甘えた関係




甘えた関係
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2003年02月26日(水)
リョーカイ?

無償の愛がほしいなぁと思った徹夜明け。
条件つきじゃなくて、そして一番なやつ。
1コあったらもう他はいらないや。
それで全部用は足りるから。
部分部分なのをかきあつめても、24時間には全然足りない。
間が余計きつくなるだけ。
いくら信じても結局欠片でしかないというのは手に入れた時点でそれぞれ解かってはいるんだけれど。
会社よりも食事よりも睡眠よりも遊びよりも恋人よりも友達よりも何よりも、選ばれるほどの価値はない。

2003年02月22日(土)
蓮歩


背骨が軋むくらいきつく抱きしめて。
ぐるりんと裏返って見えた内臓も受け入れて。
あたしが死んだ後は焼かれた骨に触ってほしい。
そんなことをぼんやり望みながら、夜眠れない自分が怖くて、はやまっていく心音を押さえつけたまま布団のなかにもぐっていた。
欲しいのならばならなくてはいけない。
知っていても動けなかった。
方法はわかっていても、ぬくぬくとした場所から出て、探すことが出来なかった。

2003年02月20日(木)
グリーン


手にしたものはたくさんあった。
けれどあたしはそれでは満足ができなかった。
それは、何かの代わりだったり、諦めだったり、なかには理由もはっきりしていないものもあった。
そしてあたしも、相手にとってはそのなかのひとつ。
偽りに嫌悪しながら、本物には怯えて望むことさえもしなかった。
あたしはあなたにとっての無駄。
あなたはあたしにとっての無駄。
解かっていても手放さなかった。
ゼロが怖かった。


2003年02月16日(日)
花言葉さえ知らない

あたしのしたことによって誰かが気分を害したのかもしれない。
でも、それほど誰かにとってあたし重要な存在だった?
あたしのできることによって誰かを救えたのかもしれない。
でも、それほどあたしその誰かを必要とする?
いいえ。
大丈夫。
聞こえない。
何もあたしのせいではない。
そのはず。
すこし、耳を澄ませながら、目をつむる。
大丈夫。
世界はあたしが思っているよりも半分くらい無責任で、希薄。
それに、何かに慣れる必要なんてない。
壊されたラジオ。
閉じた瞼に明るい部屋。
かるくなりましょう。

2003年02月15日(土)
DEAR MINE.

順番を告げた看守の人が、告げられて立ち上がったあたしを、怪訝なカオで見た。
隠しているのだとしても、恋人ではなさそうだし、妻でもないし、かといって子供でもなさそうだし。
続柄友達関係っていったいどこで、そしていつのだ?
何も知らない同情だけの文通相手か何かなら止めたほうがいいんじゃないか?
世間ではキレた大人の犯罪となっているがここだけの秘密だけれど実際は600万円で人を優しく殺した友人が、窓のなかから、
『ひさしぶりー』
と言って笑った。
「やーい、犯罪者ー」
と答えて笑った。
『民事で訴訟されなくてよかったわ』
と言って笑いながら、ここ出たら四十肩鳴らして別荘地に住もうかと思う、と言って、笑った。
ハタチ過ぎて親に知られずに会いに行くことが出来るようになっても、目をそらしてずっと会わずにいた。
ゆうに7年ぶり。
聴きはじめは言語を読み取ることを放棄したくなるやたら騒々しい曲、甘ったるい匂いのこもった部屋、どこが禁忌なのかちっとも見当がつかない人間たち、ふわふわというよりもぽやんぽやんとした、真面目や期待や努力の必要の裏と表がひっくり返ったような場所。
あたしはただ眺めているだけの閲覧者に過ぎなかったけれど、それでも、地面とのバランスのとり方のコツさえマスターすれば、息抜きするのにけっこう使えた。
けれど、あのとき、ちょっと覗いてみただけだったの、という言い訳が、いつでも通用しなくなる時がくる、ということを知った。
そして、今と変わらず、ゲームオーバーするくらいなら自らコンセントごとぬく主義のあたし。
決めるのは早かった。
あれから、あたしには、当然ながらどうってことはないことも含めて色んなことが起こった。
たとえば、あたしは死体を18体見て、そのなかの2人の死を悼んだ。
それで直接どうこうというわけじゃないけれど、それなりに憤りを感じ、それなりにどこか影響を受け、それなりに変わった、のだと思う。
そういうことが、きっと互いに。
15分くらい話して時間がきたことを知らされ、椅子に座ったまま最近お気に入りの紺の地に白の雪の結晶模様があるマフラーを首に巻いた。
バイバイの代わりにピースして、
「じゃあねー、またねー、人殺しー」
破顔したのを確認して、ドアを閉めた。
オーバーな表情で相手から答えを引き出そうとする怠慢はキライ。
せいぜいギャラリーでいて頂戴。
動かしすぎてこねくりまわしたようなカオになった看守にいちおー一礼をして、やたら白いその建物を出た、17時。
中途半端な白い半月。
『せめて髪くらいいじれば変わるだろうに、見かけ、全く変わってないな、それでホントに21?』
あなたのいない間に、もう染めたの、そして止めたの。
この姿が一番、チューニングしやすくて、みんなとの距離が一番とりやすいの。
ヒーローになりたがっている人に教えて、通報をさせたのはあたし。
窓のなかの友人は、そのことを知っている。
出て、会ったら、まず互いに何をしようとするのか、わかんないように一度も考えてないから、今からとても楽しみ。
妹と食べるためのたこ焼きを買って帰った。
激情は何時はしるのでしょうか。

