+にき+
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2011年04月25日(月) 【Photo】さりさり



2011年04月24日(日) 【Photo】ゆきゆき




2011年04月16日(土) 【Photo】とぼとぼ



2011年04月09日(土) 【Works】ふたりのはなし。



「起きたらサンドウィッチ食べなね。飛馬が好きなトマトサンド買っておいたよ」

「……ああ」

「すこしでもなにか食べて、身体に気をつけて」

「……ン」

 会話しているのも虚しくなる。

 もうさっさと帰れ。眠って全部忘れたい。そう思って海東のジャケットの襟を見据えていたら、ふいに左頬を掌で包まれて一瞬のすきに唇を塞がれた。
 胸にぎしりと刺激が走って抉った。柔らかい海東の唇の感触が、今夜交わした会話のなかのどんな言葉よりも熱くて饒舌で、苦しい。

 俺たちはばかだ。つまらない会話で傷つけ合うぐらいなら、くちも言葉も閉じてキスだけすればよかった。

 けど海東の唇が俺に触れていたのはほんの一時で、下唇を軽くはんだだけで離れた。

「じゃあ、俺は帰……、」

 がむしゃらにジャケットを掴んでドアに押しつける。

「もっとちゃんとしろ」

「あす、」

「ちゃんとだよ!」

 目を見開いて二度瞬いた海東は、視線を俯かせて沈黙し、そのうちもう一度唇を重ねて貪るようにくちづけてきた。俺も海東の舌の動きに合わせて精一杯こたえた。閉じた瞼の奥で海東の恋情を必死に探して、痛むほど吸われるたびに震える。

 自分が海東の恋人として存在しているんだと、キスしてる時間にだけは感じられた。


『ふたりのはなし。』―いま、初春のはなし


あさ。