| 2022年12月25日(日) |
WORTH命の値段、うつろいの時をまとう、Single8 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で観せてもらった映画の中から、※ ※僕に書く事があると思う作品を選んで紹介しています。※ ※なお、文中物語に関る部分は伏字にしておきますので、※ ※読まれる方は左クリックドラッグで反転してください。※ ※スマートフォンの場合は、画面をしばらく押していると※ ※「全て選択」の表示が出ますので、選択してください。※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『WORTH命の値段』“What Is Life Worth” 2016年公開『スポットライト』でカトリック教会の闇に挑む ジャーナリストの姿を描いた製作陣が、同作にも出演してい た2017年4月30日題名紹介『ファウンダー』などのマイクル ・キートンを主演に迎えて、9・11直後の米合衆国で遺族らの 救済に尽力した人たちを描いた実話に基づく2020年本国公開 のドラマ作品。 2001年9月11日、弁護士のケン・ファインバーグはワシント ンD.C.にある事務所に出勤途中の車窓から惨事によって立ち 上る黒煙を目撃する。 それから10日後、司法省の委員会に召喚された弁護士は惨事 に巻き込まれた被害者やその遺族に対して補償を行う基金へ の協力を要請される。それは膨大な訴訟によって国家経済を 揺るがしかねない事態を回避するための政治的な思惑も関る 「汚れ仕事」だった。 そんな仕事を弁護士は無償で引き受ける。そこには先にアス ベスト被害の補償基金にも関った実績に基づく確固たる自信 があったのだが…。自らが確立した収入金額に基き補償額を 算定する公式は、7000人にも及ぶ対象者の前に脆くも崩れ去 る。しかも各自の状況がことを複雑にしていった。 そんな中で弁護士は如何にして対象者の90%を超える人々の 信頼と納得を勝ち取ったのか。そんな弁護士とそのスタッフ たちの奮闘が描かれる。 共演は2012年7月紹介『ハンガーゲーム』などのスタンリー ・トゥッチと、2010年2月紹介『グリーン・ゾーン』などの エイミー・ライアン。他に2018年2月18日題名紹介『さよな ら僕のマンハッタン』などのテイト・ドノバン、2019年6月 紹介『ジョナサン』に出演のシュノリ・ラーマナータンらが 脇を固めている。 監督はニューヨーク大学大学院映画学科出身のサラ・コラン ジェロ、弁護士ケネス・R・ファインバーグの著作に基づく 脚本は2017年2月紹介『キングコング髑髏島の巨神』などの マックス・ボレンスタインが手掛けている。 先週に3・11に関る『生きる』を観たばかりで本作を観ている と、日米の被災した国民に対する補償の在り方の違いを突き 付けられる感じがしてくる。もちろん被害の原因や対象者も 異なり、一概に比較できるものではないが、適当なバラマキ 行政ではない、被災との向き合い方が異なる感じがしてくる ものだ。 とは言っても、日本では先週の作品以外では原発の補償問題 ぐらいしか訴訟には至らないのだが、その辺の国民性の違い も含めて、日本人がもっと考えなければいけないことを教え られているような気のする作品だった。 公開は2023年2月23日より、東京はTOHOシネマズシャンテ他 にて全国ロードショウとなる。
『うつろいの時をまとう』 服飾ブランド「matohu」を展開するデザイナーの堀畑裕之と 関口真希子を追ったドキュメンタリー。 大学で哲学を学んだという堀畑と法律を学んだという関口。 そんな2人が文化服装学院で出会い、それぞれが企業のパタ ンナーとしてパリコレなどにも関った後にブランドを設立。 そこでは単なるデザインだけではない衣装が作られる。 映画は、matohuが8年間に亙って展開してきた「日本の眼」 と称するコレクションと、その集大成とも呼ぶべき2020年に 開催された展覧会を中心に、2人のデザイナーの思想やそこ に纏わる人々の思いなどが語られる構成となっている。 