せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2002年06月15日(土) 千秋楽

 10時入り。
 今日は、杉本さんの取材がずっとある。
 「密着!」ってかんじなのかしら?と思ってたら、それほどでもなくてほっとする。
 Aプロの千秋楽は1時開演で、今回初のマチネ。
 このホールは、外の光が入ってきてしまうので、その漏れをふせぐのがほんとに大変。
 サッコさんがいろいろ工夫してくれた。感謝。

*ここまでが6月に書いてた日記です。
 ここから後は、今思い出してる「まとめ」ってかんじ。

 昼夜とも、大きな事故もなく終了(したと思う)。
 どこで飲むの?ってかんじの渋谷なんだけど、「がんこおやじ」という居酒屋さんで打ち上げをしました。
 その後はどうしたんだっけ?
 音響の亜弓ちゃんと遅くなって合流して……というような記憶があるんだけども。
 終わって、三ヶ月が経った今(!)、よくあんなに動いたもんだわとしみじみ思い出してます。
 それでも、初演に比べれば全然なんだけど。
 これが最後と思ってたこの「陽気な幽霊」ですが、もしかしたら、これから先も、ごまかしごまかしやれるかもしれないな、そんなことを考えてます。
 ほんとにおとぎ話のメルヘンのようなこの芝居が、僕はやっぱりとても好きです。
 この9月に東京レズビアン&ゲイパレード2002の実行委員長をしながら、僕は時々この芝居のことを思い出してました。
 パレードの当日、それまでの大雨が嘘のように晴れた、青い空を明治通りから見上げながら、この空のどこかにきっと、今の僕たちを見てくれてる人たちがいる、そう思っていました。
 何度も再演を重ねられているというのも、この芝居のとても幸せなところだと思います。
 いつも、ぎりぎりで仕上げる芝居の登場人物はなかなか、僕という個人を離れていきませんが、この芝居の中の「霊ちゃん」は、勝手に一人歩きをしているような気がします。
 またいつか会えるといいな。
 そのときまで、現役の動ける役者のカラダをキープしたいなと思いつつ。

 「陽気な幽霊」の上演台本は、近く(10月中くらい?)に、HPにアップしたいと思います。
 舞台写真も合わせて公開したいと思いますので、どうぞお楽しみに。


   


2002年06月14日(金) Bプロ2日目

 今日もゆっくりと劇場入り。
 今日もテーピングをしてくれるというノグに、「もうだいじょぶ」と話す。
 昨日の舞台、痛みはずいぶんラクになったんだけど、テーピングしてるという安心感から、却って無理をしてしまったようだ。
 2場から3場への転換のところで、いったん引っ込むと見せかけて、やっぱり柾の後を追っていくという動きの時に、また同じところを痛めてしまった。
 痛い足を抱えての動きの要領はだいたいわかったので、今日は、何もつけないでやってみようと思うと伝える。
 で、本番。
 楽しく終了。
 とってもイイ出来だった!と思って、裏に引っこんだら、早瀬くんが泣いている。
 最後の長台詞をとちったのが悔しかったらしい。
 明日はがんばろうね。でも、ほんとにいい芝居になってたんだよ。
 今日もまた大急ぎの撤収の後、音楽の吉川慶ちゃんと2人で、飲みに行く。
 一昨日と同じ「がんこじゅにあ」。ごちそうさまです。
 渋谷の街はワールドカップで大騒ぎ。
 夕方、ちょっと外に出たときもすごかったけど、夜になってからも、ものすごい。
 11時過ぎまで飲んで、駅前に行くと、青いシャツの若い衆がいっぱい。それに警察の人も。
 どうやら「ひと騒ぎ終わった」ところらしかったんだけど、それにしてもってかんじ。
 道ばたで今合ったばかりの人たちが肩組んだりしてるし。
 日本の若い子たちっていつからこんなナショナリストになっちゃったんだろうね?
 ていうか、これが本質なのかしら?


