| 2010年11月07日(日) |
ソウル・キッチン、PA第2章、ザ・タウン、ベストセラー、イップ・マン、モンガに散る、ワラライフ、死なない子供+製作ニュース |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※ ※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※ ※方は左クリックドラッグで反転してください。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ソウル・キッチン』“Soul Kitchen” 2009年ヴェネチア映画祭で審査員特別賞を受賞した作品。 ハンブルグの港湾倉庫を改造した大衆食堂を舞台に、世間の 波風に振り回される人々の姿を暖かい眼差しで描く。 主人公は、手作りで改造した大衆食堂のオーナー兼シェフ。 ただし出しているのは冷凍のフィッシュフライやフライドポ テトなどの安直なものばかりで、客も惰性で来ているような 連中ばかりだった。従って経営も思わしくなく、税金も滞納 中。 そんな主人公には長年付き合って来た恋人がいたが、彼女に 上海へ長期赴任する仕事が舞い込む。そして彼にも一緒に来 てくれるよう頼むのだが…。彼は大事な店を放っていくこと はできず、2人の話し合いは平行線のままだった。 そんな時、主人公の兄が刑務所から仮出所で店を訪れ、仮出 所を継続させるための雇用証明を出してくれという。でも本 気で働く気持ちはないようだ。一方、町で出会った昔の同級 生が、不動産業で何やら怪しい仕事をしているらしい。 さらに主人公は、恋人の家族との会食の席で本格的な料理の 味を憶え、それを作ったシェフに店を任せたいと考えるのだ が、そのシェフは客を客とも思わない気難しい男で…。そん な連中が入り混じって、大衆食堂を巡るドタバタの人間ドラ マが展開する。 物語自体はありそうなエピソードの連続だが、その人間味が 魅力かな。でも日本だと松竹新喜劇辺りにでもありそうなお 話で…。それがまあそんなところで評価されたのなら、それ も面白いと言えそうだ。 脚本と監督は、2004年の『愛より強く』でベルリン映画祭金 熊賞を受賞、2008年9月紹介『そして、私たちは愛に帰る』 で2007年カンヌ映画祭脚本賞を受賞、そして本作でヴェネチ アと、36歳にして世界3大映画祭の全てを制したファティ・ アキン。 主演は、監督とは子供の頃からの遊び仲間で本作の共同脚本 も担当しているアダム・ボウスドウコス。彼は実際に10年前 からハンブルグで、監督も常連というギリシャ料理店を経営 しており、この作品は彼自身を描いた作品でもあるようだ。 共演は『ラン・ローラ・ラン』などのモーリッツ・ブライプ トロイと、『愛より強く』のビロル・ユーネル。また2人の ヒロイン役には、共に本作がほぼ映画初出演のアンア・ベデ ルケとフェリーネ・ロッガンが起用されている。 他に、1974年にアンディ・ウォホールの製作で話題になった ドラキュラ映画『処女の生き血』に主演のウド・キアーが、 キーになる役柄で出演していた。
『パラノーマル・アクティビティ第2章−TOKYO NIGHT−』 2009年12月紹介のアメリカ映画『パラノーマル・アクティビ ティ』から発想されて日本を舞台に作られた作品。 旅行先のアメリカで交通事故に遭い両足骨折の負傷をした女 性が帰国、弟と2人暮らしの自宅で療養を始める。ところが それと同時に彼女の周囲で異常な現象が起こりだす。そこで 弟が姉の部屋にヴィデオカメラを仕掛けてみると… オリジナルは元々異常現象の渦中にあった女性の周囲を探る という設定だったが、本作では姉の過去にはそのような現象 は起きておらず、姉の帰国後に現象が起こり始めるという展 開で、まあそれだけ誰にでも起こり得るというか、そんな作 品になっている。 