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re-invention



 ボール落下の授業in釜山

窓ガラスを叩く雨音で,5時半には目覚める。
プログラムが動くことを再度確認。
今日の朝食はコンビニでパンを。450wonは安い。

今日は日韓グラフ電卓研究会
ホテルのしっかりした傘を借りて出発。
地下鉄で行く予定を変更してタクシーで。
スピードはたいして出ていないのだが,
車間距離があまりなく,車の運転は冷や冷やする。
会場に着き,さっそく隣の校舎の非常階段に登り,
ボールを落下する距離を測定。
ところが授業会場に入ると,隣の校舎は許可が下りないとのこと。
再び屋上に上がって測定しなおす。
高さは11mで問題ないが,デジカメでの撮影場所にやや難あり。
まあ,しかたがないか。

準備が終わると,
一松先生の御講演はもう始まっていた。
正多面体について。
つい最近生徒に語ったばかりだが,
わかっていないことが
こんなにもある。
ペトリー数や対称面については
何とか理解できたものの,そこから先は・・・・。
正多面体の美しさの1/1000も理解していないことを知る。


開会式に参加しようと思ったが,
なかなか始まらず。
プログラムをTI92に入れるため,
参加をあきらめて授業会場へ移動。


生徒は13人ながら,つかみは難しい。
それでも,自分のスタイルに持ち込もうと,
いつものように出会いの握手でスタート。
握手する仕草も日本のそれとは違う。
左手を右肘につけての握手は,
おそらくは相手に対する尊敬の念を表すもの。
「今日は,本当は休みの日。
 正直なところ今日はここに来たくなかった人?」
と言っても誰も手を挙げない。(エリートなら当たり前か。)
「楽しみだった人」と言うと多数手が上がる。

さっそくボールの落下時間の予想から。
初めての
ハングル板書。
見かねて
途中からは
zohnさん(?)が
書いてくださる。
けれど,
こんな小さな
チャレンジが
自分と生徒の
距離を縮める。
CBRでの実験を
見せながら操作説明するが,
生徒達は居ても立ってもいられない感じ。
よく見ると,CBRを配る前から,
Bouncerプログラムを走らせようとした跡が。
それならと,生徒にも操作させつつ説明することに。

授業教室は,
距離センサーに,
雑音が
入らないようで,
ちょっと安心。
とはいえ,
生徒達は思いのままに操作するもの。
エラーが多発し,あちこちで呼ばれる。
それでも,13人なら何とかフォローできるが,
生徒の姿をきちんととらえる余裕はない。







グラフから近似させる場面では,
ガイドブックに書いてしまったからか
ほとんどの生徒が,比例定数の4.9を入力して終わり。
これにはちょっと拍子抜け。でも,まあしかたがないか。
授業の途中で先生から質問。
「なぜ二次関数だと言えるのか?」
なるほどそうかもしれない。
でも,それも放物線の学習をする良い機会になる。
放物線のカーブを理解するには,試してみればいい。
「それができるのが,テクノロジーの良いところ」と
言えなかったのが残念。
ラストはボールを落下して時間を測定。
デジカメのコマ送りをカウントさせるが,ノリはいまいち。
46回×1/30=1.53秒。
予想とは0.04秒ほどの違いが出る。


時間がちょっと余り,この授業への思いを語る。
「この授業はきっかけに過ぎない。」
この言葉の意図を理解していただこうと,
この後に起きた生徒の探求を紹介。
3年前の生徒達が,ホントに凄い生徒だったことを感じる。
でも,どの生徒にも実は発想する力がある。

授業の終わりに,このクラスで生徒から出た疑問は,
・予測値との違いが生まれたのはなぜか?
・ボールが複数だったらどうなるのか?
・ボールを投げ上げたらどうなるのか?
・顔の表面をスキャンしたらどうなる?
のかというもの。
これは,そのままCTスキャンの発想。
おもしろい!(もっと賞賛すべきだったか)
大事なことは何か,
問いを持つことを軸に授業を考えてきた。
わかったつもりになっていることを打破すること。
科学的に分析しようとする気持ちかもしれない。
知識は大事。
しかし,その知識が生きて働くものになるためには,
ただ覚えているだけではダメ。
(もちろん覚えていないとつかえないけれど。)
そして,最後に生徒達と感謝の握手で授業は終了。

授業後,金先生からは
「良い授業だった」とお褒めの言葉と共に握手していただき
責任の一端を果たせたようでほっと一息。
何より通訳してくださった方がいたからできたこと。

時間はないけれど,
改めてこんな探求する授業をしていきたいもの。
こうしたらどうなるのだろうか?本当にそうなるのか?
生徒の問いは,教師の思いをはるかに超えていく。
出藍の誉れ。

日本的なお弁当をいただいた後,
Cabri3Dの授業。
「三角形で成り立った性質が,四面体でも成り立つか」
というわかりやすい発想の楽しい探求。
・中線→中面
・三角形の内角の和は一定→面が交わる6つの角の和は一定?
・重心が中点を2:1に別けることが,保存されるのか
など,見方をちょっと変えるだけなのだが,
その壁をこれまでは越えて考えていなかったことを感じる。
中点連結定理もどうなるのかなど,
Cabri3Dがあれば試してみたくなることはまだまだたくさんある。