2002年06月13日(木) Aプロ2日目

 3時の劇場入り。
 あちこちの手直しをしながら、ゆっくりと開演まですごす。
 僕の左足は、やっぱり調子が悪い。
 今日はどうしようかと思ってたら、ノグがテーピングをしてくれるという。
 うつぶせになって素足を投げ出して、カラダを任せてしまう。
 妙に気恥ずかしいような不思議なかんじ。ていうか、ほんとに照れくさい。
 変な言い方だけど「情がうつるってこういうことなのかしら?」などと考える。
 2日目の本番は、安心してやれたかんじ。
 舞台裏での「ぜえはあ」も少し落ち着いたかもしれない。
 終演後は、むらぽんと2人で帰ってくる。
 芝居の話その他をあれこれと。


2002年06月12日(水) Bプロ初日

 今日は10時入り。
 渋谷からウィメンズプラザまでてくてく歩いてったんだけど、これがけっこうきつかった。
 昨日は、青山さんに送ってもらったんで、この足でこんなに歩いたのは、今朝が初めて。
 へとへとになってたどりつく。
 ゲネまでのんびりとあちこち確認をしていたら、ノグが友達の佐々木くんを呼んでくれるという。電話でどうしたらいいかを相談していたら「じゃあ、行くよ」と言ってくれたのだそう。
 ほんとにありがたい。
 佐々木くんにがっちりとテーピングしてもらって、ゲネを無事に終える。
 Bプロは、これが初めての舞台(Aは初演以来だからね。あ、ヨシオはのぞく)。
 声も出てなくて、「だいじょぶなの?」ってかんじのゲネプロだった。
 僕は、ガードされてしまった左足と当たり前なんだけど、Aとは全然違う芝居にかなりとまどってしまう。
 今いちなゲネになった理由の一つはそんな僕にも絶対あったと思う。
 で、また、定時にBプロ初日開演。
 時間通りに始めないと、終演がぎりぎりになってしまうので、「絶対に定時」を合い言葉に開演してしまう。
 表方のスタッフは、開演直前のお客様の入場と白いパンチを汚さないための養生シートの撤収でかなり大変そうだ。
 僕は、今回、場内案内(前説)もしてる。
 これはいつもできるだけしたいことなんだけど「新作」だったりするとそんな「余裕」もなかったりする。
 でも、今回はそういう意味ではばっちり(たぶん)。
 裏にいても落ち着かないだけなので、終演後にお会いできない方に先にご挨拶をしてしまう。
 で、本番は……
 「さっきのゲネはなんだったの?」ってなかんじの芝居に。
 出てなかった声もちゃんと出てるし。
 ノリもとってもいい。
 楽しく終演。
 またしても大急ぎで撤収。
 ホール前のうち合わせの「輪」は、昨日のフライングステージチームの他に、今日は実行委員会チームのができてる。
 初日乾杯を少人数で。今日も来てくれたいっこうちゃんと青山さん、それに、山崎君、森下ちゃん、ゆいに、カメイくん、ノグとイリーナという顔ぶれで「がんこジュニア」に。
 芝居の話をてんこもり。
 それでも終電には余裕で帰る。