ただまあこの手の超常現象ものでは、物語の展開には何の制 約もなく何でもありにできるから、そこでどれだけの恐怖感 を観客に与えられるかが勝負の作品とも言える。 その点で言うとオリジナルの作品は、単純なショックシーン だけでなく、何気ない描写がそのシチュエーションではじわ じわと背筋が寒くなるような、一種独特の恐怖シーンが演出 されており、それはその手の現象を良く研究した成果とも言 えそうなものだった。 それに対して本作では、その演出自体はオリジナルをよく踏 襲していたもので、それによる恐怖感などは巧みに再現され ていた。しかし日本版独自の新規な恐怖感のようなものはあ まり感じることができなくて、良くできたリメイクという感 じになったものだ。 でもまあ本作の価値は、それで充分と言えば充分なものでは あるが。 出演は、今年4月紹介『BECK』や9月紹介『大奥』などに出 演の中村蒼と、2006年のテレビラマ『逃亡者 おりん』に主 演の青山倫子。オリジナルとは違って、それなりに知られた 俳優を起用しているのも本作の狙いのようだ。 監督は、2007年7月紹介『阿波DANCE』や2005年のテレビラ マ『富豪刑事』などの長江俊和。因に監督はテレビと映画で 『放送禁止』というフェイクドキュメンタリーのシリーズも 手掛けており、この作品には打って付けだったようだ。 なお、物語の中ではオリジナルとの繋がりにも言及されてお り、その点で『第2章』という題名は正しいようだ。ただし アメリカでは“Paranormal Activity 2”という別の作品も 作られていて、それとの繋がりがどうなっているかも気にな るところだ。
『ザ・タウン』“The Town” 今年の東京国際映画祭でクロージングを飾った作品。 アメリカ・マサチューセッツ州の州都ボストン。その北東部 に位置するチャールズタウンは、アイルランド系の住民が多 く住む地区であると同時に、全米一多くの銀行強盗と現金輸 送車の襲撃事件が起きる場所とも言われているそうだ。 そんなチャールズタウンの一角にある銀行が朝の始業時間の 直前に襲われる。それは鮮やかな手口で、行員に負傷者も出 ないはずだったが、ちょっとした手違いから血気に逸った犯 人の1人が副支店長を殴打、一味は女性支店長を拉致して逃 亡することになる。 しかし警察の追跡も蒔き、女性支店長も無事開放して犯行は 成功裏に終結するのだが、その支店長から奪った運転免許証 に書かれていた彼女の住所は、犯人たちの住むチャールズタ ウンの中のものだった。 その状況に一味の1人が支店長に近づき、彼女の思惑などを 探ろうとするのだが、それが思い掛けない結果を招くことに なる。そして事件の捜査に動き出したFBIの捜査官も町に 現れて、事態は緊迫の度を高めて行くが… 脚本・監督・主演はベン・アフレック。1997年『グッド・ウ ィル・ハンティング』でマット・デイモンと共にオスカー脚 本賞に輝いたアフレックは、2007年“Gone Baby Gone”で監 督デビューしているが、その第2作で正に大向うを唸らせる 作品を作り上げた。 なお脚本は、チャック・ホーガンの原作による“Prince of Thieves”から、アフレックと、同じく俳優出身のピーター ・クレイグ、“Gone Baby Gone”にも協力したアーロン・ス トッカードが共同で仕上げている。 共演は、2007年3月紹介『プレステージ』や、2009年3月紹 介『それでも恋するバルセロナ』などのレベッカ・ホール。 今年2月紹介『ハート・ロッカー』でオスカー候補になった ジェレミー・レンナー。 他に、2000年の『スペース・カウボーイ』がデビュー作とい うジョン・ハム。2005年9月紹介『旅するジーンズと16歳の 夏』などのブレイク・ライブリーらが脇を固めている。 先月紹介した『ソーシャル・ネットワーク』が東京国際映画 祭のオープニング、本作はクロージングを飾った作品で、こ の2作が揃って来年のオスカー候補になったら、それは素晴 らしいことだ。
