妄想誘発剤

2004年11月17日(水) きみが降り積もってこの頬でとけるまで


きみの言葉はどこまでも生き続けるだろう

それはあたしなんか足元にも及ばないような輝きで

みんながヤキモチをやくくらいに

ずっと生き続けるだろう

きみの分まで果てしなく

空から舞い降りて

きみがこの肌の上でとけて

あたしの中へとしみこんで

それを繰り返して

ずっとずっといくんだろう

きみの手に入れた永遠は

そんなかたち



2004年11月16日(火) 目に入らなかったことを言い訳に




見てみぬふりだと批難するだろうか

目に入らなかったことを言い訳にはできない


けれど
あまりの光景に目を見張り
呼吸も忘れるほどの衝撃
あの時一度死んだようなものだ



2004年11月13日(土) 本当ならいまごろきみを追い掛けて



本当ならいまごろ
きみをおいかけて
なんとかしておいついて

笑顔できみを抱きしめていた

本当ならいまごろ



2004年11月12日(金) 切り落としてしまえば楽になるとわかっていても

私からすっぱりと
切り落としてしまえば
ひとつの荷物をおろすことになる
身軽になったら
そのぶん楽になる
そうとわかっていても

そうとわかっているけれど



2004年11月11日(木) 目の前を通り過ぎていく不安



今一瞬
私の前を通り過ぎた不安

それが何だったのか認識する前に
行ってしまった不安

あとでそれがちゃんと戻ってはくるけれど

今は

今だけは



2004年11月10日(水) ただ好きな人がいるだけなのに



ただ好きな人がいるだけなのに

毎日は奇跡みたいに輝いて

きみは目をキラキラとさせる

錯覚でもそれはそれで楽しい



2004年11月09日(火) きみに恋した夏は遠くなりにけり




海までの道のり
流れた景色
どうでもよいことは覚えているのに
かわした会話など思い浮かばない

待ち合わせ5分遅れ
新しい水着
はねたしぶき
まぶしい夏はもう遠い



2004年11月08日(月) あなたを思えばにぎやかな日々が懐かしい


あなたを想ったことがあった
あなたを強く望んだことがあった

あなたを
忘れないと誓った日もあった


遠くかすむにぎやかな日々



2004年11月07日(日) たまには期待を裏切って





たまには期待を裏切って
きみを新しい店に連れて行こう

たまには期待を裏切って
おかしなジョークを言ってみよう

たまには期待を裏切って
このまま家に帰そう



2004年11月06日(土) 「わ〜!」ってなって「きゃー」ってなってスッキリスマイルで解決だッ

ジェットコースターに乗って
きみとのアレコレ吹き飛ばそう

大声で大きな口で大きく笑って
うじうじを吹き飛ばそう

結局あたしには
それが一番似合ってる



2004年11月05日(金) ゆるゆると天へのぼっていくひかりが本当は見えたんだ




罪の意識はどこからくるの
微笑みながら
くらべようもないしあわせをかかえて
天へのぼってゆくひかり



残された者が哀しむのは
残された者のため



2004年11月04日(木) どうしようもない恋だけどそれでも恋でした





これを恋というには
少し御幣があるけれど

どうしようもないなぁと
諦めにも似た気持ちで
想いをかかえて

きっとあたしは
この気持ちと一生つきあっていくんだわ



2004年11月03日(水) きみにはスキと言えないけれど



もうきみにはスキと言えないところまできたけれど

きみがそこにいて

たまに隣にぼくがいる

今はそれでいい



2004年11月02日(火) あの帰り道のささやかな笑顔の共有



偶然だね
帰り道で一緒になって
他愛のない話で笑って
少し寒くて
息が白くて
きみはかわいい



2004年11月01日(月) 信号が青になったらサヨナラ





この信号が青になって
きみがゼブラを歩き始めたら
あたしはここに立ち止まり
きみの背中を見送るだろう

あとはもう秒読みだ

このあたたかい手のひらだって
するりと簡単にほどけていくだろう


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茜 幸美 [HOMEPAGE]

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