2002年06月11日(火) Aプロ初日

 今日も9時から入って、昨日の続きのきっかけ場当たり、そしてゲネプロ。
 完全に円形になってるこのホールにもだんだん慣れてきたかんじ。
 僕はずっと同じ衣装(パジャマ)を着ている&ノーメークなので、楽屋は使わない。
 ホールの外側の廊下に椅子を置いて、そこに着替えとタオルと汗止めスプレーを用意した。
 そのあたりは、他の出演者の「早変わり場所」だったりするんだけどね。
 予定通りの3時にゲネ開始。
 写真撮影の田村絵里ちゃんが来てくれる。
 一昨年の「ヌード」以来だ。
 僕は、台本を持ってないゲネプロはほんとに久し振り。
 いつもは「台詞が心配!」よりも「他のみんなを見てないと」というかんじで僕は台本を持ってゲネをしてる(ひどいよね)。
 今回も、みんなこととっても気になるんだけど、それ以上に、初めてのこのホールでどれだけちゃんと動けるかを確認しておきたくて、手ぶらで芝居をしてみた(へんな言い方)。
 予想通り、裏に引っ込むたびに、死にそうになる。
 舞台の上で台詞をしゃべってた息が、引っ込むともう「いっぱいいっぱい」で、もう「はあはあ」言ってしまう。
 まあ、こんなに動いたの初めてだからしょうがないか。
 それよりも、るんるん動いてしまっている自分に驚く。
 この「陽気な幽霊」という芝居はほんとに不思議な芝居だ。
 稽古場では絶対にできなかったことが、舞台の上ではどんどんできるようになる。
 裏で息が上がるようなら、舞台の上でもつらそうなもんなんだけど、そんなことには全然ならない。
 いつも以上に、舞台の上でのびのびとしている自分がとっても楽しい。
 でも、一つアクシデントが……。
 ゲネの間に、足をひねってしまったらしい。
 たぶん、ラストの大晦日のドライブ(?)の場面。
 ここで舞台から飛び降りるんだけど、このときにやってしまった。
 今回の舞台の高さは50センチ。いつもの舞台の寸法だと、1尺5寸、約45センチ。
 この5センチの差は大きいよね……とずっと思ってたんだけど、こんなふうに思い知るとは。
 それでも初日は予定通り開演。
 足には冷湿布を貼ってなんとかごまかす。
 初日の舞台は、稽古場でいろいろ心配だったことがみんなクリアになる。
 そんな気持ちのいい初日だった。
 僕は、痛い左足をややかばいながら、それでも、どうにかこうにかラストまで。
 みんなに心配をかけてしまって申し訳なかった。
 お客様に挨拶をして、大急ぎで撤収。
 ほんとにあわただしい。
 パレードグッズの売り上げは好調そうでほっとする。
 ホールを出たところで、明日のうち合わせ。
 これもまたあわただしく。
 初日乾杯は、両方の初日があいた明日へもちこし。
 僕は、今日の舞台を見に来てくれた青山吉良さんと僕の大学時代のフランス語の先生で渡辺守章さんの奥さまである渡辺清子さんと一緒に池尻のテラカラへ。
 すっかりごちそうになってしまう。
 帰りも青山さんの車で送っていただく。
 芝居のことをたくさんおしゃべりする。
 足の痛みはそれほどでもないかんじに。
 よかった。


2002年06月10日(月) 劇場入り

 朝9時に東京ウィメンズプラザホールに劇場入り。
 高市氏、マミーと三人で、大きな荷物を持ってタクシーで。
 途中やや渋滞でイライラしたけど、何とかオンタイムで到着。
 ノグが運転する車も加藤君を載せて、一足先に到着。
 さくさくと準備を始める。
 今回の舞台は、ホントに何もない。
 こんなに何もないのは初めてだ。
 真っ白な壁のホールの壁に合わせて、床に真っ白なパンチカーペットを敷く。
 それだけ。
 最後の場面だけに巨大なレインボーフラッグを登場させたかったのだけど、バトンの昇降のスピードが遅すぎたので、却下。
 それでも、せっかく持ってきたんだからと「試しに」吊ってみたところ、急に空間がおもしろくなったので、「このまんまいこう」ということになった。
 すでに仕込みが終わってた照明のおにさんも「だいじょぶよ。こっちの方がいい」とのこと。
 夜まで、きっかけと場当たりであたふたとする。
 ロビーでは、パレード実行委員会のみなさんが、物販の準備をしている。
 9時撤収はやっぱりあわただしいかんじ。
 帰りに、実行委員会のハマイさんとムラポン、それにモリくんと一緒に食事。
 ずいぶんゆっくりおしゃべりしたかんじなのに、まだ11時。
 9時撤収ってそういうことなのねと実感。


