翻訳本は読みにくい - 2003年10月28日(火) という話を、私より下の子からよく聞きます。よく、と言っても同じグループの子らだから、似た傾向なのかも知れないけど。 もしかして十代の人には多いのかな?。「〜た」で終わる文が多いのが理由だそうだです。確かに、ハヤカワFTをはじめとした文庫系の翻訳ものはにはそう言った訳が多いかも。でも、翻訳もの全てがそうと言うわけじゃないです。もとから日本語で書かれた文章でもそう言う書き方をする作家もいます。そして何より、「〜た」が多いからって、読みにくいとは限らないです(さすがに全文「〜た」でしか終わっていなかったらそれは辛いでしょうけど)。 私は、小さい頃から翻訳ものべったりでそだった人間だからか、それとも文章の語尾なんて読み飛ばして気にしていなかったからなのか(おい)、翻訳ものの読みにくさと言うものがどうも良くわかりません。知らない単語、文化上のお約束が理解できないと言う点では読みにくいのですが。 読みやすい文章ってどんなものなんだろう。よくわからないです(御意見募集中)。 一文が長過ぎない。過剰な装飾、比喩を使わない、主語述語を省略しない。テンポがよい……私が思い付くのはこのくらい。 けれど、個人差の大きいところですが重要なのは文章と波長があうかです。……いきなり電波系な。説明になっていないですね。 つまり、私が見たい情報、知りたい情報を的確に伝えてくれると言うことです。 江國香織の文章って、私はとても好きですが、読めない人には読めない文章だと思います。今日の天気に対して何をどう感じたかとか、この場所のどう言うところが好きだとかそんなものより、誰が何をしたかなどの物事の展開に興味がある人にはきっと呼んでいて辛い。 文章の読みやすさと言うのはこの、興味のあり方がとても重要なのではないかと思います。どれだけ万人が興味を持て、共感できるところを糸口に、物事を説明していくか。読者の視点と共通項が多い文章が、万人受けすると言うとこなのではないかと。 ちょっと話がずれましたけど、そんなわけで、文章の読みやすさと言うのは人によって違うんだと思います。翻訳ものが読みにくいのではなく、自分に合う作品じゃなかっただけです。面白くなかったものは、さっさとあきらめて、次に面白そうなものに挑戦しましょう。 翻訳もの大好き人間としては、5〜10冊ハズレにあたっただけで読まないなんて納得できない! 読め! たくさん読めば絶対面白いのよ! とゴリ押しに進めてみたいところなのですが(笑)、そんなふうに勧めてみたところで読むはずもなく(笑)。でも、海外のファンタジーだって面白いものはいっぱいあるんだよ−!と叫びたい。 と言うわけで、「〜た」で終わらない取っ付きやすそうな翻訳ファンタジーを紹介しておきます(笑)。 ・『マジカルランドシリーズ』(ロバート・アスプリン/ハヤカワFT) 主人公一人称、イラストタッチの豊富な挿し絵、ライトな語り口と、次々怒る事件を解決していくと言う動的な展開の楽しさ。日本のライトノベルと共通するところが多いんじゃないかと。 情けない非力系主人公スキーヴの成長物語?……あんまり成長してないかも(笑)。 ・『IT』(スティーヴン・キング/文春文庫) ホラーだけどファンタジーでもあると思う。海外とは言え、小学生を主人公においた現代ものなので、現代日本人にも共通項も多いはず。ファンタジーの、世界観を理解するまでに時間がかかる取っ付きにくさはないです。 ・『冬物語』(タニス・リ−/ハヤカワFT) ジュブナイルと本格が程よく混ざったファンタジー中編集。ちょっと硬派なライトノベル。少女の成長物語と変転する魔法の魅力。 ・『何かが道をやってくる』(レイ・ブラッドベリ/創元推理文庫) 詩的でありながら読みやすい文章。少年美学。萩尾望都ファンなら楽しめるはず。 -
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埃の積もった本棚 |