dust box
akane



 寂寥

ぼんやりとほお杖をついて
静かすぎる部屋で
暖房のうすぼんやりとした空気に包まれながら
荒れ狂う窓の外を見ていた

吹き溜まりが
まるで砂漠みたいで
この世の中にひとりきりで
取り残されてしまったような
そんな気分にさせた

ぜんぶ ぜんぶ 包み込んで
まゆにくるまれた刃先のカケラみたいで
どんなにとがっていても
やわらかなものにたちうちできない

自分の無力さは
そんなところからじわりじわりと沸いてきて
どうしようもない寂しさは
投げつけたグラスの破壊音が
一瞬だけ拡散させた



2003年01月31日(金)



 恋のせい

きらきらとして見えたのは
恋のせい?

きらきらとまぶしいあなた

私の手の届かないところにいるあなた

2003年01月30日(木)



 この距離のはざま

目標はまだまだ先

追いついたような気がしていたら
すぐに手のひらを返される

いい気になるんじゃない

まだまだこの距離のはざまには
何もないんだから

2003年01月29日(水)



 ただそれが好き

暗いことや
ひとりきりや
沈黙が好き

おかしくはない

ただそれが好き

2003年01月28日(火)



 どうしようもないから

どんなメッセージもないんだ
本当は
どこにも伝えたいものなんかなくて

ただ
どうしようもないから
言葉を吐き出しているだけ

2003年01月27日(月)



 誰にも届かない

強いことばかりがいいことではないけれど
こんな夜には
どうしようもなくなって
両手で何かを抱きしめたい

涙はいつも
誰にも届かない

2003年01月26日(日)



 ゴール

もうそろそろいいんじゃない?
ごめんね
さよなら
ゴールはここでした

2003年01月25日(土)



 砂の城

ここまでして積み上げたんだから

ちょっとやそっとじゃ崩さない

2003年01月24日(金)



 恐怖。

お財布がからっぽ。

口紅を洋服の上に落とす。

何もない宙をじっとみつめる猫。

明日までのものが手付かず。

背後からの足音。

嘘がバレる。

手遅れになってから気付く間違い

何も解決していない。

2003年01月23日(木)



 片想い

思い違いもいい加減

目が合ったのも思いこみ

あなたの気持ちも読めなくて

偶然ばかりの妄想に

打つ手もなくて片想い

2003年01月22日(水)



 たいせつなものを増やしていくせつなさ

哀しいよ
哀しかったの
でも涙はこぼさなかった

私は今の楽しさをずっとずっと大切に思っている
もう終わりがくるけれど
思っている時間に終わりはないんだと
今はわからなくても
いつか気付いて欲しい

ぎゅっと抱きしめた
あたたかい
あまりにもあたたかくて
あたたかくて

本当に哀しかったけれど
たくさん笑った

言葉もなくて
理由も知らず
だけどここにある
深くてしっかりとした見えない糸は
今日のすべてを伝えていたね

たいせつなものを増やしていくせつなさは
一瞬をつないで
永遠に続く

2003年01月21日(火)



 泥だらけ

両目は一度につぶらない

表にいる時は裏にフタをする

裏にもぐる時には表の扉は閉じておく

どこかに逃げ道を用意するような

どうしようもなくずるいやり方

だってもう

とりかえしのつかないほど泥だらけになってしまった

2003年01月20日(月)



 1ねんめ


あれから1年たったんだね

まさか1年後に

こんなことになっているなんて

思いもしなかった

あの1年前の日に

不思議な感覚であなたの言葉に埋もれて

それから驚くほどいろいろなことがあって

そうして1年たって

今はこんなふうに過ごしているなんて

時間はいつだって平等に流れているね

私たちの間に生まれたものは

もう決して取り消せないけれど

それでもどうにか形を変えて未来をつなぐことだって

できるかもしれないね

まだまだたかが1年だもの

2003年01月19日(日)



