荒ぶる魂

2004年11月19日(金) 裸の選択

一応、小川のファンを名乗っているのに情報キャッチが遅くて
どこがファンなんだ?という気もするのだが、
小川直也のドキュメンタリーフォトブック「裸の選択」が発売されていたとのこと。
ここを見てね
さっそく本屋で立ち読みをした。
(ファンなら買えよ!という心の声は無視して)

タイトルに「裸」がついているから、
もしかしたらヌードでもあったらイヤだなあと心配しながら見たのだが
いい写真ばかりで安心した。
これまでの小川の写真だと眼光鋭い暴走王というイメージのもとに
撮影されたものが多かったが
この写真集では陰の部分というのか、
試合前の、緊張したというよりは不安げなたたずまいや
練習中の真剣なまなざしなどのショットで構成されている。
写真集として満足できる出来だと思った。
(細かい字の部分はさすがに立ち読みでは全部は読みきれず
ここに感想を書くには至りませんでした(笑))

で、以上は前置きであって、この写真集を見て思ったのは
神取忍写真集PHYSIQUEのこと。
知ってる人は知ってる写真集。

私は神取忍という選手がリングに上がるたびに
その鍛えられた肉体に瞠目し、写真集発売を強く願っていた。
ちょうどその頃「辰吉丈一郎写真集」が発売され、
これも立ち読みしたのだが(笑)
闘っている写真が中心で
辰吉の殺気がどのページからもあふれているようだった。
私は神取忍にも「闘う女・神取忍」を写真で表現したもの、
そういう写真集をぜひ出してほしいと思った。


だからファンイベントなどで風間社長と話す機会があった時には
「ぜひ写真集を出してください」と直訴を繰り返してきた。
そういうファンの声はとても多かった。
そしてついに写真集が発売された・・・・
コンセプトは「脱ぐ」ということにあったようだ。
もちろんセクシーな女性の裸体というのとは全く違う、
宣伝文句によれば「筋肉の衣をまとう」力強い裸体ではあったが。
まあ、これはこれでいいとは思った。
女性のヌード写真という概念を打ち破る神取忍らしいものだったから。
だが、私が求めていた「ファイター・神取忍」の存在感を示す写真は無かった。
それが残念だった・・・とは言え、3冊も買ってしまったのだが(笑)。

今回、小川直也の写真集がヌード写真無しで成立しているのを見て、
神取忍写真集に対する悔しさがどっと湧き出してきた。

「女子レスラー」の写真集=ヌード写真が必須という固定観念を
結局打ち破れなかったのだなあというのが一つ。
これは写真集制作コンセプトの問題、プロデューサーの創造力の貧困さに
よるものだろう。

また、小川直也の写真が良いショットぞろいなのは、
彼を専門にずっと撮り続けている写真家の作品集だから、というのが一つ。
神取忍にこういう写真家がいなかったというのは不運だった。
(女子プロレスが超マイナーである以上仕方ないのだが)
プロレス雑誌などで良いショットのものを見ることはよくあるのだが
それらは著作権の問題で写真集に使うのは難しいだろうし。
対戦相手の肖像権もあるだろうし。

今こうやって考えるとあの写真集はもっと良いものに成る可能性が
あったのになあと残念な気がする。
こうなったらぜひ「ライカ写真集」に期待したい。

ライカという選手はヌード写真など余計な付加価値をつけないでも
存在感のある選手。(それは神取忍も同様)
スパーリングや試合の写真やリングに上がる前、降りた後の表情などで
「闘う女」という写真集をぜひ実現してほしい。
(ボクシングの場合は対戦相手を写さないで試合の写真を撮ることが出来るんだよね)
プロデューサーはぜひ松本幸代さんで。



2004年11月12日(金) ゼロワン後楽園大会2

会場に着いたのはそろそろ試合も始まろうかという頃。
それなのに客席はガラガラ、目で数えられる程度の入りに暗澹とした気持になる。
いつもバルコニーに張られている横断幕も黒田と葛西のものだけ。
崩壊危機といわれる団体の大会ってこんなもんなのかなあと寂しい気になる。

第1試合 
佐々木義人○ アルゼンチンコースター→片エビ固め ●不動力也(※黒毛和牛太)

黒毛和牛太から名無しに格下げされ、やっとまた名前を取り戻した黒毛。
こともあろうに「不動力也」。かっこよすぎ!
黒毛和牛太というのは橋本の命名によるものだった・・・
名前のせいかどうか分からないが、試合運びにもっさり感が多少抜けていたかな。
義人はいつものように受けも攻めもしっかり見せてくれる。
顔はともかく、あと10cm背があったら天下を取れるんだけどねえ。
勝利後、ガッツポーズしながら何だか泣いている感じ。
買っても試合に満足出来なかったのか?と思ったが・・・


第2試合 異種格闘技戦5分2R
浪口修● 1R2分12秒TKO ○王拳聖(北京・中国武術)

