◇日記◇
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いつだったか母が、幼い時の話しをしてくれたことがある。
母は、当時まだ小学校にあがったばかり。
祖父が病気で入院し手術を受け、
その日、祖母は夜になっても病院から戻らなかった。
真っ暗ななか、お姉ちゃん、と泣く妹をかばって
2人で家でじっと待っていた、と言う。
自分は、辛抱強い子だった、というのが母の自己評価である。
確かにその通り、と思う。
我慢強い、いい子だったのだろう。
その時父が、かわいそうだったな、俺がそばにいてやれればな、
という意味のことを言った。
母の反応は
−そんなばかげたあり得ないこと言ってもしょうがないでしょう−
というものだった。
父は、そりゃそうだけれどもさ、でもそばにいてやれればと思うだろう、と。
母は、とりあわなかった。
何年も前のこの会話を、時折私は思い出す。
ふと、思い出す。
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