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2007年10月29日(月) 蜘蛛と電車

帰りの電車で座った座席の向かいの網棚で蜘蛛が巣を張ろうとしていた。

蜘蛛の下には禿げたおじさんが座っていた。別にわざわざ立っていって、蜘蛛がいることを宣言しなくても、そのおじさんは全く気づかずに寝ているのでそのままにしておいた。

しかし妙に気になる。電車の揺れをちゃんと吸収しながら、着実に蜘蛛の巣を張っていく蜘蛛は偉いなあと思いながらぼんやり見ていた。じっーと見つめていると他の人に気づかれるかもしれないので、本を読みながら時々目をそちらにむける程度にしていた。

車内には結構人がいるのだが、誰も蜘蛛の存在に気づいていない。私だけのようだ。向かいの座席の上なので自分には全く関係ないのだが、やっぱり気になる。スパイダーマンみたいにこっちに飛んで来ないとも限らない。ちらちら見ていたのだが、時々網棚の陰になって見失う。一瞬ヒヤッとするのだが、しばらくするとちゃんとモゾモゾと出てくる。仕事に忠実な感じだ。

何駅かすぎたところで、その網棚のこっちから見て右下の戸口に女子高生が二人乗ってきて立ち話を始めた。ミニスカートの太ももがぴちぴちでとても良い(?)。もちろん蜘蛛には気づいていない。ここで蜘蛛のことを言ってしまうと車内が騒然となりそうな悲鳴をあげそうなので、やはりほっておいた。がしかし、気になって読書がすすまない。禿げ親父の上でせっせと蜘蛛は巣を張っているのだ。その横でおしゃべりに夢中な女子高生2名。

2駅ほどすぎると、そのおじさんは電車を降りた。やれやれと思った瞬間、かわりに40代後半のおばさんが座った。何事もなく。そりゃそうだろう、気づいているのは私だけなのだから。

それにしても知らないという事はなんと幸せなことかと思った。知らぬが仏とはこの事だ。蜘蛛の巣作りの直下でそのおばさんもやがてすやすやと眠りはじめた。となりの女子高生2名は相変わらずおしゃべりに夢中だ。蜘蛛の巣は当初から思えば結構構築されてきた。が、巣の途中がダマになっている部分があり、そこにひっかっかって蜘蛛が落ちそうになるときがある。「うわー」と言いそうになるのを抑えて、相変わらず本を読むフリをするのだが、気が気でない。いつおばさんの顔に落ちて悲鳴があがらないとも限らないのだ。無茶苦茶気になる。

その後の様子を見ていたかったのだが、降りる駅についてしまったのでしかたなく降りてしまった。あの蜘蛛とおばさんと女子高生2名はその後どうなったのでしょうか…。


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