理想と現実

 理想の世界だけで生きることが出来るとしたなら。
 それって、本当に良いものだと思う?

 きっと、理想の世界は、とても綺麗で、清潔で、快適なんだろうと想像する。
 だけど、そこには、たぶん、退屈しか待っていない気がする。

 現実の世界は、とても厳しくて、辛くて、残酷で、不公平。
 でも、それをそう感じるのは、僕らが人間という生物種だからなんだろう。きっと。
 鳥を見よう。猫を見よう。犬を見よう。生きている、他の生物種を見よう。
 彼らは、愚痴なんて吐いていない。
 ただ、現実をありのままに受け入れ、過ごしている。
 それは、彼らが人間ではないからだ。

 現実の世界は、やっぱりエキサイティングで、驚きの連続だ。
 悲しいこと、辛いことがあるからこそ、人は喜びを、幸福を感じられる。
 光と影は、正と負なんかじゃない。それは、同じ面。

 だけどね、やっぱり、醜いものは見たくはないのですよ。
 綺麗なものは、醜いものを内包している。それは絶対だと思う。
 だけど、うまく隠されている「それ」を、無理に引きずり出す必要はないんじゃないのかなぁ。
 「それ」を直視しなくてはいけない時は、必ずやってくる。
 だとするなら、別に焦って追い求める必要もないと思うのです。

 それは、あるいは偽善と呼ばれることかもしれないけど。
 だけど、それが偽善だったとしても、それをすることによる結果が善なのであれば。
 端から見た時に、真善なのか偽善なのかは、誰に分かるんだろう、とか思うのです。
 そう考えれば、自分でそれは偽善だと思っていたとしても。
 その内に、どれだけ汚く醜悪なものを抱え込んでいたとしても。
 きっと、表面上だけでも、綺麗なものを見せることは出来ると思うのです。

 それが、本当の意味での「理想の現実」なのではないのかなぁ…。
2005年07月05日(火)

日々 / いけだ