ちむたんのつぶやき
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2004年08月24日(火) 今宵高鳴るその名

朝、家を出る時に留守録をセットしました。たとえフルセットまでもつれても尻切れトンボにならないように、時間を長めに。

夜8時、残業中に試合開始。隣では後輩が野球のオーストラリア戦のネット実況を見ています。バレーも、Yahooでリアルタイムに得点経過を報道していました。

うちの会社、マジメに仕事してるヤツどこにおんねん(笑)。

第1セット、最初の得点は中国でしたが、小刻みに更新していくうちに我が目が信じられないような気分に。全日本がリードしている…。ますますそわそわと落ち着かなくなりました。
しかし、逆転。20-24になった頃、仕事が一段落ついたので会社を出ました。携帯の速報を電車を乗り換える合間に確認しながら家路を辿りました。これはあまり更新が速くないので、2セット連取されたのを知ったのは自宅の最寄り駅に着いた頃でした。

帰宅してテレビをつけたら、バレーを放映しているはずの画面には野球が映し出されました。9時半過ぎくらいだったでしょうか。記憶があいまいです。
時間からいってストレートで敗れたんだろうなと見当はつきましたが、まだ信じない、と思いながらPCを起動して確かめました。

夕ご飯を用意していなかったので、録画はあとで見ることにして近所のコンビニへ。冷蔵ケースの中に並んだ秋限定のビールの鮮やかな紅葉の絵が目に飛び込んできた一瞬に身体に感じた戦慄は今でもはっきり覚えています。
ああ、本当にひとつの季節が終わってしまったなあ、と全身でぎゅっと掴むように、悟りました。
8月9日の日記で書いたように、私にとって彼女達の戦いは「祝祭」でした。
祭りは、それが華やかなものであればあるほど終わりは残酷なまでに淋しい。世界があまりにも眩しく熱く輝いていたから、その光をとうとう奪われた瞬間は、必ず来る時と心得てはいても、自分を包む薄闇の切なさ冷たさに愕然とするのでしょう。

相棒と一緒に試合を観ました。
本当にいい試合でしたね。予選とはまるで別のチームのようでした。

バレーボールは、自分のコートの中にボールを落としたら負けるゲームです。
WGPからこのオリンピック予選まで、彼女達のコートにあまりにも簡単にボールが落ちるところばかりを見てきたような気がします。
でも今日は違った。
落とすもんか、落とすもんか、という声にならない声が、コートを走り回るひとりひとりから、そしてアップゾーンから見守るひとりひとりから、迸るように聞こえてきました。
予選の時には一歩踏み出しただけで頼りなく止まっていた足が、微塵の迷いも見せず駆けてゆく。小気味よいほどにボールがつながる。ラリーに競り勝つ。腕がまっすぐに振り抜かれ、相手コートに鋭いボールが突き刺さるように弾む。
相手の中国も良かった。文句なく、頂点を狙うに相応しい力量を感じました。
そんな強敵に対して臆することなく真正面から向かってゆく選手達は、鮮やかに格好良かったです。プレーを楽しむなんて余裕は本人達にはなかったかもしれないけれど、少なくとも観ていた私は、最後は負けると知っていてさえも、心から楽しみました。バレーは楽しい。なんて面白いスポーツだろう、などと今更のように思いながら。

川原泉の漫画「メイプル戦記」の中で、女子だけのプロ野球チームの監督が、今日負けたらリーグ優勝は相手チームに持っていかれてしまうという場面に、ニコニコしながらこんな独白をします。
「赤勝て白勝て、どっちもがんばれ」
本当に大事なものを見つけたら、勝ち負けだけが問題ではなくなる。
それを思い出しました。

人を好きになること。
私は、自分の中にある「頑張る素敵な人センサー」みたいなものがいったん反応してしまうと、とことん感情移入してどっぷりのめり込んでゆく性質です。
元ヤクルトスワローズの杉浦亨選手しかり。
チャーちゃんしかり。
そしてトモさんしかり。
(センサーの基準がイマイチ分からないとか言わないように)

しかし、三次元はしんどい。ふだん二次元、脳内で好き勝手やっているオタクだからこそ味わう苦しみです(いや勝手に味わってるんですが)。
スランプがあります。本人の責任によるものではない逆境があります。
ケガがあります。病気もあります。
そして何より、
“さよなら”があります。

杉浦さんの時には、まだ20代の入り口くらいで何も分かっちゃいませんでした。
でもチャーちゃんの時は、同い年ということもありそりゃもう切ない思いをしました。
その記憶も生々しいうちに、去年のワールドカップでトモさんに出会いました。
正直、もうしんどいのはイヤだなあと思ってました。どう考えても選手生命長くなさそうだし、チャーちゃんよりも一段と紆余曲折なタイプっぽいし。
だからこれでもセーブしていたつもりだったんですよ、あんまり好きにならないように。つらいから。

…無駄でした。

10年以上会社員やって30過ぎて疲れて、日々なるべく楽に楽に流していただるい心に、同い年のあなたは“一生懸命”を最も純粋な形にして見せてくれた。
本人こそ、楽じゃなかっただろうに。

トモさんに対する今の気持ちは、これ以上言葉にすることができません。

ただ、今は祈るのみです。
やさしく強い彼女に相応しい風よ、星よ、花よ。
今宵、彼女に降り注げ。
惜しむことなく、その労苦に報いよ。


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