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YESTERDAY  COVER  TOMORROW


No._ _ _ _ _ _ _ _ _
Date 2005年06月06日(月)
温度差
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部屋と外を隔てる窓は、景色が見えないほど結露していて触るときりりと冷たく、そこから水滴が伝う。二つの空間の気温差を思い知らされるようで、室内にいることの安堵と外へでることの面倒くささが同時に沸きあがる。珍しく部屋もきれいだし、最近気に入った音楽をかけているし、シンクは片付いているし、「ちゃんと生活している」という気分になった。マグカップからはホットココアの湯気が立ち上った。ぼんやりしていると、思考に入り込んでくるのは飲み会で向かいに坐っていた男の人の言葉だった、「俺のものになるんだなっていうかさあ」いわゆる略奪愛をした、というその男の人の話に興味を持った同僚が、そのときの彼の行動・心情などを巧に聞き出していた。彼が語るに、彼Aがその愛を略奪した彼女Bは、当時付き合っていたCとの関係には安堵を覚えることが出来ないと語っていたそうだ。浮気をするような人ではないと思うが、私のことを余り省みてくれない。仕事が忙しい、というメールが入ると1週間音信普通になることもよくあったという。Bが健康を案ずるようなメールをしてもそれにすら返信せず、Bは「一息ついた。あえる?」と音信普通になったあとの定型文のように幾日被りに入ってくるメールを見るまで、Cを心配する日々が続くのだという。Aはそんな話を、BがまだCと別れていないものの、それを切り出す機会を作った頃にした。Aに肩を抱かれて幸せそうに体温をかんじているBを見つめながら、冒頭のような感慨を抱いたそうだ。BとCはいつ別れたのだとか、Cには気付かれていないのかだとかそういう話で盛り上がる輪の中に一応入りつつ、私はぼんやりと「私は誰かのものだと思われてうれしいだろうか」ということを考えていた。今までそのように思われたことがないのだから、ちょっとはうれしいかもしれないと思った。私を所有するほど好いてくれている人がいるという状態には憧れる。所有される、という言葉に官能的なものも覚え、想像は膨らむ。
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