『ベストセラー』“베스트셀러” 今年8月に行われた第14回富川(プチョン)国際ファンタス ティック映画祭で「アジア映画賞」を受賞した韓国製ホラー 映画。 女性のベストセラー作家が盗作問題を起こす。それから2年 後、再起を賭けた新作執筆のため、作家はとある村に建つ古 い洋館に籠もって仕事を始めるのだが、そこで同行している 幼女の様子がおかしくなる。そしてその幼女が「お姉ちゃん から聞いた」として語り始めた事件は… 過去に起きた事件の被害者の霊が作家に取り憑いてその事件 を語らせるという展開は先にもあると思うが、それを盗作問 題に絡ませるという辺りが新規かな。さらに他にもいろいろ と仕掛けがあってそれなりに楽しめた。 ただし、後半に登場するアクションはちょっとくどい感じが して、犯人たちとのごちゃごちゃした遣り取りは、先が読め てしまった辺りでもう少し端折っても良いかなとも思えた。 でもまあ2重3重の仕掛けは楽しめたが。 それと、被害者なら知っているはずの出来事に隠されている 部分があるのはちょっとアンフェアかな…。特に真犯人の部 分は先が読めてしまうから見過ごされ易いが、被害者がそれ を伝えなかった理由付けがあっても良いと感じた。 主演は、2009年『TUNAMI』などのオム・ジョンファ。 本作では7kg減量して傷心の作家役に挑んでいるそうだ。他 に、今年7月紹介『シークレット』などに出演のリュ・スン リョン、昨年5月紹介『セブンデイズ』などのチェ・ムソン らが脇を固めている。 脚本・監督は、助監督出身で本作が長編デビュー作というイ ・ジョンホ。すでに短編映画で映画祭受賞歴などもあるよう だが、助監督としても数多くの作品に関っているようで、本 作でも落ち着いた演出ぶりを見せている。 なお本作に関しては、香港映画『インファナル・アフェア』 をリメイクして2007年アカデミー賞で作品賞を含む4部門を 受賞した『ディパーテッド』などを仕掛けた在米の韓国人プ ロデューサー=ロイ・リーによるハリウッドリメイクの計画 が進行しているそうだ。 映画に登場する村には、10月紹介『黒く濁る村』のような雰 囲気もあって、それは日本も含めた極東アジアに特有のもの のようにも感じるところだが、それがハリウッドリメイクで どのように描かれるかも興味の湧くところだ。
『イップ・マン/葉問』“葉問2” 故ブルース・リーが唯一正式に教え受けた師匠とされるカン フー達人の生涯を、香港映画界におけるリーの正統な後継者 とも言われる『セブンソード』などのドニー・イェンの主演 で描いた作品。 中華人民共和国が建国された1949年、中国武術・詠春拳の達 人イップは中国広東省佛山から家族を連れて香港に移住して くる。そしてそこでの貧しい暮らしの中、イップは武館を開 くのだが…、万事に控え目の彼の許にはなかなか弟子になる 者は現れない。 しかし1人の若者が無謀にもイップに挑戦し、その闘いで彼 の人柄に触れた若者の仲間達が徐々に集まり始める。ところ がその動きは香港武術界の目にも留まることになる。そのた めイップは香港武術界を仕切る洪拳の師匠ホンとの熾烈な戦 い余儀なくされる。 一方、その時代の香港には支配者として君臨しようと意図す るイギリス人たちの悪徳の陰謀が渦巻いていた。そしてその 手先となって香港武術界を支配しようとする連中も存在して いた。そんな中でイップは清く正しい武術の伝承をしようと するが… イェン以外の出演者では、ホン師匠役に扮するサモ・ハン・ キンポー。ブルース・リーと共演もしている大ベテランが、 本作ではアクション監督も兼ねて登場している。特にイップ とホンの闘いを描いたアクションシーンは、いろいろトリッ キーで面白かった。 