そこには各コレクションに付された「かさね」「無地の美」 「ふきよせ」「ほのか」「かざり」「なごり」などの言葉と 共に、服飾の原点にも迫るような、深い思想なども語られる ものだ。 僕自身は正直に言ってファッションには全く興味がないもの で、以前にもファッションに関るドキュメンタリーを観ては いるが、それを評価する自信は持てなかった。しかし本作に 関しては、ファッションだけでない何かを感じた。 それは上記のコレクションに付された言葉にも表される日本 文化の本質に係るような気がして、観ていていろいろと考え てしまうところもあったものだ。そしてそれが2人のデザイ ナーの思想にも繋がっている。 正に理想的なドキュメンタリーのようにも感じられた。 監督は2018年12月23日題名紹介『がんになる前に知っておく こと』などの三宅流。前作はインタヴューで綴るという構成 に少し物足りなさを感じたが、本作では各自がしっかりと語 ってくれるので納得できた。 そのインタヴューではデザイナー2人の他に、輪島塗塗師の 赤木明登、能楽師の津村禮次郎、俳人の大高翔がそれぞれ本 作のテーマに沿った発言をしている。それらもなかなか聞き 応えのあるものだった。 近年のグローバル化という言葉によって日本人が見失ってし まったもの。そこには先人の作り上げてきたものや、日本の 自然風土に則してきたものがあった。そんなことも考えさせ られる作品だった。 公開は2023年3月25日より、東京は渋谷のシアター・イメー ジフォーラム他にて全国順次ロードショウとなる。
『Single8』 2013年11月紹介『赤々煉恋』などの小中和哉監督が、自らの 原点でもある高校時代の8�弍撚萓�作を再現した青春ドラマ 作品。 1978年夏、世界中を熱狂させた『スター・ウォーズ』が1年 遅れで日本でも公開され、映画制作に興味を持つ高校生の主 人公は早速雑誌の記事を頼りに8�丱�メラで宇宙船の撮影に 挑戦する。 そんな主人公はホームルームで文化祭でのクラスの企画とし て映画制作を提案するのだが、対抗馬のお化け屋敷に反対す る女子の支援で企画が通ってしまう。しかもヒロイン役には クラスのマドンナが出てくれることになり…。 大学の映画研究会に所属する写真屋の店員のアドヴァイスな ども受けながら、高校生最後の夏休みの映画製作がスタート する。そこには様々なトラブルも待ち受けていたが、いろい ろなテクニックも駆使して映画制作が進められる。 出演は、2020年3月29日題名紹介『許された子どもたち』な どの上村侑と、2021年『ベイビーわるきゅーれ』などの�眄� あかり。他にホリプロ所属の男性ダンス&ボーカルユニット WATWING の福澤希空と桑山隆太。 さらに小中監督ゆかりの川久保拓司、北岡龍貴、佐藤友祐、 1986年『星空のむこうの国』などの有森也実らが脇を固めて いる。因に有森の出演シーンの撮影は、『星空』の時と同じ 監督の実家だそうだ。 上映後の挨拶でも監督は、2011年6月紹介『スーパー8』に 触発されたと語っていたが、本作ではSingle8 の特徴である 巻き戻しによるカメラ内合成なども再現されて、正に1978年 の日本の映画少年が描かれている。それはまだ家庭用ヴィデ オカメラも普及する前の話だ。 そして劇中で撮影されている作品も、実は監督が高校時代に 撮った作品に沿ったものだそうで、元々は宇宙船のシーンだ けを再現したいと思っていた少年が、ストーリー作りなどの 映画制作に目覚めて行く展開も実話に則しているようだ。 そんな訳で正に監督の自己オマージュという感じなのだが、 どうせならさらにそこから本編部分をファンタシーにもして 欲しかったかな。2011年作をまるで真似するのも気にしたの かもしれないが、小中流のファンタシーも観たかった。 公開は2023年3月18日より、東京は渋谷のユーロスペース他 にて全国順次ロードショウとなる。
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