妄想誘発剤

2007年10月31日(水) 夢のようなサヨナラ







まるで夢のよう

明日もまた約束の場所で会えるような気がする

錯覚だけど




2007年10月30日(火) 痛みにばかり目がいく



痛みにばかり目がいく

傷などなければ

気にも留めないくせに




2007年10月29日(月) もっと近くで微笑もう






好きなのです
好きなのだから

もっと近くで微笑もう

笑顔を届けなければ




2007年10月28日(日) たくさんの言葉を拾い集めて




覚えた言葉をならべて
見知った言葉を拾い集めて
気持ちをあてはめて
なんとか綴る

どの気持ちにどんなふうにしっくりくるのか
確かめながら
そこではじめて生かされていく言葉



2007年10月27日(土) うつくしい人のうつくしさを学ぼう






凛とした静かな瞳
すらりとした背筋
余計なことなど口にしない

なんてうつくしい人
あなたに憧れて



2007年10月26日(金) まだ手のひらにあるものを生かす






どうしようもないガラクタばかりだけど
しょうがない
残ったものとは一生つきあっていくよ

こんなしょうもない私だけど



2007年10月25日(木) 離れていった人を想う





離れていった人を想う

たとえばその背中
自分からくるりと見せた背中
次第に遠ざかるその人を
黙って見送った

もう戻らないと決めてかかっていたけれど
もっと違う方法があっただろうか

何もしなかったのではなく
何もしないことをしたのだ

泣けば
叫べば
戻っただろうか

戻って欲しかったのだろうか

離れていった人よ
あの時徐々に広がる距離に
私は少しだけ安心していた

これでもう
二度ときみを傷つけない



2007年10月24日(水) 残されたものをいくつか並べて





なくしたものは
もう忘れてしまった

今この手のひらに残されたものを
ならべて数えて
それをひとつひとつ手にとってなでて

大切にしよう
ここにこうして残ったことにも
何かしらの意味があるに違いない



2007年10月23日(火) 前に進むことを急ぐ





ほんのちょっとでも進んでいれば安心
これは前進なんだと言い聞かせる
前に出ている
進んでいる
決して戻っていない
後退していない

それだけで自分をなぐさめる




2007年10月20日(土) 今はただ流れていけばいい







目を閉じたままですすむ

今はもがくこともせず
進路を見定めることもせず
ただ流れていけばいい

心が休まるまで



2007年10月19日(金) いくつかの嘘と微笑み






たまに説明がめんどうでついた嘘

ときに言葉が見つからなくて笑顔

時間の流れにまかせて
やり過ごしてきたいくつもの満たされない罪




2007年10月18日(木) 金曜日には電話をしてね




金曜日には電話をしてね
お肌のお手入れなんか珍しくちゃんとして
明日のお洋服をならべて
考えて
やっぱり違うとまた考えて
それだけで夜は過ぎていく

金曜日には電話をしてね
あれも話したい
これも話したい
そういえば、あれもこれも
でも肝心の約束は?

明日はお休み
あなたに逢える



2007年10月17日(水) もっと何かに焦がれていたい





ここで満足したくない
もっともっと
届きそうで届かない
それは何か



2007年10月16日(火) 仕方なく吐き出してきた








今日
仕方なく吐き出してきた
本当は言いたくない
いやな役回り
それでも吐き出してきた
それが必要だとわかっていたから
自分を納得させたのよ

いやでもなんでも
見過ごせないから




2007年10月15日(月) 幸せにたどりつく自信がないの






それを幸せだと自覚してしまえば

いつも指先からするりと抜け落ちていくようで



2007年10月14日(日) これだけ悩んだこともたったこれっぽっちのこと






涙は溢れてとまらない
泣いたってどうにもならない
明日が変わるわけじゃないのに
たかが一晩泣き明かす
たったそれだけのこと

夜の長さはいつも同じ




2007年10月13日(土) 見つからない道のり







たどりつきたい場所だけ
はっきりと見えているのに

いつまでたっても近づかない
この道であってるの?




2007年10月12日(金) さすがに手も足も出ない





とどめの一言で
永遠に失ったものがある



2007年10月11日(木) もう迷ったりしている場合ではないわ







潔くこのまま突き進む
もう振り返らない
立ち止まっているひまはない
と言い聞かせる

もうかけぬけるしかない
ためらう時間は終わった



戻れないと思って進むなら道は続くでしょう?




2007年10月10日(水) ひとつずつ確実にしとめる







何も知らないふり
それでもいいから
どんな手段でもいいから
ひとつずつ手に入れる
全部自分のため
全部自分のため

あなたに微笑んでいてほしいのも
自分のため



2007年10月09日(火) それだけが残された願い






どうか
遠く離れても
きみがしあわせでありますように




2007年10月08日(月) 何もかも手遅れにしてしまった





今どれだけ努力をしたって

間に合わないことがある

それが今



2007年10月07日(日) 今はまだ水の中にいるみたいな苦しいけれど穏やかな呼吸







そのうち何もいらなくなる

死に至るまで



2007年10月06日(土) 何をどうしたって何もかも戻らない






もう打つ手はないよ
吐き出した言葉は
キミの耳から取り除けない


今さら
間違いだったと言ったところで
その言葉は
キミの耳には届かない



2007年10月05日(金) きみからのさよならを覚悟して




いつも
きみからのさよならを覚悟していよう

いつも
何かに期待していては苦しいから

いつも
最悪のケースで歩いていこう

いつもさよならと隣り合わせで



2007年10月04日(木) 空を見上げて歩くなだらかなくだりざか

ぬれたアスファルトを
ゆっくりと踏みしめてすすむ
湿度につつまれた雨の匂い
風が頬をなでる
枯れ葉がゆれる

のぼりきれば
ほら
虹が



2007年10月03日(水) 雲よ今だけは光を閉ざして





雲よ
今だけは光を閉ざして
月のあかりをさえぎって

この闇の中で
涙かわくまで



2007年10月02日(火) 声だけを受け取っているわけではないの






ささやかな話題といくつかの笑いと
ずっとこの先も続く確かな予感と

ラインがつながって
声が届くとき
そこにあるのはとても強いもの




言葉が少なくても





2007年10月01日(月) いつだって優しくしたいのに





本当は
本当はいつだって優しくしたいのに

微笑むことすらできなかったときには
自分を許せない




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茜 幸美 [HOMEPAGE]

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