(仮)日記
何かしらの感想と更新履歴。



2009年07月18日(土) アマルフィ 女神の報酬






普通に面白かったですよ。
原作に真保、亀山P、主演に織田で、佐藤浩市なあたりどこかでよく観たことのある組み合わせだけど(苦笑)

そのホワイトアウト、再放送をお昼にしていたことに帰宅してから知りました。ちょっと観たかったなあ久しぶりに黒四ダム。

話の内容としてはまあ、予想通りに進むというか、結末はなんとなくこんな風に終わるんだろうなと思ったらその通りというか。
わかりやすい話ではありますね。

だって、佐藤浩市が出てきた瞬間、またおまえか!って思いましたもん(爆笑)
わかり易すぎ。
またテロだしねー

そのわかりやすいストーリーで、ちゃんと魅せるものにしているあたり、画面構成や話の流れはうまく作ってあったんじゃないかと思います。

何よりも、イタリアの景色というか、世界遺産が!楽しかったなあと思う。
五月の天使と悪魔に続き、ローマの遺産群がいい。フォロ・ロマーノが映った瞬間、嬉しくて笑っちゃいましたけど。
カンピドーリオ広場の上り口両脇に立つマントを羽織った男性裸像がある筈なんだけれど、それはさすがに映ってなかったなあ。

まずコロッセオ前の通りが映る。その真横に、天海扮する矢上が携帯で電話中に眼下に映る景色、フォロ・ロマーノがあって、そこから角度の急な坂を登っていくとカンピドーリオ広場と、娘が誘拐されるカピトリーニ美術館。
トラステヴェレ地区にはいかなかったので、この映画で観られたのが嬉しい。
テルミニ駅はオーシャンズ12でも使われていたし、なんだかイタリアロケ映画では馴染みになってきたなあという印象ができてきた。

サンタンジェロ城は天使と悪魔でもうお馴染みな感じもするが、あの時は地下だったけれど今回は屋上の展望台なので、違った場所が見られていいんじゃないかな。

サラ=ブライトマンは昔から好きだけど、この映画のおかげで大画面の大サウンドで聴けるというのは有り難い話。
美しい歌声だよなあと浸りました。

アマルフィで泊まったホテルのベランダで、矢上が娘を心配して声を殺して泣いている様子に、黒田が肩にコートをそっとかけてあげるシーンがあるんだけど、そのさり気無い優しさに触れてとうとう泣き崩れる矢上が、黒田の手を掴んで、膝が折れて、黒田に縋り付いて号泣するっていう、その一連の流れがもう、さすが天海!女の私でもちょっとドキリとしましたし。これにはさすがの黒田も心擽られるところあるよねと(笑)

織田は、今回の黒田のような、謎が多くて、腹に一物持ってそうな感じなのに、結局はまっすぐで、っていう役が本当に似合うよなあと思う。ちょっと不器用というか要領の悪そうなところも。
イタリア語英語が堪能な役回りだから、語学という点でも大変だったんじゃないかと思うけど。

贅沢な映画だと思う。
ただ残念なのは、時季設定がクリスマスだということ。こんな真夏だと雰囲気出ないよ。どうせなら12月公開とかだったら良かったのにと思わないこともない。

まず映画ありきで設定やキャラが作られていったアマルフィ。小説版は知らないキャラがいたり、細かい設定が書かれているそうなので、観た後に読んでみるのもいいかも。観てから読んだ方がいいかと。



結論。
非常にエンターテインメントな作品でした(皮肉ではない)







2009年07月10日(金) 蟹工船







早い話が、松田龍平見たさだったんですけどね。

映画のためのオリジナルキャラクター、新庄を演じていました。労働者たちのリーダーとなる人間です。
原作を読んでいないので、新庄は普通に原作に出ているものだと思いました。ということは、原作の労働者たちはリーダーのいない状態で雇用主に逆らうことを決めて立ち向かったってわけなんですよね?

新庄は、どこか達観してて、物事を斜めから見ていて、頭の良く回るタイプだなあと。松田龍平が演るにはぴったりの役どころだと思いました。
人を纏めることの出来る、賢い人間のわりに、何かに失敗して蟹工船に乗る羽目になったんでしょうねえ。何をして底辺まで落ちたのか、そこが気になるところ。

その労働者たちを虐げる浅川監督を、あの西島秀俊が演じていたのにはびっくりしましたけどね。この役者さん、何を観ても、ヘタレか、いい人か、優柔不断そうな優しげな男ばっかりだったので、お、これは新規開拓かとちょっと楽しみでしたね。
今までのイメージとはかけ離れた役というのは、役者にとってはやりがいもあるし、逆にイメージを壊すということで失敗すると目も当てられない結果になるんでしょうが。

良かったですよ、西島の浅川。
役作りの為に左目に縦に走った傷があるんだけど、それもまた浅川の恐さを滲ませているというか。あの傷、戦争でできたとかそういうことなのかな。
力が正義だと信じきっているようなキャラクターですね。
浅川監督の容赦のなさが素晴らしかったです。杖で労働者を力いっぱい殴るんだけど、画面に映っていない場面は床とか別のものを叩いているのかなあと思ったりはしたけどね。
髭がなかなか(そこ?)

