TOM's Diary
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S氏が実は人気者であることが発覚した。 S氏は会社の食堂でひとり昼ご飯を食べながら、なぜ自分に人気があるのか考えた。 S氏が座っている席は日当たりがよい窓際に陣取り、外の景色を見ながらゆっくりと食事を食べていた。外はポカポカ陽気の良いお天気で、下を見下ろすと陽だまりで小鳥たちが女子社員たちの投げたパンくずをついばんでいる。
ご近所でも会社でも自分は変人で通っていると思っていた。自分ではすごくまともだと思っているのだが、奇異な目で見られることが多い。いや、変人だからこそ人気者になれたのだろうか? ちょっとまてよ、人気があるのは判ったがだれから人気があるのだろう?もしかしたら同じ変人から人気があるということなのかもしれない。 外で小鳥たちにエサを与えている若くてかわいらしい女子社員たちに声をかけられたことなど一度もない。そんな彼女たちから人気があるとは到底思えない。やはり人気があるのは変人からに違いない。迷惑な話だ。
そんなことを一生懸命考えていたら、肩が凝ってきてしまった。なれないことを考えるからだ。クモ型ロボットの改造のことなど考えていても肩が凝ったことなど一度もない。人間向き不向きがあるのだ。
ところで肩はなぜ凝るのだろう? 味噌汁を飲みながら考える。 きっと考え事をすると脳が血液をたくさん必要とし、血液がすべて頭に行ってしまうので肩の血行が悪くなり肩が凝るに違いない。いや待てよ、肩が凝ると頭がとても重く感じられる。きっと血液が頭に集中するので頭が重くなるに違いない。だいたい、脳みそが重過ぎるのが良く無いのだろう。脳みそを減らすことができれば必要な血液も減り肩こりが緩和されるのではないか?
S氏はさっそく頭に穴を開けてストローを突き刺しちゅぅちゅぅと吸い出してみる。 S氏はストローでジュースを飲むときにはすべて飲み終わってもしつこく「ずずずず」と最後の一滴まで残らず吸うクセがある。ついそのクセが出てしまった。脳みそを綺麗に吸い尽くしてもやめずに吸い続けた。
マドの外では女子社員たちがこちらを見て笑っていた。 「また悪いクセがでてしまった、そろそろやめよう」と思うのだがどうしても止められない。ついついストローの先を隅から隅まで移動し綺麗に吸い尽くそうと必死になってしまう。
お昼休みの終了を知らせるチャイムがなった。 食堂のおばちゃんがS氏に近づいてくる。 「あんた、お味噌汁をストローで飲むなんて、やっぱり変わった人だねぇ〜。ほら仕事の時間だよ。食器は片しといてやるから早くお行き!」
S氏は脳みそと間違えて味噌汁をストローで飲んでいたことに初めて気がついた・・・
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