待ってました!これぞゼロワンワールド。
王選手というのは折り目正しい中国武術家風。
強いのか上手いのか全然分からないけど怪しさだけは満点。
(でも一言言わせてもらえばジェット・リーの演舞の方が美しい!)←我ながらアホかと・・・。
波口くんっていうのは実に実にプロレス魂持ってるねー。
身体は小さいし弱いのでデビューできないだろうといわれていた彼が
異種格闘技戦ですよ。
しかも(能書きによると)相手は中国武術の猛者とのこと。
そういう相手にコールも待たずワーッと突っかかっていった、
かと思うと一瞬後には大の字にひっくり返っていた。
だがそれでくじけないのが波口くんのいいところ。負けず嫌いの塊だからね。
ま、2分12秒でレフリーストップになりましたが・・・
(小川の54秒よりは長かった!)
この王選手は今後もぜひゼロワンマットに上がってほしい。
ただ、勝利後に日本国旗を足蹴にするなどのそういうアングルは辞めてほしい。
以前、コリノが同じことをして笑いを取ったけど
日中間のデリケートな関係の中で
こういう形で日中対抗戦を盛り上げるのはシャレにならないどころか危険。


第3試合 横井宏考 崔リョウジ● ラリアット→片エビ固め 高岩竜一 ○ 黒田哲広

あんまり気分の乗らない試合だった。記憶無し。

この頃からだんだん客が増えてくる。
やはり平日夜興行というのはこういうものなんでしょうか・


第4試合 葛西純● レオナルド・スパンキー クロスアーム式ライガーボム→エビ固め
○ ペンタゴン・ブラック ミステリオッソII

これも特別面白いという試合ではなかった。
しかし、お腹の出ている橋本体型のペンタゴンに向かって
葛西が何度も「お前橋本だろ?」「この豚死ねー」と
ドロップキックを出していたのが???と思った。


第5試合 スペル・クレージー○ クロスアーム式ライガーボム
→エビ固め ●日高郁人

これ、ベストバウト。何度でも見たいと思わせる試合。
今ふと思ったんだけどこの2人がタッグ組んでも面白いだろうなあ。
びっくりするような合体技を見せてくれるんじゃないかな。

休憩。全盛期には比ぶべくもないが結構な入り。8割くらい?

第6試合 ZERO−ONE認定US無差別選手権試合
[王者]佐藤耕平● ノーザンライトボム→片エビ固め
○ [挑戦者]スティーブ・コリノ
※スティーブ・コリノが第6代王者となる

何だかかみ合わない試合。
コリノはいつもならDDTやSTOを出す時に
「ハシモト、バカー」「オガワ、モットバカー」と枕詞をつけるのに
今日は唐突に「D・D・Tー」「S・T・Oー」の掛け声だけ。
耕平が押していたけれど、レフリーへの誤爆、審判不能から
中村さんが急遽レフリーとしてリングイン。
高速カウントでコリノの勝利。ベルト移動。


第7試合 大谷晋二郎 坂田亘● アックスボンバー→片エビ固め
○ 大森隆男 田中将斗

これは現在の対立構図からいけば、大谷・大森vs田中・坂田となるはず。
あえて変則的なカードにしたからには何か起きるのではと思っていたが
多少ぎくしゃくした感じはあるものの普通にいい試合。
(大森が坂田のフットスタンプ2連発に耐えたのはすごかった)
試合後、坂田と田中は肩を組んで同じコーナーへ退場。
反大谷を鮮明にしたということ。
大森はちょっと間を置いて同じコーナーへ退場。
(坂田が青へ退場したなら赤へ帰るのがその場の空気というものなのだが)

その後、マイクしようと沖田アナに手渡すように合図する大谷。
オッキーは手渡しながらメガネを外して腕で目をぬぐい大泣きしている。
リング下に選手が集まってくる。
大谷マイクを持って話そうとするが声が詰まってしまう。
私は一瞬、星川選手が死んだか!とぞっとした。

しかし、そうではなく(これは本当によかった)
団体の創立者である橋本と袂を分かつという宣言だった。
詳しくはここを読んでね。記事下の中村さんのコメントも。

大谷「リング外のことでファンの皆さんにご心配かけてすみませんでした。
選手みんなにいろんな選択の道があります。
しかし、おれが選ぶ道は決まっています。
このリングを守り抜きます。ここは橋本真也のリングじゃない。
オレの、田中の、選手みんなのリング。
オレたちの城です。絶対に落城はさせません。」

ここで高岩リングに上がって大谷と抱擁。
高岩マイクを取り
「皆さん、星川に力を貸してください」一言いうと、あとは
涙で言葉にならず、頭を下げるだけ。
星川の負傷は高岩との試合中に起こっただけにつらさも人一倍だっただろう。
(私、大泣き)
リング下には、サイ、佐々木、波口、不動、夢路、コリノ、スパンキー。
皆、泣いている。
大谷がマイクを取り、
「星川が帰ってくるリングはここ、ここしかないんだよ。
力を貸してください、じゃない、もうここに来てくれただけで
星川に力を貸してくれてるんだよ」
「オレたちは橋本に捨てられたんじゃない。旅立ったんだよ。
泥水すすってもオレたちははいあがってやる」