労働者の中にTKOが混じってて、木下が登場した瞬間、笑うしかなかったです。そして、相方も出ていたんですが、結局最後まで気付きませんでした。木下に比べて木本って印象弱くって。

あと、新庄が行方不明になっている間に労働者たちを奮起させるに一役を買った少年役、柄本時生。この子が、顔は何気に印象深いのに、カツゼツが悪くて、折角の長台詞、しかも重要なシーンだっていうのに、台詞の悉くが聞こえづらくて聞こえづらくて。はっきり言って、半分くらい何を言っているのかわからない。ので、自分で補填ですよ。興奮して、怒鳴って、船から飛び降り自殺を図るっていう流れに続くんだけど、台詞が聞こえないのでそれほど衝撃もなく。
この役、大事なキャラなのに。

手塚とおるの登場は、脱力しました。
コサックダンスにも驚きました。
でも、踊っている労働者たちは楽しそうだった。基本的に画面に人が一杯ひしめき合っている状況での撮影だから、統率するには大変だったんじゃないかなと思わないでもない。

父親役で大杉漣さんが現れたときには喜びました。
けれど、森本レオさんが出てきたのには気付けませんでした残念。

延々、カニが出てきます。蟹工船なので当たり前なんですが、暫く観ているとちょっと嫌になります。

自殺を図ったり、ホントに首つってる奴がいたり、逃げたり、精神的に嫌な内容ですよね。最終的には皆で立ち向かうというのはわかっているけれど、報われないんじゃないかなあと思ってしまう辺り、夢のない奴ですみません。



結論。
結局浅川に撃ち殺された新庄の、死に様の血の吐き具合は素敵だったと思う。







2009年07月04日(土) MW(後日追加)





色々と中途半端だなあというのが正直な感想。

手塚治虫の問題作と銘打たれ、前振りにテレビで第0章までやったわりにいまいちでした。まあ、手塚作品て問題作いっぱいあるような気がするけどね。アドルフに告ぐとか火の鳥とか問題作のひとつじゃない?
ちらしにはアクションと書いてあったんだけどなあ…その割りに、あったのは刑事役の石橋凌のカーアクションくらいで、しかも車が吹っ飛ばないし燃え上がらないし大破されないし(この辺はハリウッドの印象強いせい。あれと比べちゃダメだ)

衝撃は薄いですね。
むしろ、テレビドラマの第0章の方がまとまってて、面白かった。

あ、役者さんは悪くなかったですよ。きっと脚本が悪かったんだと思う。
だって、山田孝之だし。
玉木も、キレた結城をよく演ってたと思うんだけど。見所っていったらそこくらいしかないんじゃないかなー
あ、頭から血をかぶって血まみれの山田くんは素敵でした(え、そこ)多少エグいので苦手な人は眼を逸らしておきましょう。

いろいろと不備があると思うんだけど、取り敢えず、主人公の結城と賀来の関係性があまりぱっとしない。
賀来が神父である設定が活かしきれてない。
頭がいい筈の結城の行動が穴だらけのように思える。

丁度携帯でヤフーニュースを見た時にこのMWについてちょこっと触れてあったんだけど。
原作では、結城と賀来の同性愛描写があったらしいですね。これを見て、漸く納得しました。

だから、あんな微妙なシーンがあったんだ、と。

結城が凶行に走る原因となった沖之真船島での事件で、結城に助けられた賀来が結城に対して罪悪感を持っているのはわかる。自分を助けてくれた代わりに、島民が惨殺されることになったMWという毒ガスだかなんだかを結城が吸ってしまい、以来後遺症に悩まされ、余命も短い。自分のせいだという負い目があるからこそ賀来は結城に逆らえない。
このへんはよくわかるんですよ。本編でもそう言ってたから。
でもそれだけだとあのシーンのあのやりとりはおかしいだろ、と考えてたら。
原作にはあったけど、映画では削ったそうですね。ちょっと観てみたかったんだけどなあ山田孝之がそういうシーンをどう演るのか。

