荒ぶる魂

2004年10月26日(火) 女子プロレスの復活はあるか?

昨夜(25日)のSAMURAIテレビ「生ゴン」にゲスト出演した
安田拡了氏(プロレス・格闘技ライター)が
女子プロレスの現状について意見を求められ
大略以下のように答えていた。

「私は昔から女子プロレスも取材してきたが随分変わってしまった。
25歳定年制がなくなってベテランがずっとリングに居続けるようになって
若い選手が育たなくなった。
ここはもうベテランの選手には第2の人生を選んでいただいて
若い選手を入れないと女子プロレスは駄目になるだろう」
(若い可愛い選手がいないから女子プロレスは流行らないという
ニュアンス。)

安田氏の言葉ににじみ出る性差別的思想はさておいて
氏の意見は業界で長く生きてきた人とはとても思えない
現状認識にかけるものだと私は思う。

女子プロレスに新人が入ってこない原因は
「女子プロレスというジャンルがすでに終わっているから」だ。
ベテランが居座っているから若手が育たないのではない。
(上下関係の厳しさ=しごき=いじめで逃げ出すということはあっても)

(氏が)何歳以上を高齢化といいベテランとするのかは不明だが
とりあえず32歳以上の選手を全員やめさせてみたらいい。
それで果たして若いピチピチ元気な女の子たちが入ってくるだろうか?
答えはノーだと思う。
絶対とは言い切れないけど99%あり得ないだろう。
今でさえ少ない選手数から32歳以上の選手や切り捨てて
残った人数で一体どれだけのものを見せられるか。
1試合に最低2人の選手が必要だというのに?

女子プロレスに若い新人が入ってこない、育たないのは
女子プロレスというジャンルが時代遅れで魅力の無いものに
すでになってしまっているからだ。
そのような現状の中でベテラン選手を放逐することは
女子プロレスの復活につながるのではなく、
衰退へのスピードを早めるだけだ。

私はこの荒ぶる魂10月14日「ガイア解散宣言」の項で
ガイア的女子プロレスのあり方(女性ファンをターゲットとする)は
ガイアの終焉と同時に終了するだろうとし、
JWP・NEO的女子プロレス(男性ファンをターゲットとする)は
細々と存在は続けていくだろうと書いた。
だが、この時には書くのを控えたけれどJWP・NEO的女子プロレスも
現在の選手が引退していくまでの寿命だと思っている。
その意味で、これらの団体を現在支えている男性ファンたちは
ジャンルの終焉を看取る覚悟の人々だと私は高く評価しているのだ。

安田氏の記憶にあるような、あるいは期待するような女子プロレスが
復活することはおそらく無いだろう。
女子プロレスが存続していくとすれば
LLPWのようなネタ中心のエンターテイメントを前面に押し出したものに
なっていかざるを得ない。

こう書くとNEOなどもエンターテイメント性が高いのでは?という
反論があるかもしれない。
それには「NEOのエンターテイメント性はプロレスファンに
向けられているものだ」と答えたい。
LLPWの会場にプロレスファンが少ない、スポンサーがらみと
よく批判されるが、それは見方を変えれば
より大きいマーケットへ向けて発信しているといえる。
現在の女子プロレスに魅力が無いからファンは獲得できないのだし
だからこそ新しい選手は入ってこないのだ。
それならそこから脱皮して新しいモノを作りだすしかないではないか。
そのような形になったものをもはや女子プロレスとは呼ばないと
言われるかもしれない。
それでいいと思う。

現在は女子プロレスというジャンルが終焉していく過程。
そしてこれは期待をこめていうのだが、
その後には「女子格闘技」というジャンルが出来るのではないか。
そしてその中に女子総合格闘技と「脱皮系女子プロレス」という
2つの対照的なカテゴリーが出来るようになるのではないだろうか。

(もっとも、「脱皮系女子プロレス」だって
険しい道であることには変わりはないのだけれど。
いくら華やかにして、芸能に近づけたとしても
テレビに出てくるタレントのきらびやかさには負けるもんなあ。)


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