 こういうことも有り得るんだね

こういうことも有り得るんだね

突然の言葉に驚いたよ
時間は大切だなあと思う
気持ちを落ち着かせたり
いろいろと考えをめぐらせたり
素直になって「ごめんね」と言うこともできてしまうし

これくらいのことで なんだよって
もっともっと私は強いんだからって
自分に言い聞かせて立ち歩いてきたんだな
気持ちがゆるむのを感じながら
そうおもったよ

不思議な感じだけれど
わたし
これはこれでいいとおもうの
わたしもあなたも人間だから
これくらいの遠廻りはありだよね

こういうこともありだよね


2003年01月18日(土)



 BOX

暗く沈んだのはいつのこと

私は何かを閉じ込めて

もう二度と開かないように鍵をしめた

カタカタと暴れても

気付かないふり 見ないふり

2003年01月17日(金)



 夢裂きナイフ


ナイフの切っ先を立てる

夢に切りこみを入れて

両手で引き裂いた


あなたの夢にもぐりこんで
せめてそこでだけでも
しあわせに目をつぶりたい

2003年01月16日(木)



 なかまはずれ

必死になってつなぎとめるみたいに
私の心の底から
てのひらがのびてくる

何かに嫉妬している
誰かの生き方に嫉妬している

私もまぜてほしいと
てのひらがのびてくる
真っ白な指先

かわいくて一生懸命で
どこかの「彼女」はいつも憧れ
どうしようもない自分の姿は
省みることもなく呆れてしまう

むりやりにおさえつけて
何も欲しくないふりをする

せつなくて せつなくてせつなくて
心のバリアは更に厚くなる

2003年01月15日(水)



 運命

運命的なものがすき

自分の意思にそぐわずとも

何かに押し流されるような

それでも真実に近づいていくような

そんな運命的なものがすき


2003年01月14日(火)



 目隠しして


好きにしていいよ

ねぇ ねぇ

こういうのもあたしいいと思うの

ねぇ ねぇ

目隠しして

ここまで来てよ



2003年01月13日(月)



 神様の道

もっとゆっくり歩いて
何気ないあたりまえの風景の中で
もっともっとゆっくり歩いて
何かしらそこから吸収するような

不思議な時間

あのおひさまのあるところから
時間をかけて光がふりそそいでくる
差し伸べられたひかりのてのひらに
そっと私も手をそえて

不思議な時間

2003年01月10日(金)



 哀しいかな


本当は叫びたかったの

あの時
本当は
だいすきと
あなたの胸にとびこみたかった

ぎゅっとチカラをこめて
離したくなかった





今ならできるとしたら
それは純粋ではなくなったから

2003年01月09日(木)



 捨ててしまえば



捨てたらいいんじゃないかな?
いらないんでしょう?

そうだね
手放す一瞬だけだよね
気にかかるのは


なくなってしまえば
案外おもいだしたりしない

あれがあったらなんて思わない
あなたがいたらなんて思わない

2003年01月08日(水)



 朝の微熱


しずかな朝に

ひざしはまっすぐにさしこみ

わたしたちの頬を照らして

窓にはいくつもの雫が

つややかにふくらんでおりました


それはおよそ

希望などとよべるほどの

強い意思ではありませんでしたが

否定するには少しだけ熱を帯びて

たしかにそこにあるのでした

2003年01月07日(火)



 ガラスの雫



恋はとても冷たくて
ガラスの雫のようでした

壊れやすいものにばかり目を奪われて
大切にしなければならいものには
キレイな布をかけていました

言葉は飾るばかりで
心の底まで届かない

2003年01月06日(月)



 マトモ?!

そんなにまでして
取り繕って
誰に見せたいの?
自分がマトモだと言いたいの?

そこらへんの汚さに
呆れてしまう



私は
そんなにんげんだったんだ

2003年01月05日(日)



 




ガンガン降って

ガンガン積もって

全部覆い尽くして

あたしのことなんか目にもとまらないくらい
ちっぽけにして




キレイになれる気さえする
雪が降り積もったら
気持ちもまっさらになれる気さえする

2003年01月02日(木)



 


夢をみているみたいだと思っていたら

本当に夢でした



2003年01月01日(水)
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