妄想誘発剤

2005年12月30日(金) あなたの遊び心にいつも救われてきた




くだらないことで

笑わせて

きみのたわごとにつきあって

ばかみたいだとけなして

いつしか笑顔を取り戻す

そんなことを何度繰り返してきただろう



2005年12月29日(木) それがずっとそこにあるということに価値がある





変わらずにそこにいてくれるというだけで

みんな背中を向けて旅立っていける

いつか帰ってくる場所がある

その気持ちが

どれだけ強く背中を押すだろう



2005年12月28日(水) 永遠でもなければ輝きもしないけど




ただ大切に想うから

ただ大切にするだけ

それだけのことよ



2005年12月27日(火) それはつまりぼくたちのことだ





ただ
きみがすきと

何も言葉はいらなくて
それだけを言えればよかった
ただそれだけのこと

言葉をならべすぎて
見失った

つまらないことで
すれ違った

どうでもいいことで笑いあったみたいに
見逃さなければよかったのに

よかったのに

あっさりと手放してしまった


きみは何度ぼくを振り返っただろうか



2005年12月26日(月) きれいに生きられないのに理想ばかり高くて




汚れたあたしを認められない
潔癖症

最初からキレイなんかじゃなかったくせに



2005年12月25日(日) あなたがここのことを忘れるくらいに走りすぎても


ずっと前ばかり見ていればいいわ

私はあなたがどれだけ走ったって

絶対においつくから



2005年12月24日(土) 思い出す一瞬が存在するならそれでいい





あなたが
本当にわずかな時間でも
あたしを思う瞬間を持っているなら

今はそれでいい



2005年12月23日(金) この空をつきぬけてあなたまで届くといい




雲がさえぎらないそんな日は
あたしの気持ちがまっすぐに天までのびてゆきそうで
空をつきぬけてあなたまで届くように
祈りながら見上げる

日々をあたしはまだ生きている
泣きながらでもなんでも



2005年12月22日(木) 待ってはくれない時間もバスも





全速力で駆け抜けたって
時間になれば過ぎてゆく

待っていても
寝ていても
走っても
つまづいても

同じ速さで流れてゆく



2005年12月21日(水) きみのためのさよなら





きみのためのさよならだと
思いたかった
わがままをゆるして

あたし
悪者になりたくなくて
レベルの低い現実逃避



2005年12月20日(火) さみしいから手が伸びるというだけのこと





その行動の理由は
さみしさ

あなたに特別な感情なんて



2005年12月19日(月) いつか消えてしまうのならセーブしておこう




そのままで現状維持
この時のままを保存して

続きにはもう手を触れない

消えてしまうくらいなら
このままでいい



2005年12月18日(日) 何も言わないなら言わないでそのまま終わるものを




あんなことさえ言わなければ
何も露見しないまま
すっかりきれいに箱におさまって
きれいな思い出としてしまいこんでおくことができたのに

あなたときたら
無粋な発言


言わずにはいられない
おろかしさ



2005年12月17日(土) この午後には特別なひかりが




今なら
このありふれた午後のひかりも
まるで特別なもののように見える

さわやかな知性のひかり




2005年12月16日(金) ずっとつなぎたいと思っていた手のひら





憧れていた
あなたの手のひら

想像以上のあたたかさ



2005年12月15日(木) 見せられるものはすべて見せた


すべて見せた

あなたには

見せられるものだけはすべて

だからあとはあなたの答え次第



2005年12月14日(水) 携帯電話がピリピリおはようと言う


もう朝ですよ
もう朝ですか

眠っていたのなんてたったの3秒くらいみたいな
そんな睡眠の中から
携帯電話がピリピリとあたしをひっぱりあげる

もう朝ですか

やれやれ起きますか



2005年12月13日(火) 朝のまっしろな雪と青空の間で


冷たい空気を
いっきに肺に流し込む
射すような新鮮さで
何もかも洗われればいい



2005年12月12日(月) おだやかな足取りで雪をふみしめる



しっとりとした雪を
ぎゅっと踏みしめてそこに立つ

吐く息が白く
どんなかすかな自然の音も
ダイレクトに耳に届く

光はのびやかに差し込んで
空も川も雪もあかるくしていく

あなたと別れたあとの朝も
こんなにもキレイに明けてゆく



2005年12月11日(日) 冷たい風を切って走る自転車


ぐんぐんスピードをあげて

向かい風にも
北風にも負けない

へこたれない
だって右足にぐいと力を入れれば
左足は自動的にくるりと上にくる
そうなったら
もう次は左足に力を入れてペダルを踏みしめるしかないじゃない

止めたら
倒れちゃうことも知っているんだから



2005年12月10日(土) 意図的な沈黙





何も言わないのも
わざと

何を待つでもなく黙って
この空気が流れていくだけの時間を

そっとやり過ごす

それがふたりの仲直りの方法



2005年12月09日(金) 楽しい予感でいっぱいにして




どうぞおねがい

この先あなたなしでも生きていけるように

楽しい予感でいっぱいにして

それから

それから立ち去って



2005年12月08日(木) それでもなお信じるというのなら





こんなことになって
それでもなお信じるというのなら
もう何も言葉はないわ

きっとどれだけ裏切られたとしても
信じなければ後悔する

つまりそういうことでしょう



2005年12月07日(水) 強い風が吹き抜けても



たおれない

ながされない

まっすぐな

きみのひとみが

すきでした



2005年12月06日(火) きみを失ってからの曇り空




さよならと手を振ってから

もうずっと

太陽が輝かない



2005年12月05日(月) 希望を入れたリュックを置き忘れて




あんなにぱんぱんにふくらんでいた
希望のリュックを

こんなところに置き忘れたままで

もう手の届かないところへ行ってしまった


今ではあなたがわたしの希望



2005年12月04日(日) 魔法の粉が降り積もるから



まっくらな真夜中に
街灯に浮かび上がって
しんしんと降り積もる
魔法の粉

白いかざりを髪にまとって

今だけ涙を隠して

魔法の粉よ



2005年12月03日(土) どうしようもないなら来てもいいよ



こまってこまってこまって

もうどうしようもないってぐらいの

ギリギリ限界なら

ここに来てもいいよ

一緒にねむってあげてもいいよ



2005年12月02日(金) みんなにみせびらかしたいくらい



いいでしょう これ
この気持ち いいでしょう

こんなのなかなかないでしょう
なんて思っているのは私だけかな

だけど楽しくて
しあわせで
見せびらかしたいくらい

ねぇ いいでしょう



2005年12月01日(木) 何の連絡を待っているんだろう


毎日毎日
あきるほど携帯電話をながめて

何の連絡を待っているんだろう

連絡の予定すらないというのに


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茜 幸美 [HOMEPAGE]

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