王の帰還メモ - 2004年03月04日(木) 見てきたので忘れないうちに。 以下ネタバレです。見たく無い人はここでおしまい。 色々「こうして欲しかった!」はあるのだけど、それでもやっぱり良くやった! スタッフ! と言いたいです。これを映像にしただけでもすごい、と思うところでいっぱい。ミナス・ティリスとか死者の道とか。人々の武器や、服装、建物の作りとか細かいところにきちんと背景が感じられて、制作者たちの原作への愛が感じられました。無理だと思っていた灰色港のシーン、ホビット床への帰還が掛れていたのも良かった! そして、見る前に唯一聞いていた感想が「P・Jは腐女子だ」だったのですが、本当でした(笑)。いたるところサムフロ(略すな)の嵐。昼メロか!?と思うような展開が……。原作では少しも不審に思わなかったサムの献身が何か違うものに見えてしまってびくびくしたのはサムがあんまり従者に見えないからでしょうか。三部作通して、フロドよりも堂々として見えてしまったからか。庭師だって言うことを映画ではほとんど忘れていたし。 フロドは前回よりも気骨を見せていましたが、やっぱり笑いどころでした。あの白いミイラ(違)がアップにある旅、映画館で一人笑いを堪えてました。指輪の消耗は分かるのですが、その演技がなぁ……もうちょっと抑えて欲しかった。ホラー監督だから仕方ないのか? 全体的にフロドは若く、いたいけな感じで、指輪所持者としての重荷に耐えた聖人という感じがあまりしなかったのです。いつも弱々しいと言うか……。そこらへんが腐女子風味に見えちゃったのかも。 それでもやっぱり、エンディングはほろりときました。ホビット庄に帰って、皆で何も無かったように酒場で飲んで。周りがちっとも変わっていないからこそ周りから確かに違ってしまった自分を意識してしまう。このあたり、原作とは違うのですが、とても好きです。ホビット庄が変わっていないところが余計切ない。私、ホビット庄のあの雰囲気がとても好きなんですよ(見る度寝てしまうんですが)。のどかで、おとぎ話のようで。きっととても居心地が良い。すごくすごく好きだ−!と思うから、それなのにここにはいられ無かったフロドが切ないです。自分には出来ないからこそ、サムには二つに引き裂かれること無く生きて欲しいと思う(この辺も映画だと腐女子チック)。うわ−やっぱり切ないよう。フロドは苦労のわりに報われない人と言う印象があります。光の中に舟が消えていくシーンは美しかったです。 エオウィンに関しては、アング・モールを倒すシーンがすごく良かった。原作で強烈な印象だったあのシーンが実写で見れたと言う感動がありました。想像と違いはあれど、それだけでも幸せ。ただ、エオウィンがそこにたどり着くまでの過程、なぜ、女の身でありながら剣を持ち、戦いに参加したのかとか出して欲しかったなぁ。そこまでやっちゃうと、エオウィンがヒロインになってしまうか。「人間の男には俺を邪魔立てできぬわ(台詞うろ覚え)」が聴けただけでも十分幸せです。セオデン王の最期、ちゃんとエオウィンが分かっていたのも良かった。実を言うと原作ではあまり印象に残っていないセオデン王なんですが映画のセオデン王はとてもかっこいいですよね。エオメルもかっこいいし。ローハンがらみのシーンはだいたい好きです。テーマ曲も好きだ。 残念だったのはデネソールと言うか、執政家。見事なまでに駄目一家だ……。すごかったです。ガンダルフにどつかれるわ、馬に蹴られるは(ショックだったけど、思わず笑っちゃったよ、このシーン)。原作では偏ってはいたものの、十分に正気で、ちゃんと頭脳のある人だった気がするのですが、映画では最初から愚者でした。 笑うとこじゃ無いんですが、デネソールがらみのシーンはかなり笑えます。ほろりときたのはピピンの歌ぐらいで。確かに頭の硬い駄目父なんです。でもちゃんと、子供達を愛していたし国を愛していたし王を敬っていたように原作では思いました。ファラミアも今回はよい人になっていましたが、2部ではアレだったし……執政家で原作よりもイメージアップしたのはボロミアだけでしたね。 あとは、色々と笑いどころが。狼煙のシーンとか、高いところじゃ無くちゃ意味無いんだろうけど、そこは高過ぎだろ、人いないだろ!と突っ込みたくなりました。雲の上にまでって……見えないじゃん。 相変わらずレゴラスは人外な戦いぶりだし、ガンダルフは魔法使っている時よりも杖で人を殴っている回数の方が多い気がするし、戦闘シーンは色々な意味でわくわくしました。 そしてエルロンドがすっかり花嫁の父の顔になっていてうけました。眉が違うよ! どう言う豹変だ。 全体を通して思ったのはやはり原作はすごいなと。映画ももちろんすごいのですが、良くやったと思うのですが、やはり映画では出来ないことがいっぱいあったなと思いました。わかりやすい対比を作る為なのか、人がだいぶ卑小になってしまった気が。人間らしい弱さを見せるのは演出として必要なのでしょうが、全体として賢者の数が減って、皆幼く感じられることも。高潔さ、賢さや人を越えた存在の表現は難しいです。サウロン様もすっかりサーチライトと化していたし(笑)。映画は原作を読む時のイメージの源泉にさせて頂きます。前よりもどこがどう言う状況なのか、想像しやすくなったし(アルウェンの脳内イメージがリブ・タイラーになってしまったのはちょっと悔しいが)、戦闘がどれだけすごいのかも、映画で改めて感じました。また見に行きたいです。と言うか行きます。チケットあるし。 -
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埃の積もった本棚 |