広島と札幌の歩き方。 : : 目次 : 手紙

  2005年11月26日(土)  
   

思えば、この6年間、
私は彼に対して何もしてこなかった。
何をしてあげる事も、与える事も、何もなかった。

彼はといえば、
私の借金の肩代わりをし、
困窮する日々の生活を支え、
多大なる援助を惜しまなく、本当に尽くしてくれた。

惜しまなく、というのはきっと違うんだろうとも思うけれど。

最初の最初、始まりの私達、
私との電話の途中で踵を骨折してしまった、あの時。

私は疫病神なんだろう、それはあの瞬間から決まってた事だ。

バツイチで子持ち。
子供達はそれなりに成長もした。
彼のおかげである部分が本当に多い。

そういう部分に対して、何を返すわけでもなく、
そんな風に育ててしまったのは全て私。

今までしてきてもらった事を、
今全て返す事は、正直困難で。
情けないけれどそれは出来なくて。

それでもこの先、
彼がおわなくてもいいはずの負担を無くする事は出来る。

今までの6年間を無かったものにはできないし、
今までの6年間を返上する事はできないけれど、
これからの日々、無駄に背負うものを無くする事は出来る。

ありがとう、とか
ごめんなさい、とか
どんな言葉も今の私にはぴんとこなくってね。

あっているような気もするし、どこか違うような気もするし。

ただ、この先の事。
この先の私、この先の子供達、そしてこの先の彼。
この先にある、それぞれの姿を想像してみたそこにあるもの。

最初から、背負わせてはいけないものだったんだ。

: 筆 : しおんとゆき  
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