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2016年09月17日(土) 豊洲市場の主要施設で科学的知識のない人がバカみたいに騒いでいる。

地下水漏れか=豊洲市場の主要施設−共産都議団が現地調査(時事通信 2016.09.14)

東京都が築地市場(中央区)からの移転を延期した豊洲市場(江東区)で、
主要施設の地下空間の底面に水がたまっている問題をめぐり、
共産党都議団は14日、現地調査を行った。水質を簡易検査したところ、
有害物質を含む地下水と同じ「強アルカリ性」だったことから、
地下水が漏れ出している可能性が高いとの見解を明らかにした。

都庁で同日夜、記者会見した曽根肇都議らによると、この日午後に青果棟を訪れ、
最大で約20センチの深さに達していた地下空間の水を採取。
その場で酸性やアルカリ性の度合いを測ることができる
ペーハー試験紙を浸すと青色に変わり、強アルカリ性であることを示した。
 採取した水は持ち帰り、検査機関に提出。その結果は16日ごろに出るという。
曽根都議は「何らかの化学物質が影響しないと、
これだけの強アルカリ性にはならない」と主張した。

 これに関連し、豊洲市場の土壌問題を調べてきた畑明郎元日本環境学会長も、
地下水が漏れ出ている可能性を指摘。
「地下水に含まれる有害物質のベンゼンなどが揮発し、建物内に浸入する恐れがある」と懸念する。
 都によると、水たまりが確認されたのは、土壌汚染対策の盛り土を行わずに
地下空間を設けた5棟のうち、青果と水産卸売場、水産仲卸売場の3棟。
担当者は「外構工事がまだ終わっていない部分があり、
そこから浸水したのではないか」として、雨水と推測する。
ただ、都は水質を分析するとともに浸入経路を調べる方針だ。




ここしばらくこのニュースを楽しませてもらっています。

それは理科教育の重要性を再認識できるからです。

共産党議員による一連の地下ピットに溜まった水を使った批判ですが、

まず「強アルカリ性」について、

新しいコンクリートに囲まれて溜まった周囲の水には

セメントの原料である石灰が水に触れることにより水酸化カルシウムが溶け出しており、

セメントの原料となる石灰は水に溶けると「石灰水」となって、

それがアルカリ性を示しているだけのことでこれは不自然なことでもなく、

pH12前後のアルカリ性を示しているのも危険とは言えず土壌汚染とは無関係です。

セメントの原料となる石灰は水に溶けると強アルカリ性を示す、

これは中学校の理科で習うことで、

共産党の議員たちが何をそんなに驚いているのか疑問に感じます。

もしこれが強塩基性だったら大問題ですが、

ゴーグルもせず手袋もせず素手でビンに汲んでいたところを見れば、

最初から危険なものじゃないことは分かっていたのでしょう。

そんなものを大騒ぎする芝居をして扱うことでマスメディアを利用して、

ニュースやワイドショーを見ている最低限の理科の知識を忘れている人達を巻き込んで、

自分達の賛同者にしようという魂胆だったのではと思われますが、

SNSで「これは問題ないだろう」「アホか」と大炎上したことで、

「強アルカリ性がー」から今度はこれにシフトしました。

豊洲市場 空洞の水に基準値の4割のヒ素 共産都議団(毎日新聞 2016.09.16)

共産党都議団は16日、豊洲市場の青果棟地下の空洞にたまった水を分析したところ、
環境基準値の4割のヒ素が検出されたと発表した。
豊洲市場の土壌では元々環境基準値を超えるヒ素が検出されており、
共産党は「地下水由来の水が(空洞内に)上がってきたという我々の推測を裏付ける結果だ。
全ての建物にたまった水と大気を抜本的に調査すべきだ」と指摘した。

 共産党は14日、青果棟地下を視察し、採取した水の分析を民間の検査機関に依頼した。
ヒ素は1リットル当たり0.004ミリグラム検出された。
ベンゼン、六価クロム、シアンについても分析を依頼したが、測定できなかった。


検出されたヒ素は1リットル当たり0.004ミリグラムで、

ヒ素と聞くと、なんだか怖いと思う人も多いと思いますが、

ミネラルウォーターにも含まれている程度の量で安全です。

土壌に自然由来のヒ素が含まれるのは普通のことで、

検出されたヒ素は微量で基準値以下なのでこれ自体は問題ではありません。



建物地下の水、微量のヒ素と六価クロム検出 豊洲市場(朝日新聞 2016.09.17)

豊洲市場(東京都江東区)の建物の地下にたまっていた水について、
都は17日、水質調査結果を発表した。
環境基準を下回る微量のヒ素と六価クロムが検出されたが、
ベンゼンやシアン化合物などは検出されなかった。
13日に主な3棟の地下で採った水を検査したという。
専門家会議座長の平田健正(たてまさ)氏は会見で「(検出された数値は)全然問題ない」と話し、
ヒ素が検出されたことから「地下水の影響が出ている可能性がある」と指摘した。

結果によると、
ヒ素は環境基準(1リットルあたり0・01ミリグラム)に対し最大で0・003ミリグラム、
六価クロムは基準(1リットルあたり0・05ミリグラム)に対し
0・005ミリグラムがそれぞれ検出された。


共産党都議会の行動によって環境基準値クリアを証明して安全性のお墨付きが出ました。

ただ、溜まった水は地下水なので問題はこの地下水はどこから出ているのかということです。

ヒ素にしても「あるか・ないか」が問題ではなく

「ここまでの数値なら安心・ここからの数値は危険」という量の問題が重要なのですが、

量の問題を無視して知識のない人に向けて不安を煽るのは

原発事故後の放射能の話題でよく見られてきたものですが、

量の問題を無視した数値だけを騒ぐような客観性を欠く議論では

地下水がどこから出てくるかや盛り土のことなど本来やるべき問題の本質がみえなくなりますし、

豊洲の魚「売れないのでは」=買い出し人も不安視―築地市場(時事通信 2016.09.17)

福島と同じように風評被害に繋がる恐れがあります。



そして、「強アルカリ性だー」「ヒ素だー」って騒いでいるのを見ると

理科教育の敗北だと痛感するわけです。









名塚元哉 |←ホームページ