Day Dream Believer
過去の日々過去の昨日過去の明日


2002年03月20日(水) 空と風の主従関係








 kazeと出逢ってからの数ヶ月は
 ビジネスパートナーとしての距離を保つ関係を続けていた。

 でもたしかに彼がいるであろうその時間に合わせて
 オフィスに行っていたのは事実。

 私がいないと仕事に託けては
 彼が電話をかけてきたのも事実。

 でも二人きりで会うというのは打ち合わせ以外にはあり得なかった。



 自分より先に親友Mが私の気持ちに気付いた。

 「あなた、さっきまでTさん(過去の男)の話をしていたのに、
  いつのまにkazeさんの話にすり替わってるよ(笑)どうしたの?」

 「私なんだか変だね。」と笑ってそう誤魔化した。


 運命の渡米までの3ヶ月はそんな日々が続いていた。






 神のイタズラか偶然か研修旅行先のLAのホテルでのアクシデント。
 日本から参加したのはkazeを含めて男3人に女性は私一人。

 予約されていた部屋はツイン2部屋。
 必然的に平静を装って私はkazeを自分の部屋に入れた。
 
 「境界線はここだからね。」とベッドとベッドの間を指摘した。

 別々のベッドに寝たのは最初の一日だけ。 

 2日目の明け方、
 それまで何時間も色々な話をしていてふと沈黙が訪れた時。

 「soraさんにお願いがあるんですけど。」と彼がつぶやいた。

 「なあに?」アルコールの酔いと眠気で意識朦朧としていた私は答えた。

 「5分だけで良いんです。そちらへ行って良いですか?」

 「・・・?」最初はどういう意味か理解できないでいた。

 「なあに(笑)ホームシックに罹って寂しくなっちゃった?」

 「soraさんのベッドに行って良いですか?」「だめ。」
 
 「5分だけ。」「んー。じゃあ5分だけよ。こっちへおいで。」
 
 私はまるで幼い子供か愛しいペットを招くように彼を受け入れた。

 すばやく私の隣へ滑り込むと背中からすっぽり抱きしめてきた。
 私はされるがままにしていたが
 不思議な事にまったく違和感は感じなかった。


 と言うより・・・むしろ彼の体温は心地よかった。




 私がうんざりしていた男特有の圧迫感や男臭さというモノが
 kazeからは一切感じられなかったのだ。

 私と彼が普通の男女関係のように
 セックスをしてしまうかもしれないというような
 そんな想像すら出来ない程
 彼には中性的な匂いがあった。



 けっして女のような風貌ではない。身長もあるし体格も良い。
 ちょっと痩せすぎではあったが

 女っぽい感じではけっしてない。
 
 でも彼には私が今まで知ってる男にはない匂いがあった。


 そのときはまだ理性が働いていた。

 「はい。もう5分。自分のベッドに帰って。」

 kazeは聞こえないふりをしているのかそのまま。

 「だめよ、もうこれ以上。」

 そう言うと逆に今まで抱きしめていた手で
 私の体を着衣の上から愛撫し始めた。


 「もうこれ以上はだめ。」
 という理性と

 「でも彼が私を欲しているなら女の武器で言うなりにさせるのも良いかな。」
 という打算もあった。



 そして私の中で生まれたあの欲望に
 彼は自ら身を投じてきたのだ。


 もう追い出すふりはやめてされるがままにいた。
 胸や腹を優しく触れているだけでそれ以上の事は何もしなかった。

 「したいのなら早くすれば良いのに。」と心の中で思い始めた。



 その晩は欲情よりも眠気の方が勝っていた。早く眠りたかった。
 一刻も早くこの状態を終わらせるには
 この手段しかなかったような気がする。

 「ねえ、しちゃおうか。」

 「え、良いんですか?」「うん。」

 そう答え彼の方に体を向けた瞬間唇をふさがれた。
 
 柔らかい彼の形の良い唇は心地よく
 私はきっとそれだけで一気に欲情していたに違いない。


 「グローバルな女性はもっと英会話を覚えて下さい。」

 「あなたが私の専属トレーナーになってくれる?」

 「ええ、こうやって舌と唇で発音を教えてさしあげます。」


 流ちょうな発音でネイティブに違い英語を話せる彼は
 そう囁いてからその柔らかく気持ちの良い唇や舌で
 私の唇を捉えていやらしくエロティックに動き続けた。


 長い時間深く何度もキスを交わし、それから素早く彼は裸になって
 それから私が着ているものをすべてはぎ取った。


 遠い異国でのホテルでの秘め事。
 それから帰国するまでの数日間・・・
 kazeは毎晩のように私のベッドで一緒に眠った。

 実際にはちゃんとセックスしたのは2回。
 最後の夜にやっと私はkazeの大きな身体の下で果てた。





 心のロックがその時わずかに外されたのだ。


LAhotel_bedroom








 優秀で力強く更に美しい外見を持ち合わせてはいるが
 私を絶対に傷つけない。縛らない。
 でも忠実に私を守ってくれる存在。

 それが私のkazeの最初のイメージ。



 たとえばそれはまるで血統の良い最高級のドーベルマンとか
 あるいは忠実で優秀な専属執事とかそんな感じだったのである。

 事実kazeは帰国してから私にとても優しく親切だった。
 いつも私のそばにいた。私のやるべき事を先回りして全部してしまう。
 重たい荷物は絶対に私に持たせない。
 たとえそれがプライベートなバッグでも。 
 
 「うちの姫」と対外的に私の事を呼んで憚らなかった。

 そんな「かなり歪んだ私とkazeの関係」が始まった。 



 この続きはまた。
 


sora |MAIL

My追加
エンピツ