| 2009年08月29日(土) |
第五回 活人拳講義録/特徴的な陰に |
■特徴的なアプローチ
「前回、説明途中になった、少林寺拳法は易しくなければならないし、難しくなければならない、という意味を教えて下さい」
――つくづく思うのだけれども、昭和27年度・初版教範と昭和54年度・最終版教範の重厚さを見比べると、開祖の思想的なご成長は目を見張るものがある。五畳半道場と今の本山の威容も同様だね。しかしある時期、開祖ご自身フッと立ち止まり、ちょっと大きくなり過ぎたかな？ と振り返えられたのではないだろうか。
例えば、「ワシが手塩にかけて育てた組織」についても、「これからは少数精鋭で行く！」と宣言されたことがあるし、「雪ダルマは坂を転がってだんだん大きくなるが、ついにはどこかにぶつかって割れてしまう！」と肥大する組織に対して警鐘を発せられたこともあった。
説き続けられた教えも、「人人人すべては人の質にある」「半ばは我が身の幸せを 半ばは他人の幸せを」「幸福運動」「人を背負う姿＝行」など、一言で表現されたのは開祖の至りだが、反面、簡潔な表現で言い表したと言えなくもない。少数精鋭宣言の教義版だね。極めつきは、教範にある「正しい釈尊の教え」がとてつもなく凄い！と思える(『教範/釈尊の正しい教え』参照)。
八万四千の法門と言われる人類の師の教えを、快刀乱麻の如く「正しい教えはこうだ！」と述べられたのは、古今あまり例がないのではないだろうか。釈尊ご自身が「縁起の法則であり、四諦八正道である」と言われたなら分かるけどね…。
もちろん、さらに突っ込んだご説明はされているけれども、少林寺拳法は、このようなアプローチを特徴とするね。初期教範にも「力無き正義は無力なり、正義無き力は暴力なり(訂正100115：力の伴わざる正義は無力なり、正義の伴わざる力は無力なり)。」と載っている。しかしそれ＝簡潔を心掛けられた教義や拳技さえも、さらに増え過ぎたのが現状ではないだろうか。多分、どのような思想、宗教、武道でも、単純な教えが発展と共に膨張して行くのだろう。後輩は大変だね。
―一同笑い―
禅が不立文字・教外別伝を唱えたのは、先達のすべての教えを受業するのは不要(不可能かな？)と観じているからだろう。師＝法の真意を受け取り、身に付けること＝行が大切！と考えたんだろうね。
■未完！在りや無きや…
「ところで、拳士が守る六つの心得を言えるかな。少年部に教える簡単なものだよ」
――合掌礼、脚下照顧、作務、服装？態度…？あとなんだろう、分かりません…。
「まあ、頭に挨拶は合掌礼、履物を揃える脚下照顧、練習前に作務をする、と付ける。最後の一つは言葉使いを良くするだよ。前回の質問、難しい？易しい？は、少林寺拳法は簡単か？複雑か？と聞いても良かったんだ。どう？」
――昇段試験で言えば、技の名前を覚えるのが難しいです。決して簡単ではありません。
――昔の学科試験は教範は持ち込みで良かったそうですね？
「開祖は、中国の老師から技法を習う際、名称が不明瞭で系統だっておらず、覚えるのにとても苦労された！と述懐されている。それで、少林寺拳法創始にあたり拳技を整理分類し、工夫を加え、これによって少林寺拳法はとても学び易くなった、と自負もされている(『教範/第一章 剛法基本技に就て』参照)。
整理分類することは簡単に通じ、漸々修学は易しくすることに通じる。学習と指導の必要上からこうなっている。しかし例えば、少年部が答える合掌礼と、この歳になって答える合掌については違う訳で、脚下照顧だってそう！天地拳もそう！個人的に、天地拳第一は三層構造からなっていると考えている(後述)。
少林寺拳法の三鼎三法二十五系六百数十形の体系＝広がりは、特に技数が多いのは修行の楽しみに用いられるが、難度＝深まりの進度計が確立されていない感じがする。学科は知識であるけれども、行を積んで知識を論じるという事もあるだろう。実技は行であるけれども、知識を学んで行を示す事もあるだろう」
――先生が言われるのは、学び易いが、深まりがなければならないということですか？
「まあ、そうだ…。技一つとっても楽しみの方ばかりに目が行って、偉そうには言えないが深まりが重視されていない。さらに楽しみにならず、日々の修行が昇段の技を覚えるだけに汲々とし、苦痛になっているケースがあるやに聞く。とにかく、一時期だけど学科試験は持ち込み可だったんだよ。コピーを持ち込むなど不心得者の為に中止になったが、開祖の真意は注目すべきだね。