2002年06月09日(日) FCN「02/03秋冬 東京コレクション」「陽気な幽霊」稽古

 朝から、ファッションチャンネルニュースのMA。
 乃木坂のスタジオへ向かう。
 今朝までずっと、当日パンフの原稿書き&レイアウトをしていたので、どこかもうろうとしてる。窓を開けっ放しにしてたのもちょっとよくなかったかも、のどが少しいがらっぽい。
 今日のMAは「東コレ」。いつもはとっての苦手なショーなんだけど、中出さんと2人で、今日はわりとさくさくと終了。
 その後、パレードの実行委員会へ、メゾフォルテへ。
 入った瞬間、ハマイさんに「目がコワイ」と言われる。
 うん、そうかもしれない。
 いろんなうち合わせをして、ガイドブック用の写真を撮影に、みんなして新宿御苑に向かう。
 十数人の大人が一緒に歩いてるかんじは、遠足っぽくて、とっても楽しい。
 芝生で寝ころんでる人たちの邪魔をかなりしながら(うるさいからね、僕たち)、撮影終了。
 僕は、稽古場へ直行する。
 今日の稽古は、ノグとホソちゃんが、車で走り回って&僕がいないので、B組の自主トレにしてもらってた。
 僕が着いてからも、その後の通し稽古に備えて、各自、準備をしてもらう。
 今日も6時50分から通し稽古開始。
 音響の加藤くん、照明のおにさん、それに制作の高市氏、ホソちゃん、フッチー、キッちゃん、それにギャラリーの青山吉良さんを迎えて、ようやくにぎやかな稽古場に。
 今日は1時間50分で終了。
 早瀬くんとマッスーは途中でやや息切れしたかもね。
 僕は、だんだんペースがつかめてきた気がする。
 昨日、気がついた「今日はこんなに寒いんだ」が今日のポイント。
 これからもいろいろやってみようと思う。
 稽古場に持ち込んだ荷物を車に積んで、高円寺へ。
 パンチカーペットや制作道具を積んでノグは三軒茶屋へ車を運転して帰る。
 僕、高市氏、マミーは、青山さんと晩ご飯に。
 ちょっと一息ついたかんじだ。
 高円寺の町は、ワールドカップで盛り上がってる。
 ちょうど帰ってくるとき、日本がロシアに勝ったらしい。
 すごいことになってる。街がさわがしいのなんのって。
 少しテレビを見て、勝利の瞬間(?)を見てみる。
 うーん、稲本はかわいいねえ。


2002年06月08日(土) 「陽気な幽霊」稽古

 午後2時から、中野のMOMOの稽古場で稽古。
 前回の「Trick」のとき、初日直前にここで稽古をしたのだけれど、台本が「全然」上がって亡くて、僕は、ここと高円寺の往復(書けた分だけを持っていく)、役者衆は、届いた台詞をひたすら覚えるだけ、という、えらくもったいない使い方をした。
 今回は、とにかく台本はあるので(当たり前)、夕方からのA組通しにそなえて、小返しをする。
 音響の加藤くんも来てくれて、平日の開演時間と同じ、午後6時50分にスタートする。
 僕は、はじめて芝居に集中(わりと)できた気がする。
 マミーもなかなかいいかんじにできあがってきた。
 今日のところの上演時間は、1時間50分。
 9時までみっちり稽古をして、僕はその後、アカーさんの事務所へうち合わせに向かう。
 自転車がないので、てくてく歩く。
 中野〜アカーの事務所〜高円寺は、台詞をさらうのにちょうどいい距離だ。
 僕にとっては最後の場面の「今日はこんなに寒いんだ」という台詞が急にしみてくるようになった。


2002年06月07日(金) 「陽気な幽霊」稽古

 下馬で稽古。
 昨日の続きで、ラストの流れをまず確認。
 それから、長台詞をやってみてもらう。
 昨日、ああでもないこうでもないとやったことが、ちゃんとできててほっとする。
 それから、オープニングをひさしぶりに。
 最初と最後でどう違うんだろうね?ということをかんじてもらう。
 同じ役をやってる、マミーと早瀬くん、それにノグ。それから、全然違う役をやってるヨシオ。
 ただその場面をやるよりも、全体の中での位置づけのようなものがわかると、いろんなことがまた変わってくる。
 ラストのシチュエーションと台詞を微妙に変えようとあれこれ考えているうちに、今日はおしまい。
 あと稽古は2回。
 明日、あさっては、MOMOの稽古場だ。


