| 2023年12月10日(日) |
ピアノ 2 PIANOS 4 HANDS、かづゑ的、青春ジャック |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ピアノ 2 PIANOS 4 HANDS』“2 Pianos 4 Hands” 1996年にトロントで初演、1997年にはオフブロードウェイ、 その後は2004年東京など世界 200都市以上で公演され、カナ ダ演劇史上最も成功したと言われる舞台劇。そのオリジナル キャストによる最終公演を収録した2013年製作の作品。 開幕すると舞台の上には2台のグランドピアノが設置され、 そこに2人のピアニストが登場して演奏が始まるのだが…。 ここまでにもいろいろあって、客席は笑いの連続となる。 こうして始まった芝居は、一方が生徒となって他方の教師役 とのやり取りや、ライヴァル同士となっての争い、資格を得 るための試験官との駆け引きなど、ピアニストあるあるなの かなと思わせる様々なシチュエーションが演じられる。 それが2台のピアノとタキシードを着た2人の男性だけで演 じられるのだが、さらにそこにはそれぞれの生徒の成長や栄 光、挫折なども描かれる。そしてその芝居に併せて2人の演 者による超絶な演奏が繰り広げられる。 企画、演出、出演はテッド・ダイクストラとリチャード・グ リーンブラット。2人は共にカナダ出身で受賞歴も多数ある というベテラン演技人。そんな2人が1994年にコンビを組み 本作の制作を開始。 そしてトロントの劇場で1995〜96年シーズンの演目に選出さ れて1996年4月に初演。その舞台は初日から批評家に絶賛さ れてチケットの売り切れ回が続出。同年のカナダ演劇界の各 賞を受賞したということだ。 僕自身が幼少期にピアノを習っていたことがあり、小学校の 高学年では家庭教師から音楽理論みたいなものも学んだ記憶 が甦って、特に本作の前半では生徒と教師とのやり取りなど にニヤリとしてしまった。 僕の場合は別段プロを目指すというようなレヴェルではなか ったが、転調などのテクニックは懐かしくもあったものだ。 そんなレヴェルで観ていて実に楽しめる作品だった。音楽に 親しむことの多い最近の若い人ならもっと楽しめるかな。 なお劇中ではバッハ、ベートーヴェン、モーツァルトから、 ショパン、グリーグ、シューマン、リスト、そしてビリー・ ジョエルまで、実に様々な楽曲が演奏される。それも聴きも のの作品だ。 公開は2024年3月22日より、東京は築地東劇、大阪はなんば パークスシネマ他にて、松竹ブロードウェイシネマの一環と して全国順次限定ロードショウとなる。
『かづゑ的』 2019年2月24日付題名紹介『作兵衛さんと日本を掘る』など の熊谷博子監督が、『長い道』(2011年刊、みすず書房)など の著者宮��かづゑさんに8年間、寄り添うように撮影された ドキュメンタリー。 撮影場所は岡山県にある国立ハンセン病療養所長島愛生園。 1928年生まれのかづゑさんは10歳の時に入園し、以来ずっと そこで過ごしてきた。そんなかづゑさんを描くドキュメンタ リーの撮影は2016年に開始された。 その撮影初日、かづゑさんは入浴を撮影して欲しいと言った という。その映像では片脚をひざ下から失った肢体や、指の 無い手なども克明に撮影されている。「いい格好していては 本物は出せません」。それがかづゑさんの主張だそうだ。 一方、かづゑさんは自らを「らい患者」と呼ぶ。それは「そ の病は古来からあったものだし、別段ハンセンさんが作った ものでもない」ということだ。確かに元々あった病気に細菌 を発見しただけの人の名を付けるのは変かもしれない。 そんなことを厳然と言い放つかづゑさんには、自分の人生に 誇りを持っている、そんな凛々しさも感じたものだ。そして その人生が 119分の映画の中で紐解かれて行く。