4つの季節を重ねながら

2002年04月15日(月)  写真のこと



パリに来て、しばらくしていたホームステイをやめ、一人暮らしをしはじめたころに撮った写真。

ポジスライドをデジカメでコピーしているので、シャープネスとかコントラストとか台無しになってますが。。。(^^;)

露出計を上に向けたり、下に向けたりして、リバーサルのフィルムではじめて、夕景が自分の思ったような濃度で写せたときは嬉しかったな〜。

映像製作の学校に入るまえ、写真については本で読んだだけの知識しかなくて、ようやっと結果を予想して写真が撮れるようになったと喜びました。

と、同時に、写真に対する passion を完全に失いもしました。


   「なんか絵はがきみたい」


と思って。絵はがきのような写真を撮れたこと(技術的な進歩)への満足感とともに、誰にでも撮れるありきたりな Paris の写真(没個性)にがっかりして。

公園に行って、ベンチに座っている人を撮るでしょう?

東京だとそれだけで結構、絵になるのです。

ところが、Paris の公園の樹って、ベンチに座っている人が美しく見える高さに下枝がカットしてあるのです。だから、樹の下枝と、ベンチに座っている人がちょうど美しく見える角度にカメラを持っていくと、「どこかで見たことのある写真」にしかならない。

東京にいたころは毎日のようにカメラを持って歩いていたのに、冒頭の写真を撮ったあとは、旅行にしかカメラを持ちださなくなりました。自分だけの Paris、わたしにとっての Paris を探すのはとても難しかった。いまだにそれはできていません。


石けんを作りはじめて、このホームページを作るために、石けんの写真を撮るようになりました。学校の実習やら、短編映画の撮影やらで、照明のいろはの「い」をかじったころ。

さすがに、コマーシャルの撮影のように、いろんな機材を使うわけにはいきませんから、基本的には家の窓から差し込む、太陽光を使っての撮影です。

狭い部屋のなかで、スペースを作るために家具を大移動させて撮っていたので、はじめのうちは正直言うと、ちょっと面倒(笑)だと感じていたのですが、太陽という同じ光源を使っているのに、季節や時間、天候によってまったく違った写真になるのが楽しくて。

写真、というよりはむしろ、光って楽しいなっていう感じではありますが、徐々にまた写真への passion を感じはじめました。とくに石けんという、形にそれほど変化のないものを撮り続けたからこそ、感じられたことなのかもしれません。

どれも似たような形のものが、光によってまったく違った顔を見せることの楽しさ。欠点を見せない、あるいは欠点が美点に見えるように光の力を借りる楽しさ。

あんまりはまると高くつくので、困るんですけどねぇ。(苦笑)


おととい、偶然このサイトを見つけて、操上和美さんの写真展のリンクを見入ってしまいました。

見ていて、いままでわたしが写真を撮るとき、いまこの光がきれいだから、とか、いまこのレンズで撮るといい構図になるから、とかの理由でシャッターを切ってきたんだな〜と思いました。

今後はもっと、自分のイマジネーションをフィルムに焼き付けるために、どういう光、どういう素材、どういうレンズが必要、というふうに写真を撮っていかれるといいなぁ。

コマーシャル業界の第一人者の写真と、自分の写真を比べるのが、愚かといえばそれまでですが、はまっている以上はやっぱり、どんどん上を見ていきたいものです。


最後に、お口直しに気に入っているほうの写真をどうぞ。(笑)

ホームステイ時代にマダムがわたしのために持ってきてくれたお花の写真。きっとそのうち、エッセイ&写真のコーナーに登場します。







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