2003年02月14日(金)
ドロップクッキーが好きだったんだよね

付き合いはじめて4日後に、『んー、別れない?』と切り出された相手だった。
その提案に、「んー、もうちょっと」と答えたあたしだった。
結局、高校のときの大半をその相手と付き合った。
「あたし、今日何人目?」
下から相手の頬と髪と唇と耳を同時に触りながら、聞いたこともあった。
一瞬固まった相手の動きが楽しくて、翻ってくすくすと笑った。
放り投げておいた枕は、肌にさらさらと冷たく、きもちいい。
何人もの彼女という存在をわざわざ作って、それぞれとそれなりの交際をしている相手は、あたしにとってひどく不可解だった。
そのおかげで、試み通り、相手に割いた時間内で、だいたいのほとんどを終わらせることができたのだけれど。
時々、他の彼女が他の彼女の存在を嗅ぎ分けて、それがたまたまあたしだったりして、その度にそれなりの迷惑を被って、聞いた。
「なんでそこまで恋愛に重きを置くわけ?」
恋愛は非現実。
大事なのは現実。
現実を楽しく過ごすためのスパイスなら、彼氏役は一人でちょうどいい。
後の人もすべて彼氏役にするなんて、多いと重荷、問題発生率の増加。
どーせ、アタマをこじらせるのは、感情を揺るがすのは、直接自分にカンケーすることだけなんだから、そんなのは全部邪魔。
第一、それで一人になるのが好きなんだって言われても、誰も解かりなんてしないわよ。
気がつくと、日に透けて茶色の髪の毛だけの後姿。
床に座ってベッドにもたれかかっている後姿の相手の耳たぶを、片側、ベッドに寝転がったまま人差し指と中指とで挟みながら、突き放して言う、
「こっち向いて」
相手に、楽しさ以外を求めたことはなかった。
学校や家や友達とは関係のないコミュニティから、テキトーなのを一人見繕って、長続き、それがあたしのスタイル。
誰にも話さず、一人で恋愛を玩んで、それなりに苦悩はしつつも、それ自体も楽しみの範疇で、それはチェスをしている時の気分によく似ていた。
あたし以外に重要なものはあたしのなかにはなく、あたし以外のものは全て同等だった。
時折、別れたら何をしようかな、というコトを、あたまのなかでこっそりとメモ。
それは、一人で、近鉄で少し遠めの散歩をしてみようとか、お祭りの盆踊りに参加しようとか、たわいもないこと。
けれど、メモをするたびに、付き合っている楽しさは増していった。
楽しみがすべて。
終わったらそのコミュニティごと捨てて、少し休憩。

最近そんなことを、よく思い出す。
お酒を飲むたびにそのときの楽しさが甦ってきて、こみあげてきて、誰かとお酒を飲むのは、今はちょっと危険。

恋愛に突入するべきか、それとも、ここで終わらせておくべきか、迷っている。
恋人のことを、信用したくなっている。
お気に入りじゃなくて、好きになりたくなっている。
こういうのを厭うから、止めていたのに。
気持ち悪い。
黒髪じゃなくて、茶色の髪の恋人を、作っておくべきだったんでしょーか。

2003年02月13日(木)
パーフェクト

その強さに見せかけがあるのは認めるけれど、だからってあたしは弱くない。
ただ、欠落して突出していて、欠落している部分を悲観しているだけ。
まだいける、まだ足りない、これを全てになんてしない。
時には束縛されるけれど、プライドという意地の高さが、あたしの誇り。
苦しめられることもあるけれど、おかげでどれだけ乗り越えることができたことか。
留まること、漂うことが、出来ないあたしには、動くしかない。
例え動けなくても、動くことを望む。
ないのならば見出せばいい。
周りを見渡すことを忘れて同じ場所をつままれたように歩きまわるなんていうことも、充分に意義のあること。
生きることだって出来ない人がいる。

2003年02月12日(水)
ズレたの。

とっても楽しくて、
友達と笑いあっていて、
いろんな楽しいことを思い出して、
それをまた話して、
また笑いあって、
楽しさがどんどん加速して、
そのうち涙が出てきてしまうのはなぜ。

