TOM's Diary
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2013年03月15日(金) 地震

今更だが、あの地震から2年が経った。
たまたま3月11日を挟んで読んでいた小説の最後の章で、とある記者があの震災で被災し、津波によって水没した航空自衛隊松島基地の自衛隊員にインタビューするシーンが出てくる。
自分たちも被災者なのに、自分たちの復興よりも救難支援を優先していたこと、燃料がもったいないからと、自分たちは冷たい缶詰で我慢し、温かいものを住民に優先して食べてもらえるようにしたこと、支援物資はすべて住民に回し、自分たちの食べ物などは自衛隊の中でのカンパ物資で賄っていたこと、それもできるだけ節約して住民に回すようにしていたことなどが、実際のインタビューをもとに書かれていた。

この小説、最後の章だけはフィクションの中にノンフィクションが展開されているようだった。
その中でも、普通に話をしていた隊員たちが、インタビューが佳境に入るとみな突然涙を浮かべ突然言葉が出せなくなってしまう様子に心が動いた。
おそらく、PTSDと言うやつなのだと思う。心的外傷後ストレス。

そういえば、私の周りにもあの震災のあと突然涙もろくなったという友人がいた。
彼はあの時地元の東京に居たのだが、出張中の身であった。
労働組合の委員長と言う立場で一人で敵地に乗り込み、彼が背負っている組合員800人の今後のことについて、一人で粘り強く交渉しているときに震災が発生した。

同じ労働組合の役員に囲まれているとはいえ、周りにいるのは、ほぼ初対面の人たちばかり。しかも慣れないビルの中で外にでることも、自由に情報収集することもできない。電車が止まってしまって帰ることすらできない。
挙句にビルから退避するように指示を受け、その後は大した情報も得られないまま一人ぼっちになってしまった。

歩いて帰るにしても、家まで150km近くの距離がある。
一番近い会社の支店も連絡が取れない。
幸いなことに、深夜になって比較的近くの親戚の家に連絡がつき、泊めてもらうことができたらしいが、彼の気持ちを考えるととても切なくなる。

彼は私の後任である。
私がもう一年続けていれば、彼はそんな目に合わずに済んだはずである。
そのこと自体は私の責任だとは思わないが、私は彼が一人で途方に暮れていた時に彼の部下と居酒屋で飲んでいた。
必至で彼と連絡を取ろうとしていたものの、それでも彼に申し訳ない気持ちである。
そんなことを、この小説を読んでいて思った。

その小説は、有川浩著「空飛ぶ広報室」。
基本的には軽い気持ちで読めるライトノベル(著者の表現)である。
震災のことは最終章だけ。
ぜひ、みなさんにも読んでもらいたいと思い紹介した。


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