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自作自受 DiaryINDEX|<古|新>
何かを期待して感じるのはきっと幼少の頃からの悪い癖でまるでナメクジはカタツムリに成れないことを知っているのに浜で拾ってきた貝殻にナメクジを無理やり押し込んで大きくなったらヤドカリになるのかなってずっと意味不明な夢を抱いたり見栄えのいい安物の買い物をしてやっぱりちょっと高くても長く使える本物を買っとけば良かったなって後悔したり聞こえのいい自由人とかいう言葉に憧れて実はただのふりーたーって格好付かないよなって気障に笑ってみても金の無い現実は何処にでもあるありふれた言い訳だしそんなものでまだ諦めたくないし誰かを騙してまで幸せになろうとも思わないしただただ時間に縛られたくないだけで頭をぺこぺこ下げたくないだけできっと俺にはサラリーマンは向いてないよって何処かで読んだか見たかしたセリフを頭の中で回転させながらこれ以上値上がったら絶対に止めてやると心に誓いながらもたぶん止められないんだろうなと自嘲気味に笑ってズボンの後ろポケットからぺしゃんこになったセブンスターのソフトケースを取り出して恨めしそうに最後の一本であることを確認するとこれ吸い終わったらまた新しいの買わなきゃいけない250円あればコンビニでパンが二つも買えるのに上手いこと選べば缶コーヒーだって買えるだろうってでもやっぱり250円あればタバコを買うんだろうなって自分で自分に確認しながらどっから拾ってきた見覚えの無いピンク色の100円ライターでまるでルパン三世に出てくる次元が吸っているようなひしゃげた一本に火を点けようとしてやっぱりもう少し我慢しようかと思い直すもぺしゃんこになったソフトケースに戻すのも面倒だからもうちょっと本気で吸いたくなるまでこのまま口にくわえてればいいかってどうして俺はこう優柔不断なんだろう?どうしてもう少し格好良く生きられないんだろうと自問自答しながら段々自分自身に腹が立ってきて気付いたら口にくわえてた最後の一本に火を点けてしまって深く息を吸い込んでふぅぅぅーと息が続くまで吐き続けてこんな煙の何が旨いんだろうこんなもんに金使って去年数少ない友達に借りた5千円もまだ返してないのに俺はほんとうに馬鹿だな自由は金で買えない自由は金を生まない自由に生きてくなんて所詮無理だろうと悟ったような顔してしかたなく用も無く入ったコンビニの本棚の横に並べてあるフリーペーパーを手にとって楽して短時間で大金の稼げる仕事はないかなってそんな仕事があるなら誰も汗水たらして一生懸命働きゃしないよって分かってはいるけど一応探して結局こんなただで配ってる薄っぺらい冊子が俺の夢を叶えてくれるわけがないから俺はいま上手い事いってないけどいつか必ず自分の力で自分の実力で必ず大成してやるからなってそんな漫画みたいな話はありもしない妄想だと分かっていながらも非現実的な日常を期待して一人6畳一間に横になりこのまま死んだら誰か悲しんでくれる奴がいるのかな中学のとき仲良かったアイツとか高校のとき初めて付き合ったあの娘とか懐かしい思い出を引っ張り出してきてそういえば最近知り合った連中はどいつもこいつも胡散臭い奴ばっかりなことに気が付いて昔は良かったな俺もあんときゃ幸せだったかもしれない思い起こせばどうして今こんな現状を生きてるのか分からないただ一つハッキリしてるのは俺はここにいて日本人の平均寿命で考えるならまだあと60年くらいは生きられるはずで六十年後に俺はどうなっているんだろう六十年経った時俺は笑って死ねるのかなんて現実味の無い話だけどそんなことを考えながらいま俺はどうしたいんだ今何がしたいんだそんな事は分かってるそなの簡単なこと自分が気持ちよくなりたいんだ気持ちよく生きたいんだカンタンナコトカンタンナコト俺はいつものシャツにいつものズボンいつもの靴を履いて今度こそはと最初の一歩を踏み出した。
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