それは差別 というだけでは済まされない壮絶なものだった。 実は僕自身の娘が東京都東村山市にある多磨全生園に勤務し ていて、以前からこの病の患者が受けてきた差別に関しては 其れなりの関心を持っていたが、そんな目で見ていてもこの 作品が実に丁寧に描かれていることを気付かされた。 それはかづゑさんの家族写真やアーカイヴ映像の提示だけで なく、かづゑさんを「らい患者」であることを超えて1人の 女性として観続けているからであって、その監督の寄り添う 気持ちが作品を素晴らしいものにしているとも感じた。 それにしてもこの作品では、中で語られる言葉の一つ一つに 強く且つ重大な意味を持つようにも感じられた。それは敢え ていう差別行政の問題であり、その一方で個人の中に巣くう 差別意識の問題でもある。 そんな差別意識がSNSなどでの誹謗中傷を生み出す、そん な時代に一石を投じるような作品にも思えた。らい病を超え た大きな問題がこの作品には描かれている。そんな評価も出 来る作品だ。 公開は2024年3月2日より、東京地区はポレポレ東中野他に て全国順次ロードショウとなる。
『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』 2018年7月29日付で題名紹介した白石和彌監督作品の続編。 前作の1970年代から時代は流れ、ヴィデオの普及が始まった 1980年代に若松孝二監督が名古屋に開館したミニシアター、 シネマスコーレの黎明期が描かれる。 物語の始まりは1982年。主人公の木全純治は故郷の名古屋で 流行り始めた家庭用ヴィデオカメラの営業に勤しんでいた。 そんな木全に1人の男性が声を掛ける。その主は若松孝二、 若松は名古屋で映画館を開館しようとしていた。 実は木全は、東京の文芸坐で上映作品の選定などを行ってい たが結婚を機に職を辞して名古屋に戻っていた人物だった。 そんな人物を若松は口説き落とし、彼の妻の理解もあって開 館する映画館の支配人に抜擢する。 それはヴィデオの普及で、世間的には映画館の行く末に暗雲 が立ち込めていると思われている時代だったが…。そんな映 画館シネマスコーレには若い世代の映画人が集まってくる。 その中に18歳の井上淳一もいた。 企画・脚本・監督は前作の脚本を手掛けた井上淳一。企画と プロヂューサーにはシネマスコーレ支配人の木全純治も名を 連ねている。 実は井上には前作の続編を要望する声が多く届いていたとい う。そんな中でシネマスコーレのドキュメンタリー映画が公 開され、そのパンフレットに寄稿した井上は本作の企画を口 走り、それに木全支配人が呼応した。 そんなことでスタートした企画だが、いざ脚本を書き始める とドラマが足りない。そこでふとト書きに「井上淳一(18)が 歩いてくる」と書いた時には、冷や汗が出たと本人がプレス 資料に書いているものだ。 出演は若松孝二役に前作に引き続いての井浦新、木全純治役 には東出昌大、そして井上淳一役に2018年11月25日付題名紹 介『半世界』で主人公の息子役を演じていた杉田雷麟、それ に芋生悠。 他にコムアイ、田中俊介、向里祐香、成田浬、吉岡睦雄、大 西信満、タモト清嵐、山崎竜太郎、田中偉登、高橋雄祐、碧 木愛莉、笹岡ひなり、有森也実、田中要次、田口トモロヲ、 門脇麦、田中麗奈、竹中直人らが脇を固めている。 結果的に物語は若い映画人の成長を描くことになっており、 それは前作の門脇麦の役柄とも重なる。しかし彼らを取り巻 く環境の違いが時代を反映しており、それは両作を見比べる と面白さにもなる。 そんな何時の時代にもいて、現代にも通じる映画ファンの姿 を描いた作品とも言えそうだ。 公開は2024年3月15日より、東京地区はテアトル新宿他にて 全国順次ロードショウとなる。
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