TOM's Diary
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2004年06月20日(日) S氏シリーズ「天国へのハシゴ」その5

6月19日の続き)

突然不安に襲われた。

私は死んでしまったのだろうか?
あのハシゴは天国への階段だったのか?
恋人や仲間たちと、まだやりたいことはたくさんあった。
縁遠くなってしまった両親にも親孝行をしておきたかった。
やり残したこともたくさんある。
いや、まだ死んだとは限らない。

ここはいったいどこなのだろう。
強烈な孤独感と不安感に押しつぶされそうになる。
そう、あたりには誰もいない。
闇だけ存在している。
いや、存在していると言えるのだろうか?
暗くて自分の手さえも見えない。
まぶたを閉じているのか開けているのかも判らない。
もしかして自分は無になってしまったのか?

あぁ、神様、すべての罪を告白します。
ですから、もといた場所に戻してください。
いえ、天国でも地獄でもいいです。
どこか他に人がいる場所へ連れて行ってください。

「いいだろう、ではこれから行う質問にすべて答えてもらおう」
ふいに声が聞こえた。

藁をも掴む思いで、矢継ぎばやに出される質問に答えていった。
スパイである自分はどんなことがあっても秘密は守らなければならなかった。
どんな拷問にあっても絶対に守らなければならなかった。
秘密を守るために自らの生命を絶たねばならない状況であればそうしなければならなかった。
もし秘密を知られたら、それが例え両親や恋人であっても殺さなければならなかった。
だが、そんなことはどうでも良かった。
そんな自分が情けなくなり、目から涙があふれ出た・・・


6月21日へ続く)


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