| 2002年07月03日(水) |
どうして涙がこぼれるのか、その時の僕には解らなかった。 |
『まほろ市の殺人―秋―闇雲A子と憂鬱刑事』麻耶雄嵩/著、読了。
(毎回ながら以下延々と興味のない方にはつまらない話です。)
久々に、推理小説で「すごい!!」と感嘆しました。 麻耶さんの作品は毎回の事ですがこの後登場人物はどうなったんだろう…と、事件後のことまで気になります。 主人公にすら優しくないんですよね。 というか主人公に冷たいのかもしれません。 話の間自分の中で作り上げてきたものが最後に崩される感じがします。
本を読んでいる間って、答えが自分に解らなくても「この謎は解き明かされるんだ」と安心しているところがあると思うんです。 推理小説というと大抵、謎が解けて犯人がわかったら、一応の終わりがついてそこで話は閉じますよね。 でも麻耶さんのは閉じないんです。と言っても謎が明かされないわけではなく。 謎が解き明かされた後、ぽんっと現実に放り出される。 後には困惑した読者が残されるのみ。 「謎は解けたでしょ?だったらもういいでしょう?推理小説としての体裁は取れてるでしょう?」って突き放される感じが。 頭では納得いかなくても「でもそういうものだよね、実際はきっと…」と主人公とともに諦めるしかなく。 この感じは麻耶さん独特のものだと思います。 賛否両論ある作家さんですが、少なくとも私は麻耶さんの作品好きです。
…なのに、寡作な方ですよね…。謎っぽい方だし(笑) やっと新刊!!でゆっくり読もうと思っていたのに…つい。 次の話が読めるのはいつなんだろう……………。 で、昨年のインタビューで言ってらっしゃった長編『お母さん、この酒は強いね(仮)』っていつ出るんでしょう(笑)
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