別に削るのはいいんですよ、原作全部を忠実に作ろうとしたら二時間ちょいくらいで終わらない。コストもかかる。
でも、削るなら削るで、筋の通った話にしてほしいんだよなあと思っちゃうのが観客で。

この映画の原作は読んだことはないし、知らない。何にも先入観のない状態で観に行って、あれ?って思う映画はたまにあるけどさ。
削るなら削るで、結城と賀来の関係ももっとはっきりしたものに変えればよかったのにと思わないでもないよこれ。まだ、事件で唯一逃げ出して生き残った二人、その後を一緒に過ごしてきて深まった友情から、賀来は結城を止めようとするっていうのなら理解できたのに。

原作の結城と賀来の関係をちょっとだけ残すなんていうことをするから中途半端になったんじゃないかな。

賀来のスタンスが読めないんですね。おまえは結城に対してどうしたいんだって。
結城は、本編から引用すると「モンスター」なので、賀来に対する態度が一貫してなくても別にまあそこまで重要じゃないような気がする。あ、でも、最終的に賀来を見捨てたくせに、島で崖から落ちた賀来をちゃんと回収してきてるあたりはちょっと違和感あったんだよね。その後、船で仲違いして、未練なく捨てたから。
自分の目的の邪魔になるならおまえは必要ないってところなんだろうけど。

根底に二人のそういう関係があったから、賀来は結城から離れられないし、結城は賀来に僅かながらも情を抱いていたってことなのかと。
命を助けてもらったっていうだけで、あの賀来が結城の犯罪の片棒を担ぐような真似はしないんじゃないかなと思うんですよ。仮にも神父だし、友人を救いたいっていう意思もあっただろうし。
どこか賀来が弱いなあと気になってたんだよねー。結城を止めたいけど自分では止められない。だからって冷たく切って捨てられない。

でも最後は自分が助かりたいが為に、賀来はMWを持って海に飛び込んだよなと私は思ったんだけど。
結城の犯罪を止めるためだけじゃなく。
結城は自分の意思で罪を犯し、賀来は救われたくて仕方なかったって感じ。

その結城も、自分の命はあと少ししかもたないからっていう理由だけで、完璧には遠い犯罪計画を立てるかなあ…?結構行き当たりばったりな感じがする。あれか、自分を追ってきた刑事さんの勘が鋭すぎたんですか。いやでも、人知れずホテルを出て日本に戻らなきゃいけないのに、上下白の衣装は目立つよ逆に。そして案外うっかりさんだよな結城。

石橋凌さんを見ると、キル・ビルとかローグ・アサシンとか、そういうB級映画のイメージが強くて嫌です。
しかも、結城を追う刑事役なので、出番が多いです。

全ての黒幕らしい望月という国会議員の秘書役を鶴見さんが演ってたのは楽しかったです。この人、スーツ似合うよなあ。性格悪そうな役似合うよなあ。



結論。
山田孝之の出番が少なくて残念だったよ。





その後、パンフレットを読みました。インタビューも読みました。

解説読んで初めて理解しましたよ。そうか、賀来は結城を愛していたんですね、と。
解説読まないとわからないってどうなんだろうと思わないでもないですが。あれですか、私の洞察力が足りないとかいう話ですかすみません。

賀来は結城が好きで、好きだからこそ結城を止めたいけれどそれも出来ず、好きだからこそ結城の頼みを聞いて犯罪に手を貸してしまうんだそうです。
そういわれれば、賀来の不可解な行動に合点がいきました。あの視線もそういう意味合いが込められていたんですね。

解説、インタビューにて。
賀来の視線を追っていくと結城に辿り着くとありました。
賀来は結城が好きなのに、結城はMWしか見ていない。そんな三角関係なのだそうで、この設定を知っていてこそ、最後の賀来の選択が生きてくるみたいです。
結城が執着しているMWと共に海に飛び込んだ賀来は、結城の犯罪を止めることと同時に、結城の執着の矛先も一緒に奪っている。
とまあ、一応複雑な背景があったんだそうな。

島でヘリから狙撃された場面で、新聞記者役の石田ゆり子を庇わずに走り去っていく賀来は、自分が囮になって敵の目を自分に向けようとしているとばかり思っていたんですが、実際は、賀来の守りたいのは結城だけなので、ぽっとでてきた新聞記者はたとえ女性であろうと守らない、んだそうです。

さっぱり気付きませんでしたよ(ハハハ…)

ちなみに、原作のMW。
賀来は体格のいいおっさんで、結城は美少年です。
玉木と山田なのでてっきり、犯罪者結城(玉木)×苦悩する神父(山田)なんだとばかり思っていましたが。
…逆の可能性もあるということですね







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