◇日記◇
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帰りに、いつもと違う道を通ったら、高校時代の友達が
かつて暮らしていたマンションの横に、偶然出た。
彼女とはそんなには親しくなかった。
だから、どうしてこのマンションのことが話題になったのか忘れたけれど
でも「ここに住んでいるの」と高校時代のある日、彼女は私に言った。
もちろんそんなに親しくはないのだから、それ以上にその話題が広がることもなく
そのマンションに遊びに行ったこともない。
私の記憶のなかに、その出来事は埋もれた。
卒業後、彼女がどういう人生を送ったのか、も実はよく知らない。
どこの大学に進んだのか、仕事は何をしていたのか。
何も知らない関係だった、とマンションを眺めながら思う。
17歳の一年間、同じ教室で学んだ、というだけ。
それでも不思議なもので、彼女が結婚したこと、お母さんが亡くなったこと
女の子が生まれたことなど、人生の節目節目の出来事は、
私の耳にも入っていた。
彼女の娘は、若い頃の彼女にそっくりだったという。
「年齢もちょうど高校生で、笑顔が一緒で、余計に涙が出てね」と。
彼女が亡くなってもう6年。彼女の死も、なんとはなしに同級生に広まった。
でも、自分の死は内緒にして欲しい、という最期の願いを知っている私は
まだ、誰にも言えずにいる。
他の誰かが「彼女、亡くなったらしいよ」と言うのを
そしらぬ顔をして、聞いている。
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