その後、全員がリングに上がる。大谷にうながされてオッキーも。
大谷「みんなが又来たくなる試合をこれからやっていく。
だまされたと思ってでもいいから信じてついてきてください。
プロレスは見たあと楽しく帰ってほしい。だから今日もいつものやつを
やる。
今日は高岩にやってもらう」。

選手とファンが一体になって例の3・2・1・ゼロ・ワーン!
その後、選手たちは握手したり抱きあったりしていた。
大多数の客が帰りがたい思いをしていたようだった。

ゼロワンの今後は一層苦しいものになるだろう。
橋本に付いて離脱する選手も数名はいるだろう・・・
大谷の決別宣言時に参列しなかった横井・耕平・葛西は?である。
田中・坂田は試合直後だったから参列しなかっただけで
残留の可能性が大きいんじゃないかな?

とりあえず私は新生ゼロワンを応援していくつもりだ。



2004年11月11日(木) ゼロワン後楽園大会1

久しぶりのゼロワン大会。(最後に観たのは9月だったかな?)
ゼロワンが旗揚げして3年、初めは客入りもまばら、
最初の火祭り大会では直前に猪木指示による選手の引き上げがあったり
本当に苦難の船出だった。

それでも、いつのまにか「ゼロワンは面白い」という評判が出来た。
小さな団体でお金が無い分を
選手一丸となったハートの熱さとアイディアで補って、
プロレスの面白さを提供したからだと思う。
会場いっぱいのファンは第1試合から盛り上がって
帰りには一様にハッピーな顔で家路に着いていた。
私などは余りの興奮で何度も酸欠状態になった程だ。

だがそれも今は昔。
最近のゼロワンには興行の恐ろしさというものをまざまざと見せつけられる気がする。
会場がガラガラで、以前のあの、選手とファンが一体になった熱気が感じられないのだ。
どこからフロントとファンの間に齟齬が生じたのか、
その原因はいいろあるのだろうが
落ちた客足を引き止めようとあの手この手をフロントが打っても
それが全部外れていく。
ファンのニーズを掴みかねているのだ。

外国人選手を多数使っていたために興行収入に対してコストがかかり過ぎ、
利益を上げらにくい体質だったということも大きいだろう。
そこで外国人路線から日本のインディーや長州のWJとの対抗・交流戦路線に切り替えた。
これが大きく裏目に出てしまったのではないだろうか。

ゼロワンの良さ・カラーというのは
「何でもありのしっちゃかめっちゃか、奇想天外、天衣無縫」スタイルだったと思う。
しかし、その「何でもあり」とは、安易な流血試合のことではなかった。
ハードコアが観たければ大日本に行った方がよっぽど満足できる。
きっちりしたプロレスを見せるというのが基本にあってその上での何でもあり。
それがファンが求めているものだったのではないか。

ゼロワンは一体どこへ向かおうとしているのかと思い始めた頃
私の熱に水を浴びせられる思いをしたのは長州率いるWJの参戦。

橋本はかつて長州体制に叛旗を翻して新団体を旗揚げしたのでは無かったのか?
橋本の新団体に付いてきたファンというのは
橋本ファンでもあっただろうが同時に反長州という人が多かったのではないか。
私は橋本と小川の「政治権力には負けません」という言葉を
信じたからこそゼロワンを応援してきたのだ。
それがあっさりと権力の象徴であった長州を
「長州さん」という形で礼を尽くしてゼロワンリングに
迎え入れるとは・・・。
私の熱は冷めていった。

そして経営危機が噂され、ギャラ未払いが噂され・・・
所属選手ではなかったがゼロワンの「売り」だった小川直也の離脱
外国人人気選手の他団体への進出(ハワード・プレデター・ロウキー)
ハッスルというゼロワンに似たスタイルのプロレスイベントの出現
(このプロレスイベントの中心は小川直也)
橋本の肩の負傷による長期欠場
星川の試合中の事故(いまだ意識不明状態とか)

弱り目に祟り目を地で行っているとはまさにゼロワンのこと(涙)

そしてここに来てついに、ゼロワン崩壊危機の記事がプロレスマスコミを賑わした。
最近はかなり熱が冷めていたが、それでも一番好きな団体はゼロワンだ。
(女子はLLPW)
ゼロチューとしてこれは11日後楽園大会にぜひとも行かずばなるまい。
それに発表カードを見ると、
ハードコア路線が消え、本来のゼロワンのカードに戻っているあたり、
フロントや選手の決意が見えているような気がする。
それでこの日、会場に足を運んだのだった。

(*ハードコアプロレスを否定しているのではありません。
あくまで「ゼロワンに於ける」ハードコアは見たくないだけです)


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