Leaflets of the Rikyu Rat
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2005年04月19日(火) 未来に取リ残さレる


先日大学の先輩と晩飯を食った折、
人間には今を生きる人間と、将来のために(今のうちからしっかりと準備をして)生きる人間がいるのだという話になった。
先輩は少し話せばそうだと分かるし、彼自身もまたそう言うように、将来のために生きる人間であった。対して、
「僕は欲張りだから両方欲しいよ」と言ったら笑われた。

僕の彼はまた将来のために生きる人間であった。

「東京に就職したい。」
そう言った時点で、彼の中では全てが終わっていたようであった。
僕が目指している公認会計士という職業は、
求人の過半数以上が東京に集中しており
また待遇も圧倒的に東京が良い。
よっぽど地方に対する執着が無い限りは、
東京で就職先を探すのが普通のようであった。
というか、今現在、ただでさえ資格を取っても就職先が無い状態である。
地方で探すほどの余裕も無いのだ。
大学で上阪した僕には勿論、土地に対する執着と言うものは無い。
たとえば、待遇の悪い土地で一生を過ごせと言われれば
なんとなく気が向かなくなるだろう。
ここの土地に僕がいる利点は彼がいるということ。
ただ一つであった。

対して、彼は一生を大阪で過ごすことが決まっている。
彼は心から望んでその地に暮らしている。
大阪以外の土地で暮らす気はさらさら無く、頼まれても、
何があろうとも断るであろう。
それは彼自身を囲み、そして彼自身を作ってきた環境が、どうしようも無く決定付けている。
僕がどうこうできるものではなく、また僕のわがままのためだけにそれを変えさせるべきでも無い。
たとえ一生のわがままとして願ったとしても、その願いが叶うことは無いだろう。

「今のためだけに生きれる程、僕は若くないから」と彼は言った。

いつも感じていた“置いてかれてる”感は間違っていなかったのだと、
この日僕は確信した。
彼は未来を見つめ、僕は今を生きている。
僕は今、なんのためにここに存在しているのか。
未来のために僕はここにいるのか。
だとしたら、今ここにいる僕は何のために存在しているのか。
そのように感じていた僕は、彼とは決定的にズレていたのかもしれない。

そんな彼の未来に、僕はもういなかった。
そうして彼の今に、僕はいなくなった。




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