■幸せのかけら / りゅーな■
■2002年10月28日(月) 痛み。

何時の間にか痛みを忘れていた。

ただ、その痛みと言うのは、肉体の痛みで。
肉体が痛みを忘れた分、精神は過敏になり、ひたすら痛みを訴えていた。

私は、それに気付いていたのか、居なかったのか。

悔しさと嬉しさと悲しさが入り混じってた。

ただ、快感と、高揚に支配されて。
零れ落ちる、赤い、自分の欠片を、ただ眺めていた。
薄っぺらの刃物は、本来の目的をなくし、私の腕に赤い印を刻み込んでいた。
そうすることで、心の痛みが薄れる気がしたから。
痛みの感じない肉体は、ただ、赤い欠片を流すだけ。

赤い、細い痕は、烙印だった。
それは、何時しか、黒い白い痕に変わった。


私は、生きる事をやめようとしていた。
少なくとも、その意味を失ってしまった。
薄い紙切れを、遺し、消えようとして。
だけど、真の闇を求めるには、私は大切なものが多過ぎた。
だけど、光を求め、戻せるほど、私は意味を持っていなかった。
生きる理由を。


気が付いたら、痛みはもとに戻っていた。
心は、そう過敏ではなくなり、肉体は痛みを思い出していた。
薄い刃物は、本来の目的を取り戻し、私に印を刻むものではなくなった。

烙印は、今だ消えて居ないけど。


久し振りに、薄い刃物で腕に印を付けた。
そこには、あれほど病み付きになった筈の、快感も高揚も残っていなかった。
ただ、痛みが、走った。
やっと、思い出した、痛みが。


だけど、私は。
これからどうすればいいのだろう?
心がどうしようもない痛みを訴えたとき。
見えない傷が疼いたとき。

もう、印をつけることは許されないから。
痛みが、許してくれないから。


何をしても逃れられない痛み。
痛みは痛みを増幅させる…。

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