また、香港映画界の若手のホープと言われる2007年3月紹介 『女帝/エンペラー』などに出演のホァン・シャオミンが、 イップの1番弟子の役で出演している。 なお、本作は今年の東京国際映画祭でも上映されていたが、 実は本作の前に2008年製作の『イップ・マン/序章』という 作品があって、その作品は映画祭では上映されたが、諸般の 事情で一般公開は待機中となっている。 その事情については本作巻頭でも多少理解できるものだが、 まあいろいろ微妙ではありそうだ。ただし、本作の日本での 観客動員が5000人を超えたら『序章』の日本公開も可能にな るとのことで、これは是非とも本作のヒットを祈願したいと 思うものだ。因に本作の香港での興行成績は、本年度香港映 画の第1位を記録しているそうだ。
『モンガに散る』“艋舺” 今年の東京国際映画祭「アジアの風」部門・台湾映画特集で オープニングを飾った作品。 1986年、台北の中心街モンガ。その場所は商業の中心地でも ありながら、その裏側では極道の組織が縄張り争いと抗争を 繰り広げる闇社会が権力を振るっていた。そんな中で主人公 は友情と義兄弟の契りを信じて仲間と共に生きてきたが。 モンガは日本統治時代以降は「萬華」と表記されているよう だが、元々は本作原題の漢字が当てられ、それは台湾先住民 族の言葉で「小舟」と言う意味を表わしているのだそうだ。 そんな小舟に乗ってしまった男たちの姿が描かれる。 主人公は幼い頃からの苛められっ子だったが、転校した高校 での偶然の出来事からモンガの一親分の息子と知り合い、そ の仲間となることで苛められっ子から脱出する。そしてその 仲間たちとは義兄弟に契りを結ぶのだが。 やがてモンガの闇社会にも属するようになった主人公は、外 部からモンガ狙う組織やその手先になっている連中との抗争 にも巻き込まれて行くことになる。そしてその先にあるもの は…。友情とは、義兄弟の契りとは、男たちの生き様が問わ れて行く。 基本的に極道を扱った作品は、日本映画でもアメリカ映画で も好みではないが、この作品の場合は特に極道を賛美してい るものでもないし、むしろその非情さのようなものが描かれ ているから、まあ何とか理解は可能な作品だった。 それにまあ、この手の映画には有り勝ちなアクションシーン での荒唐無稽さなどもなく、特に抗争シーンのリアルさには それなりに納得のできる作品だったと言えそうだ。因にアク ションシーンの撮影には韓国から専門のアクション監督が招 かれたそうだ。 脚本と監督は、2008年8月紹介『ビバ!監督人生!!』のニウ ・チェンザー。本作が第2作となるが、元々2004年頃から俳 優のジェイ・チョウと共に構想していた作品とのことで、当 時は実現できなかった監督には念願の作品だったようだ。 出演は、イーサン・ルアン、マーク・チャオ、リディアン・ ヴォーン、クー・ジャーヤンらの若手に加えて、2009年9月 紹介『海角七号』で台湾のアカデミー賞金馬奨の最優秀助演 賞を受賞したマー・ルーロンらが脇を固めている。 また製作を、『海角七号』も手掛けた元人気女優のリー・リ エが担当しており、本作ではモンガでの現地撮影を実現する 際の台北市長や萬華区長らとの交渉に、元人気女優の底力を 発揮したそうだ。
『ワラライフ!!』 題名は、英語のWhat a Wonderful Life !!だそうで、そんな 言葉をふと口にしたくなるような、人生のちょっとした幸せ を描いた作品。2009年2月に『ニセ札』という作品を紹介し た俳優・構成作家の木村祐一による監督第2作。 物語の中心はお笑いコンビ「しずる」の村上純が扮する修一 と、香椎由宇が扮するまりの若いカップル。2人は一緒に暮 らす準備のための部屋捜しをしているが、なかなか意見が纏 まらない。 そんな2人の行動に併せて、修一の子供時代からの家族や学 校、友人たちとのいろいろなエピソードが綴られて行く。