2002年06月06日(木) 法政大学 「陽気な幽霊」稽古

 小松川高校時代の恩師、中島浩籌さんが今教えている法政大学の教育心理(教職課程)で、話をしてきた。
 一昨年も一度やってるので、今回は二回目。
 八王子のキャンパスはめじろ台からバスで約10分。
 電車の長旅とバスですっかり旅行な気分。
 200人くらい入る大教室で、僕が話したのは、僕のライフヒストリーのようなもの。
 どうして僕はゲイというアイデンティティを手に入れたのか、十代の頃はどんなことを考えて暮らしてたのか。どうして「ゲイの劇団」なんてものをはじめたのか、などなど。
 大きな教室は、学生さんたちの反応がいまいちわからなくて、かなり心許ないままツルツルとしゃべってしまう。
 ほんとに届いてるんだろうかと思いながら、約50分しゃべり終えて、質疑応答の時間。
 今いち盛り上がらないまま、タイムアップ。
 教室を代えて、今度はふつうの部屋で「有志」のみの参加でおしゃべりをすることに。
 何人か来ればいいよねと思ってたら、約20人ほどが来てくれて、さっきの話の続きを、今度は彼らの自己紹介もありでいろいろと。
 やっぱり顔を見ながら、誰だかわかって話すのは、全然違ったおもしろさがある。
 集まってくれた、男子も女子も、みんなとってもかわいかったし(ほんと)。初々しかったしね。
 3時過ぎまであれこれとしゃべって、ようやくフランクに話せるようになったところで今日はおしまい。
 芝居見に行っていいですか?とか、パレードのボランティアスタッフ、やってみたいんですけど……等々、みんなうれしいことを言ってくれる。
 帰りは中島さんと二人で京王線を新宿まで、いい天気の昼間に空いた電車にのんびり座っておしゃべりというのは、なかなか贅沢な時間だと改めて思う。いつもなら、居眠りしてるもんね。

 夜から稽古。
 その前に、明日の夜の「ゴールドフィンガー」というイベントに募金係として派遣される実行委員のワカコさんに、ドレスコード「カウガール」用のカウボーイハットを受け渡す。
 デザイナーのマツウラくんから、「ひまわり」用にずっと借りてたのをそっくりね。
 会って話すのは実は久し振りだったので、阿佐ヶ谷の改札の中であれこれおしゃべり。
 パレードのポストカードを見てもらって、これからのスケジュール等をいろいろ確認する。
 で、稽古。
 今日も杉本さんが取材に来てくれてる。
 稽古は、ラストの柾の長台詞の確認をAB両チームにやってもらう。
 このクライマックスの台詞はとっても大変だ。
 「走りながら」しゃべっているというか、考えていることを、とにかくしゃべりまくる。
 ここでも、つるつるしゃべってしまわないようにと、ダメを出す。
 途中からは、主にマミーの稽古をひたすらに。
 久し振りに「みっちりと」稽古をしたかんじだったな。


2002年06月05日(水) 「その河をこえて、五月」 「陽気な幽霊」稽古

 新国立劇場の「その河をこえて、五月」を見る。
 お昼に友達のアキヒコくんと待ち合わせをして、お茶をしてたら、通りに面した窓の向こうからこちらをのぞきこんでる人が……
 誰かと思ったら、この近くで歯医者さんをしているナカタ先生でした。
 ああ、びっくりした。

