せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2005年12月08日(木) 富士見丘小学校演劇授業 非戦を選ぶ演劇人の会リーディング

 2月の卒業公演のための稽古。
 即興劇で子ども達がつくりあげたエレベーターの場面を、記録をもとに篠原さんが再構成。改めて演じてもらう。
 止まったエレベーターの中の状況よりも、演じよう、ちゃんとしゃべろうとすることに意識が向かってしまって、即興のときのような緊張感はなかなか産まれてこない。
 青井さんから、実に的確なアドバイス。子ども達から拍手があがったのが印象的。以降、こどもたちは、とても丁寧に場面に取り組むようになり、だんだん場面ができあがってきた。
 後半は、「放課後の卒業式」パートの稽古。机と椅子を並べた教室の場面。それにしても、子ども達はなんて、この装置が似合うんだろう。
 台本を持って、初見の部分も含めて、実にいきいきとそこにいる。ホンモノはなんてすごいんだろう。
 冒頭の朝の場面をやってみる。母親役に、授業参観で来ていたお母さんたちの一人に参加してもらう。こちらも、ホンモノの魅力がいっぱい。
 終了後、お弁当をいただきながら、先生方と打ち合わせ。今後のスケジュールなどについて。少ない授業時間でどういいものをつくりあげていくか。大人がこれをやりなさいと提出するのではなく、子ども達と一緒につくっていくにはどうしたらいいかの相談。

 篠原さんと中野に向かう。MOMOの稽古場で、「非戦を選ぶ演劇人の会」リーディング「未来へ」の稽古。
 僕と篠原さんが担当した1部の稽古は丸尾さんの演出ですでに終了。えり子さんによる、第二部の稽古真っ最中。
 くまがいさん、明樹さんと表方の打ち合わせ。えり子さんともろもろの打ち合わせ。終了後、掃除をして、僕が最後の確認の係、いつもお世話になっている笠原さんにご挨拶して、5時から入れる、中野ゼロへ。
 僕は今回、台本の構成のみの担当なので、当日はこれといってすることがない。楽屋担当と表方との連絡係ということに。
 宇田くんが表方の手伝いに、ノグが警備担当の手伝いに来てくれる。
 仕込みのあと、ばたばたと場当たり。舞台にはえり子さん原案、加藤ちかさんデザインによる、古着に綿をつめてヒトガタにしたものが積み上げられている。赤いスプレーをかけて、本当に死体のよう。
 大勢のお客様でほぼ満席の状態で開演。
 篠原さんと僕が構成した第一部のリーディングからスタート。
 テキストだけだったものが、ナマの声とカラダを通して立ち上がってくる。
 出演者のみなさん、それぞれの存在のしかたが、ほんとにすばらしい。
 根岸さんにお願いした、パレスチナの母親。自分の息子をイスラエル兵に殺されて、彼の内蔵を、イスラエルの病気で苦しむ人たちに移植することを決める。その声の強さと哀しみ。
 岸田今日子さんにお願いした。パレスチナの少女。ガザからイスラエルが撤退したことを喜びながら、「イスラエルの人もかわいそう。だって、人は誰でも自分の家を離れるのはつらいことだから」と話す姿は、ほんとうに少女のようだった。
 その後、映画『ファッルージャからの証言』のダイジェストの上映。楽屋のモニターから聞こえる銃撃の音、爆音のすごさに圧倒される。
 続いて、相澤恭行さん、渡邉修孝さんとお迎えしての座談会。
 イラクの今と、自衛隊の置かれている状況についてのお話。あいかわらず報道されていない事実がいっぱい。
 最後は、古居みずえ監督のドキュメンタリー『ガーダ 〜パレスチナの
詩〜』の予告編の上映。古居監督のお話をえり子さんが聞き手になってうかがう。
 えり子さんいわく「田根楽子さんそっくり」の主人公が爆撃のなか、ふつうの生活を送る姿をていねいに描いたもの。本編もぜひ見てみたいと思った。
 10分の休憩後、第二部のリーディング「日本の戦争」。えり子さんによる台本は、はじめ3時間くらいの分量があった。それでも、第二次世界大戦の開戦から終戦までの多くの言葉をひろいあげた、とても興味深いものだった。今日の上演は、約1時間に構成しなおしたもの。
 アナスさんのパントマイムから始まる。かかってくる電話に出るが、声は聞こえない。難度も繰り返される爆発の音、そして、最後にこちらからかけると、「現在使われておりません」という声だけが聞こえる。同時にアナスさんによる、イラクの今についてのテキストの朗読。毬谷さんと稲荷さんが、懐中電灯の明かりに導かれながら客席から登場。
 パントマイムが終わると、金子飛鳥さんによるバイオリンと歌にあわせて全出演者が客席から登場する。舞台上に上がりきったところで、開戦を知らせるラジオの声。一斉に振り向く姿が、その瞬間、戦前の一日を今にきっちりつなげていた。演劇の力をまざまざと見た気がした。
 その後、僕は、ロビーのモニターで、リーディングを聞く。俳優さんたちの、人物を立ち上げる力に圧倒される。
 最後の沢田知可子さんの歌「美しい国」までの密度の濃い、1時間強だった。
 終演後、片づけをして一足お先に失礼する。
 いい会になったことがほんとうにうれしい。帰りは、また台本に向かう。
 23時からという打ち合わせをばたばたとして、結局終電で帰ってくる。

 gaku-GAY-kai本番まで、あと17日!


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