2003年02月02日(日)
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夜中の3時、パン屋に入った。
別におなかもすいていないし、たいしておいしそうでもないパン屋だったんだけれど、ピザを3枚、サンドウィッチを1つ、デザート用のイチゴのあまいのを1つ。
帰り道、マンション内の公園を歩いていたら、ジェイソンにあった。
映画のとウり、ぷちぷち穴のあいた白いマスク。
死体もないのに、血塗れた斧。
シューシュー言いながら近寄ってきたから、「これ、ちょーおいしいんだよ」って言って、買ったばかりのパンを投げつけてみたら、ハグハグ食べてた。
食べてる姿確認したら、歩道橋を駆け上がって、グラウンドをつっきって。
その間も、何か忘れてる、何か忘れてる、ずっとそう思っていた。
着いたところは、あるはずのマンションではなく、色は確かに白いけれどアパートだった。
なんでだろう。
いつの間にか、あたしの姿は、27歳くらいの髪の長いオーストリア顔のスタイルはまぁまぁの女の人。
さっきまでジーンズだったハズなのに、纏っているのは、赤ワイン色のヒザ上ワンピ。
でもなんでジーンズなんて履いていたんだっけ?
ジェイソンに遭っていたのはこのあたしで、あのあたしではなかったような気が。
そもそも、あのあたしって、なんだっけ。
拡散して、1人分の記憶のみ集約。
自分の家に入る。
あたしには夫がいる。
今日はまだ帰っていないけれど、とても優しい目をした夫が。
窓のある方向から、ガタンという音がする。
振り向くと、窓の隙間から顔をのぞかせている、ジェイソン。
何も考えずに、あたしは、銃をとりだし、撃つ。何度も。
やがて、白いマスクは剥がれ、出てきたのは、あたしの夫、とてもやさしい目をしている人。
傷ひとつないカオで、あたしの方をやさしい顔をして見ている夫。
指のこもっている力は止まらない。
撃つ。何度も。
おかしい、撃っているハズなのに、音が聞こえない。まったく。
夫から血は流れない。なんで。なんで死んでくれないの。
撃つ。何度も。
背後から悲鳴。
振り返ると、あたしよりも丈の長い黒のワンピースを着ている女。
夫の愛人。
黒くて長い髪をして、あたしと同じくアクセサリィは何もつけていない、あたしと同じくらいの年齢の女。
ドアの隙間から顔を出して、叫んでいる。
夫を撃つのをやめて、追いかける。
彼女は非常階段へ。あたしも非常階段へ。
ドアが閉まる音を背に聞きながら、彼女は階段を駆け下り、あたしも階段を駆け下りた。
ねぇ、なにかあたしは勘違いをしている。
こんなこと現実に起こるはずのないこと。
これは映画の世界。
夫の愛人とその妻が閉じ込められた10Fから1Fまでの非常階段のハナシをただただ綴った、映画の世界。
その証拠に、彼女が両手で懸命に開けた唯一のドアの向こうには、掃除道具が置いてあるだけ。
入ってきたはずのドアは消えた。もちろん、各階にあったドアも。
悲鳴もあげずに、その事実を受け入れる、あたしと彼女。
少し待ってみましょうか。
待ったら何が起こるのでしょうか。
彼女が語る。
『彼とはバーで出会ったの』
やめて、そんな三文小説みたいな出だし。
空中に浮かんだその情景は、やがてあたしと彼女を飲み込む。
隣にいたはずの彼女は、黒いロングワンピースのまま、ピアノの前へ。
夫はピアノを弾いている。そう、それが彼の職業。
クラッシック。
箱型のピアノ2台が向かい合っていて、夫と向かい合ったピアノには彼女がいる。
彼女の指、あんなに綺麗だったのだろうか。
二人真剣な顔をして、でも、口元は笑っている。
指が二人軽やかに動いている。彼女の指はとても長くて。
彼女のことしか目にはいっていない。
情景がまたかわる。
白い空間。
朝靄のなかの、部屋。白い壁に、天井まである長方形の窓がほとんどで時々細い長方形の白い壁がある、部屋。
窓も白く曇っている。
ベッドの上に、彼女がいる。夫もいる。
夫はスーツを着たままで、彼女は白いワンピースを着ている。
けれど、そのワンピース、なんだか彼女にはぶかぶかしているみたい。
彼女の肌はとても白い。さっきまで黄色かったのに、今はただ白い。
『腕を切り落とすなんて、絶対イヤなの』
『でも切り落とさないと、君の病気は進行してるんだよ?』
『だって、弾けなくなるなんて、意味がない』
左の肘のところから、彼女の手は急激の細くなっていく。
骨もはいっていない、くにゃくにゃっとした腕に。
その手首からは、黒い血が。
夫はそれに気づいていない。
彼女はあたしが見ていることに気づいている。
夫は、夫はもうそんなに重要ではない。
彼女のただの背景。
彼女の肌の色がとても白くて、とても綺麗で、ずるいな、なんて思っていたら、あたしは愛人の存在を受け入れてしまっていた。

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