+++ Rip Stick +++

2005年02月21日(月) どうしようもないこの気持ち。




「最後にやっぱり顔見て話したいと思って。」




彼からのメールだった。







二度と来る事が無いと思っていた

彼からのメール。



私は、ディスプレイを何度も見直した。





間も無くして、また、彼からのメールが入った。









「ごめん。バカな事言ってる。忘れて」
















私は、一言だけ返した。




「逢いたい」















どうしてこんな気持ちなんだろう。

自分を裏切った相手を

どうして忘れる事が出来ないんだろう。



何で、私は彼をまだ好きでいる事が出来るんだろう。


あたしって、おかしい。







寒い部屋の床にうずくまったあたしを見計らったみたいに
けたたましく着信音が鳴った。










あたしは、ゆっくりと通話のボタンを押した。









「・・・・・・二度と電話しないんじゃなかったの?」

『うん』

「お父さんになる為に、頑張るんじゃなかったの?」

『うん。ごめん』



やっぱり、俺、お前の事忘れられないよ。




彼が言った。あたしは応えられなかった。




『引越しって、いつだっけ?』

「今日」

『・・・・・・今から行く』

「何で?」

『行きたいから』





1時間後に、彼が玄関に居た。









心の奥が、奇声をあげてるみたいだった。













何も考えられなかった。





ただ、彼を求めた。

ただ、彼に求められるままに抱き合った。






今迄に無い位に雄々しい彼の行為に

あたしは涙を流して痴態を晒した。














相手を殺して自分も死んでしまおうと考えた人の気持ちが判った。



一つになったまま、同時に息絶える事が出来たら
どんなに幸せなんだろうと思った。




だって、そうすれば彼はあたしにものだから。








どうしようもない。



どうしようもないこの気持ち。







彼の腕の中で欲に溺れながら


あたしは心の奥だけで懺悔した。























2005年02月15日(火) 今もなお彼に恋焦がれるこのあたし。


昨年、叩き付けた様に渡した手紙。
その後、彼はなんとも言って来なかった。
一度、新宿で二人で呑んだ。
当たり前の様にセックスをした。


それから、彼の家の近くに引っ越そうと
用意を始めた頃、彼から電話があった。




「お前、前に手紙くれたよな」
「うん」
「お前が引っ越すのって、俺ありきなんだろう?」
「うん」
「結論から言う。別れる」
勢いに乗せたみたいな台詞だった。
何も言えなかった私に彼は言った。

お前が病気で面倒だとか思った事は一度も無い。
お前が嫌いだと思った事は一度も無い。

だけど、ごめん。







子供が出来たんだ。















彼が何を言ってるか判らなかった。








堕ろしたと思ったら、産んでたんだよ。











何の事?

何言ってるの?

誰の話?






言い訳じゃ無いけど、去年から俺不安定だっただろ?
俺、そういう時ってすぐに誰かに甘えちゃうんだよ。
知ってると思うけど。
そん時、2〜3回だけだったんだけど、その相手の子と
そういう事になって・・・







何で?そういう時に何であたしを頼らないの?
あたしってその程度の存在だったの?
住んでる場所が遠いから?
呼び出すのも面倒だったの?
浮気しても良いけど、よそに子供作って結婚されるのだけは嫌だって
私散々御願いしたよね?
あたしは、アナタの何だったの?
あたしの事大事にしてるとか、幸せになれとか言いながら
アナタがあたしを一番酷い方法で、一番酷く傷つけた。
何で?



途中から泣きながら話す私を、彼は静かに聞いていた。







御免。近くに居なかったからとか、そういうんじゃなくて
お前が悪い訳じゃなくて・・・俺が悪いんだよな。
本当にごめん。
まだ信じられないけど、俺は散々考えて責任を取る事にした。
お前には何を言われても仕方無いと思ってる。
本当に・・・・・・本当にごめん。





あたしに出来なかった子供を、あたしが欲しかったアナタの子供を
産んだ女が許せない。悔しいよ。何で他の女に持っていかれるの?
あたしの10年の思いは何?
でも、・・・子供が出来たなら、あたしは何も言えない。

子供を殺せとか言えない。アナタが決めたなら、最後まで
頑張って。
ちゃんと父親になって。子供は幸せにしてあげて。






・・・・・・女って、お前って強いな。
あのさ、バンドは続けるから。子供出来たから、結婚したからって
辞めないから。
お前が支えてくれた事に対して、それが俺に出来る唯一だし
俺は音楽から離れられないから。




うん・・・・・・





こんな終わり方でごめんな。
本当に、俺はろくでもない奴だって実感したよ。
俺から連絡する事はもう無いと思うけど・・・・・・
幸せになってくれな。
お前だけは、本当に幸せになって欲しいと思ってるんだよ。





うそつきだね。






私は、涙か止まらなくて、嗚咽が止まらなくて
でも、お互いに電話を切ることも出来なくて
一体何時間話していたんだろう。



一度電波が切れた電話に、私からかけ直した。








御願い。今迄言ってくれなかった言葉を
あたしに頂戴。

最後だから、あたしの事愛してるって愛してたって言って。



泣きながら、震える声で彼に言った。




そう。今迄彼が一度も口にした事の無い言葉。
そういう事を一切言わなかった彼。



彼は少し戸惑ってからこう言った。







うん。・・・あのさ・・・俺はお前の事好きだよ。うん。愛してる。
今でも、一番愛してる。・・・言うの遅くてごめんな?





そうだよ。ばか。


そう言いながらずうっと泣いてる私を、彼は電話の向こうで
じっと待っているみたいだった。








幸せになってね。












さようなら。










元気で。











そう言って電話を切った時には、もう空が白んでいた。





















もう二度と合えない。
声も聞けない。
あの温もりは、あたしには還らない。








あたしは、泣きながら引越しをした。
















何も無い、一人の部屋は、本当に寒くて
それだけで泣きそうだった。
















ふいに放り出していた携帯が鳴った。



























連絡をしないと言っていた彼だった。




















2005年02月09日(水) 恋をしても良いですか?



彼との事を


彼とのその後を


お話しても


良いですか?






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