 「その河をこえて、五月」は、とってもおもしろかった。
 韓国の漢江っていう川の川原で、韓国語学校の生徒たち(日本人)と学校の先生の家族が一緒にお花見をする、リアルタイムの2時間15分のお話。
 日本語と韓国語が入り交じる会話なので、舞台の上手下手に字幕が映し出される。
 ただの二カ国語じゃなくて、「会話が通じない」っていうことが大きなモチーフになってる芝居なので、これはとってもよかった。
 出演は、大好きな三田和代さんに佐藤 誓さん、小須田康人さん、谷川清美さん、それから韓国の俳優さんたち。
 みんなとってもよかったなあ。
 川原でビニールシートを広げて、お花見をするだけの話なんだけどね。
 お酒を飲んで、卵焼きやチャプチェを食べて……そんなさもない時間の中、韓国と日本がかかえる「現在」がとってもはっきり立ち上がってくる。
 韓国語の先生の弟夫婦は、もうじき子供が生まれそうで、カナダに移住する計画を立ててる。
 でも、その移住の話を母親(オモニ)にはまだしてない。
 今日の花見の機会にその話をしてしまおうと思ってる。
 そのオモニは、日本が韓国を統治してた時代(この表現も微妙かな?)に小学校に育って、「りっぱな日本人になれ」と言われてた。ので、日本語がしゃべれる。
 夫の赴任に従ってきた三田和代さん演じる主婦「佐々木さん」は、5歳まで韓国で育った過去がある。
 この二人が、ほんとうにいいんだなあ。
 オモニは子供の頃、日本人の女の子に大福をもらったことがある。とってもうれしくてうちに持って帰ったら、父親に「お前は乞食か? 日本人に菓子をもらうなんて!」とひどく怒られた。
 その話をした後、「それでも、私、今も、大福、おいしいです」って言うオモニがなんといえない。
 絶対にその日本人の女の子は佐々木さんじゃないんだけど、どこかで二人のおばさん(ごめんね)が、少女に見えてくるんだよね。
 平田オリザはこういうイメージを立ち上げることがほんとうにうまいと思う。
 カナダの移住の話を切り出されて、怒るオモニをなだめようと、「これ食べてください」と大福を差し出す佐々木さん。。
 理由がわからないんだけど、泣けて泣けてしかたなかった。

 終演後、大急ぎで新宿に向かい、時事通信さんから、東京レズビアン&ゲイパレード2002についての取材を受ける。
 今月中に情報を流してくださるとのこと。
 ありがたい。

 その後、下馬で稽古。
 舞台監督のサッコさんが来てくれて、当日のうち合わせのつめ。
 今日の稽古は、ラストの場面をつくってみる。
 これまで、頭からの流れがなかなかうまくいかなかったので、ずっと保留にしてた場面。
 今日は、大まかな動きをつくって、両チームに動いてもらう。
 僕がやってる幽霊の役は、これまでの再演では、「いろいろ」やってたところを、あえて「何もしない」ようなつくりにしてみる。
 カラダで表現じゃない何かが伝わるといいな。
 みんなラストまで通って、どこかほっとしたかんじ。
 いいぐあいに終わりまでできあがりそうだ。

 今日は、夜になってから、すごい雷雨。
 稽古場にも雷の音と稲光がとどいてた。
 駅まで歩く道は、肌寒いくらい。
 稽古はお休みだったのに、とりあえず来たフッチーと道の途中で遭遇。
 駅までしゃべりながら歩く。
 中央線の東中野で、動き出した電車の窓の向こうに手を振る人が……
 と思ったら、それは、ますだいっこうちゃんでした。
 というわけで窓の外の人×2人の一日でした。