授業協議会で,何を話すか考えていなかったのは失敗。
授業をさせていただいたのだから,
きちんとまとめておかなくては。
授業の中での話と重ならないようにと思ったら,
ずいぶん間抜けな内容になってしまった。
本質をとらえた一言を,ズバッと言えないのは,
まだまだ意識が甘いから。
何をしたいのかが明確でない証拠。

他の先生方のコメントは以下の通り。

電卓を使う授業で,
代数的なアプローチでは,面白くない生徒がいた。
美しさを感じることは良いが,それだけで終わっていて
考える力を育てたいと思った。


正多面体は誰もが知っているテーマ。でも案外知られていないもの。

こうだったらいいなあ・・ということを言ってしまったら,
子どもが面白がってやってきた。
このような機器を使うときには,
子どもが興味を持つようなこと,
夢のようなことを言っても良いと思う。
最初の年は大変ですが,2年目は前の年の子どもの作品を見せる。
すると生徒はそれを超えようと思うから,
どんどんレベルアップします。

教師中心ではなく,子どもの活動が中心の授業であるべき。
探求し,実測し,試して・・ということが大事。
そういう意味で,テクノロジーを授業でどのように使うべきか,

斜めに投げるとき,媒介変数が出てくる。
韓国では,媒介変数は微積分を扱うときに初めて出てくる。
先生が使った資料は何年生対象ですか?
日本での教育課程を守って作るのか?教えてほしい。

日本では数学と物理の連携はうまくいっていない。
ベクトルやパラメーターは物理で先に習って,数学は後。
斜めに投げるのは高校一年生。
数学では2年生で媒介変数が出てくる。
しかし,一年の物理で習っている。
それも私が試験監督に行ったとき見つけたので,
それならやれるなと思った。
2つめ。日本の教科書の内容には整合しません。
何かしたときに,子ども達が新しいことをしてしまう。
そこからどんどん広げていきますから,
高校の話であっても彼らが見つけてしまったら,話しをします。
文部省の指導に従わない理由は,
子ども達が知りたいと思ったときにその話しをするのがベスト。
子どもが知りたがったときが旬。そのタイミングが一番良い。
完全に逸脱していると思われたら困るけど,
トータルで6年間で見たら同じ。

ガリレオは速さ(力)は分解できると気がついた。
そうすれば縦方向と横方向に別けて考えるだけ。
特に難しくない。
公式から教えるのではなく,わかった状態から使っていけばいい。


本来の目的は授業改革。そのためにテクノロジーを使う。
テクノロジーは万能薬ではない。
使おうとする先生が楽しくなれば,それが生徒にも伝わる。
授業改革は,教師一人でできるわけではない。
まずは自分の学校の先生方と協力して。
それができたときに可能になる。
東書から出ている書籍で,公庄先生はこう言っている。
教師が変わらないと,生徒は変わらない。
教師が変わらないと教育が変わらないという話しと同じだ。
先ほどの話しを踏まえて,今日の会がその基盤になればうれしい。

金先生の話は,これまで様々なことを行ってきたから言える話。
金先生は,この日記を時々見てくださっているとのこと(ホントかな?)
発信することの重要性を改めて感じる。
また,自分のサイトをきちんとしたいとも。
記録していくことの凄さを褒めていただいて,それもうれしい。

代数学の大家,朴先生が,日本の話を積極的にしてくださる。
フランクな方。もっと自分も変わらなくてはと思う。

言葉の壁を突破することができなければ,
それなりの工夫をするべきだったか。
以前,カナダではデジカメだった。
でもそれが当たり前になると,インパクトは弱い。
(でも,もっと写真を撮っておくべきだった。)
やっぱり電子辞書かなとも思う。
それが無理でも,もう少し何かができたのではないかと反省。

二次会前に,公庄先生から新天地に赴任される話を伺う。
何もないところから始めるというのに惹かれた。
男として,ゼロから始められるチャンスはそうないもの。
30代の頃,新設校に赴任したことがあるが,
その時の自分とも今は違う。自分を試してみたい。

多くは語られなかったが,いろいろなことがあったのだろう。
同僚のU先生も神戸へ転任されるとのこと。

また,「NHKはどうなったの?」とも。
「次はと言われたから,すぐに武藤さんの名前を挙げたんだから・・」
公庄先生から託された大きな宿題。
3年になればとも思うけれど,それは過去の授業。
今回の授業も,もう2年前の実践で,ある意味恥ずかしい話。
新たなものを開拓し続ける自分でありたい。

このところ考え研鑽しているのは,授業の基本ベース。
誰もが学ぶシステム開発。
でも,生徒の創造的な力を伸ばしているわけではない。
生徒の「問う力」をきちんと発揮させる場すら少ない。
そんな授業展開を,考えていきたいもの。

自身の生き方はどうなって行くのか。
自分はどうしたいのか。
まだまだわからないことばかり。
一本立ちして,何かができるようになりたいもの。
そのためにも,人間的な成長が必要か。
周りの呼吸に合わせることが,時としてうっとうしくなる自分。
まずは,それを変えることからか。


2006年03月24日(金) 新任校訪問
2005年03月24日(木) 突然の来客
2004年03月24日(水) わからないことだらけ


2007年03月24日(土)
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