やるしかない、と言い聞かせて。




2005年09月21日(水)

 悩みは果てしなくて、どんなときでも絶えずそこにある。
 午後の日差しの中、部屋を通り抜けていく風の中でうとうととまどろんでいるときも、かりかりと必死で机に向かっている仕事中も、恋人の腕の中にいるときも。
 それでも生きていくしかない。血を流しながらも。
 




2005年09月20日(火)

 仕事をしているときは仕事のことをたくさん恋人に話そうと思うけれど、うちに帰って、恋人の顔を見たら仕事のことなんて忘れてしまう。
 あんなに話したいことがあったのに。嫌なことや辛かったこと、悲しかったこと。
 まぁいいや。
 なにもかも溜め込んでしまう私なのに、そんな風にすーっと消えていく。だから。私は生きていける。




2005年09月19日(月)

 恋人がシシリアンキスを作ってくれる。
 黄金色の液体に杏仁豆腐のような甘い香り。そのままではアルコールが強すぎるので、ソーダで割ってくれる。私は倒れるほど甘い(江國香織より)ものをちびちび飲むのも好きなのに。
 うちにはリキュールがたくさんある。シェイカーも。恋人が昔、バーテンをやっていたから。
 おかげで私はいろいろなカクテルを飲むことができる。甘いお酒しか飲めない私にはぴったりだ。

 今夜はなぜかいつになくおいしくてからだ中がたぷたぷと音を立てそうなくらい飲んでしまう。




2005年09月18日(日)

やるべきことがあり、程よく満たされ、少しの不満がある生活。
過不足があるかといえばなく、寄せては返す波のように普遍の日々。
平凡な毎日をきらきら輝かせるように、日々を大切にすごしたくて、ここを作りました。
よろしければお付き合いくださいね。





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