2002年06月04日(火) 「陽気な幽霊」稽古

 昼間、パレードについての取材のうち合わせを新宿で。
 制作会社の方とボランティアスタッフのミカちゃんと4人。
 二丁目で待ち合わせをしたんだけど、昼間、それも午前中の二丁目は、全然違う街のようだ。
 あてにしていた「ココロカフェ」が11時30分からのオープンということだったので、靖国通りのモスバーガーへ。
 ここもこんな昼間に来るのは初めて。
 あれこれお話をして、よろしくお願いしますとご挨拶。
 よろしくお願いいたしますです。
 その後、デザイナーの松浦くんとパレードの記念グッズとして販売する、ポストカードのうち合わせに、彼の職場がある、茗荷谷まで向かう。
 お茶を飲みながらうち合わせ。
 レインボーアートのみなさんのデザインによるポストカードが、なかなかかっこよくできあがった。
 「一応」お願いしていた、今回の「陽気な幽霊」のキャラクターとレインボーをデザインしたカードもいいかんじ。
 パレードのグッズとは別に、個人的にこれも印刷してもらおうことに急遽決定する。
 入稿のお願いをして、茗荷谷を後に……
 その後、浅草橋のおなじみの「シモジマ」へ行って、ポストカードを入れて販売するためのビニール袋を探す。
 枚数が多いので(6枚セット)ので、普通の1枚入れてジャストのじゃだめかしらと思ったんだけど、全然だいじょぶ。
 500枚をゲットしてみる。
 その後、高円寺に戻って、ちょっと一息。
 夕方から、フライングステージの稽古。
 今日は阿佐ヶ谷。
 昨日、うち合わせをした杉本さんがさっそくカメラを持って取材に来てくれてる。
 オープニングからの流れを、ていねいになぞってみる。
 ヨシオ演じるお母さんと柾のやりとりとていねいに。
 らしくやらないこと、ちゃんとやりとりすることを中心に。
 途中で、ポストカードの上がり具合を見てもらいに、実行委員のムラポンことエスムラルダさんに稽古場に来てもらう。
 「これならOK」とのコメントをもらう。
 稽古が終わってから、ムラポンと二人でご飯を。
 さしで食事をするのは、もしかすると初めてかもしれない。
 その後、最近、この近くに越してきた彼のおうちに「ちょっとだけ」おじゃまする。
 ワールドカップ、日本VSベルギー戦のニュースを見ながら、「稲本かわいいよね」「中田がオネエさんだっていうのは本当なの?」などとおしゃべり。
 さくっと失礼して、原稿その他、もろもろの仕事にとりかかる。


2002年06月03日(月) 「陽気な幽霊」稽古

 テレビの取材のうち合わせを二丁目のココロカフェで。
 日テレ系の番組なのだそうだけれど、担当のディレクターさんは、ますだいっこうちゃんと昔一緒に芝居をしていた杉本さんという男の人。
 フライングステージの芝居は何度か見てくれていて、前回の「Trick」の時に、取材のお話をいただいてたんだけど、「今回は、ほんとにいっぱいいっぱいなので……」とお断りをしたんだった。
 オンエアーの時期としては、パレードの直後ということで、パレードのことも盛り込みながら、「フライングステージと関根信一」を中心にという企画だそう。
 パレードについては、実行委員会で話し合わないとと伝えて、フライングステージについては、よろしくお願いしますと話す。
 杉本さんは、なかなかいいかんじのお兄さんなのだけれど、奥さんとお子さんがいるそう。ちょっと残念(笑)。
 うち合わせの後、東京ウィメンズプラザに使用料金の納入に行く。
 銀行振り込みができないということなので、「札束」を大事に抱えて持っていく。
 申請の書類を一日一枚ずつ書いていく。
 こんなに字を書くのはずいぶん久し振りだと気がつく。
 ようやく終わったら、もう7時を回ってる。おおいそぎで、下馬の稽古場へ。
 渋谷から新玉川線の切符を買おうと思ったら、間違って、営団地下鉄のを買ってしまって、払い戻してもらう。
 今度こそ!と思いながら、どうせなら「パスネット」を買ってしまおうと思ったんだけど、どうしたわけか、また160円のボタンを押してしまう。
 しかも、またしても「営団地下鉄」。
 同じ間違いを二度やってしまって、また払い戻してもらうのは、さすがに気が引けたので、切符は捨てて、正しい切符を買い直す。
 これだけでもかなり「だいじょぶか?」ってかんじなんだけど、僕は、その後、三軒茶屋の一つ手前の池尻大橋で降りてしまって、パニックになってしまった。
 何となく、降りて、そのまんま階段を上って改札に行ったら、三軒茶屋じゃないことに気がついた。
 でも、ここがどこだかわからない。あたりまえなんだけど、改札口の近くって、駅の名前って書いてないんだよね。
 ホームに降りて、ようやく安心する。
 しばらく電車が来そうもないので、いっこうちゃんに電話して、杉本さんのことを少し話す。
 やっとたどりついた稽古場では、みんながもう稽古をしてた。
 その後、大晦日の場面をずっとやってもらう。
 僕の出番は今日はなし。
 どうしてこんなにいっぱいいっぱいになってるんだろう?
 みんなにわらってもらって、少し気が楽になったかもしれない。


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