そ れは正にエピソード集というかスケッチ集だが、それが後半 では多少大きなエピソードもあるといった具合の構成だ。 脚本は木村と、前作にも参加した脚本家・監督の井土紀州。 1963年生まれの木村と68年生まれの井土では、エピソードは 木村の体験が中心のようだが、修一とまりのカップルが現代 とすると、ちょっと時代がちぐはぐな感じの部分はあった。 でもまあどこかにはありそうな、そんな世間の片隅の出来事 が綴られたもので、それは世代年代を超えて理解されるもの なのかも知れない。最近のノスタルジーブームの一翼にはな るのかな。 主演の村上純、香椎由宇の他には、今年3月に紹介の『さん かく』に主演していた田畑智子と高岡蒼甫、また主人公の両 親を鈴木杏樹と吉川晃司が演じている。他にYOU、板尾創 路、大谷直子、田中要次らが脇を固めている。 主人公の父親の職業が靴職人というのは関西だとちょっと微 妙かな。特に物語上で意味がある訳でもないし、それを脚本 家が敢えて選んでいることが気になった。でも今はもうそん なことを気にする人もいないのかな。 それから、プレス資料の題名に添えられた英文のスペルの一 部が、oかaかちょっと分かり難いのも気になった。筆記体の oは普通上で刎ねると思うがここでは下で刎ねており、一見a にも見えてしまったものだ。
『死なない子供・荒川修作』 岐阜県大垣市にある奇妙なテーマパーク「養老天命反転地」 の作者としても知られる芸術家・荒川修作氏の本人と、彼が 東京の三鷹に建築した「天命反転住宅」について描かれたド キュメンタリー。 映画は、講演会と思われる場所での荒川氏の発言と、住宅を 訪れた宇宙物理学者・佐治晴夫氏の発言を中心に、住宅の住 人たちや見学者へのインタヴューなどで構成され、さらに住 宅の住人でもある山岡信貴監督自身の考えが俳優・浅野忠信 のナレーションで挿入されている。 その中での荒川氏の発言は、かなり攻撃的で既知の科学体系 への挑戦のようにも聞こえるが、発言自体はさほど目新しい ものでもなく、特にSFファンであるならば、この程度のこ とは了解した上でないとSFも理解できないだろうと考える 程度のものだ。 ただし映画の中でも住人の1人が言っているように、荒川氏 の発言自体はかなり言葉足らずで解り難いことも事実で、そ こに本作では、住宅に対する佐治氏の解説を入れることで解 り易くしているものだ。 とは言うものの、ここでの佐治氏の解説や監督の考えなどが 正しいかどうかは、荒川氏自身の確認が必要なものだが、今 年5月に死去した荒川氏は本作の完成を観ていないのだそう で、その辺がこの作品の弱点にもなっている。実際にはこれ らの発言に対する荒川氏の反論が欲しかったところだ。 しかしまあ、本来芸術は感じるものであって語るものではな いから、その点で本作は感じればいいのであって、そこにと やかく言葉を付ける必要もないものだろう。その点で言うと 荒川氏は、何かを語り過ぎているような感じも受けた。 「芸術は爆発だ」と言うのは芸術家・岡本太郎氏の有名な言 葉だが、あれも芸術=創造は爆発=破壊と同じだと説いたも ので、本作の中で何度も出てくる対立して見える2つの事象 を同一視するという考えに共通する。荒川氏の論点も結局そ こに行き着くものだ。 なお映画の中では、「養老天命反転地」と「天命反転住宅」 についてもかなり丁寧に紹介されているので、それを観るだ けでも楽しめる作品だ。 * * 今回は映画紹介が多かったので製作ニュースは一言だけ。 今年5月9日付でも紹介した“Dark Shadows”の撮影が来 春開始されることになり、主演はジョニー・デップ、監督は ティム・バートンで行われることが正式に発表された。なお 本作でデップは、グラハム・キングらと共にプロデューサー も務めることになっている。
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