私は、少林寺拳法の整理・分類の未完。科目表の未完。評価の未完。教育システムの未完を疑っている。未完は恥ずべきことではなく、開祖の遺教は膨大なのだから拳士が各自研究したり、本部が皆の力を結集させるのを望んでいる。
だからこの講義は、私の活人拳研究発表だね！
■本日のブログより
『◇近所！といっても歩いて7〜8分ほどですか、インド料理店がオープンするようです(←したのかな？)。まあ、中華料理は日本全国あります。それと焼肉＝韓国料理も。ですが、インド料理は…ここいらでは珍しいかな…。
仕事場の隣は中華料理店で、毎朝、中国の人＝経営者やらコックさんと挨拶します。最近感じていたのですが、駅前のマック(これは生粋のアメリカ料理ですね！)辺りに行くと、英語、韓国語、中国語、インド語、タガログ語etcが飛び交っています。
あー！日本は国際化したんだ！とつくづく感じます
◇◇元々、ハマっ子は国際文化の中にいて、私達の世代は本牧の山手警察前にあったPX前広場で、国際盆踊りを体験しています。結構な人手で、そこで、焼きたてのハンバーガーやらバドワイザーやらが売られていました。私の義叔父はアメリカ人です。
外人墓地、中華街、珍しいのは中国人墓地etc。国家の枠組みを超えた新しい交流概念が求められていますね。
少林寺拳法は大きな可能性を秘めていると思われます。そうそう、昭和51年2月に発足した道院の少年部に、アメリカ人の子供R君がいました。(090901表現上、前段◇をすべて追加)』
『◇私、活人拳講義録を始めてやっと分かりました。開祖が至られた「人が人を背負っっている姿＝行」は、まったく新型であった！ということがです。すると全て合点が行きました。
HP内にある＜私の主張/活人拳の考察/1999年著＞で、
「少林寺拳法は宗門の行たる拳を継承して、不殺不害であった時期（模索期）と、開祖の境地が不殺活人に至り、新たな宗門の行となった時期（到達期）に分けられると考える」と考察しましたが、実は新たな宗門の行ではなくて、誰も到達し得なかった「新たな行」という概念を発見されたのです。
素晴らしい！
◇◇昭和38年発刊のカッパブックスでは、至っておられないと思われます。少林寺拳法には、�儀拭↓況燭噺世┐襪茲Δ雰身任�ありますが(←ひとつの喩えとして聞いて下さい)、どうも新たな行にはそぐわないようで、そこに私の葛藤が生まれ、活人拳という表現を用いざるを得なかったのでしょう。
連盟も気付いてないんではないかな。気付いていたら、中高大学生に、旧態然とした順位制競技演武などはさせませんよ。まあ、これまでの布教の積み重ねと、開祖ご自身がはっきりそう言われたわけでもありませんから、割引はしますけど…。
総裁・由貴さんは気付いておられますね…。
＜BBC/ボディーバランス・コミュニケーション/山崎博通・治部眞里・保江邦夫/海鳴社＞を監修されていますが、晩年の開祖が至られた境地である「行」の具現化を図られた！と受け取ります。一読をして下さい。
追記：開祖ご自身も、あるいは、はっきりした自覚は無かったのではないしょうか…。
ですから新型の行を説かれた時点で、少林寺拳法は――「単なる武道ではない」「単なる護身術ではない」「単なる宗教ではない」――行＝活人拳になったのでしょう。
これを研究すべきですね…。
追記：関連ブログ記事「新型である！という自覚！」http://blogs.yahoo.co.jp/kid0072292/56020373.html 』
【注意】本「書きたい放題」は気持ちの問題もあり、即日にアップします。ですので、当日中、あるいは翌日にかけ、表現の過不足を改める場合があります。印刷して読まれる場合は数日後にお願いします。表現が異なったまま残るのは、私にしてみれば不本意であります。よろしくご推察の程をお願いします。尚、月日、年月が経て訂正を行なった場合、0908○○と断って訂正するのでご了承下さい。
良いものを残したい、伝えたい、と念じております。
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